記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/1 記事改定日: 2018/4/6
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
下痢は非常に一般的な症状ですが、原因としてはストレスや冷え、食中毒、病気などさまざまなものが考えられます。今回の記事ではそんな下痢の原因を幅広くご紹介します。
下痢は水分を多く含んだゆるい便が出るという症状のことです。突然下痢になってすぐに収まる「急性下痢」はそこまで心配する必要がないケースも多いですが、4週間以上続く下痢は「慢性下痢」と呼ばれ、病院での治療が必要となる場合があります。下痢の原因としては、次のことが考えられます。
ストレスなどで緊張状態になると、腸の動きをコントロールしている自律神経が乱れ、腸が痙攣し、下痢を引き起こすことがあります。
冷え性や、冷たい飲み物・食べ物の過剰摂取によって胃腸の血行が悪化し、消化機能が低下することで下痢が起こる場合があります。
発熱のない下痢の多くは、食べ過ぎや飲み過ぎによるものです。特にお酒の飲み過ぎや香辛料の摂取は、胃酸を過剰分泌させ、胃粘膜を傷つけたり、腸のぜん動運動を過剰に促進して、下痢を引き起こす原因となります。
O-157やノロウイルスなどによる食中毒、ウイルス性の風邪の場合、突然激しい下痢が起こることがあります。多くの場合、腹痛や嘔吐、発熱を伴います。
薬の副作用により下痢になる人もいます。下痢の副作用がある薬としては以下のようなものがあります。
・制酸薬
・便秘薬
・利尿薬
・一部の抗生物質
・ジギタリス
・甲状腺ホルモン薬
・リチウム
・コルヒチン
・化学療法薬
特定の病気が原因となり下痢になることがあります。例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病は発症すると慢性下痢を引き起こします。また、過敏性腸症候群(IBS)のように、下痢と便秘の両方を繰り返す病気もあります。
その他にも、特定の食品を消化できない病気が下痢の原因となることもあります。例えば、セリアック病(小麦、大麦、ライ麦に含まれるタンパク質であるグルテンの消化に対する免疫反応)や乳糖不耐症(乳製品に含まれる糖の消化が困難になる病気)は考えられる原因の一つです。
暴飲暴食や食中毒による下痢も、食後の下痢として一般的ですが、以下の病気でも食後に下痢が起こることがあります。
食後の胃もたれ感や腹部膨満感、みぞおち付近の痛み、下痢が代表的な症状です。かつてストレス性胃炎と呼ばれていた病気で、ストレスが原因と考えられており、検査をしても胃腸に特に問題は見つかりません。
精神的なストレスが原因で腸のぜん動運動に異常をきたし、慢性的な下痢や腹痛を引き起こします。下痢を繰り返す「下痢型」、便秘を繰り返す「便秘型」、下痢と便秘を交互に繰り返す「混合型」があり、いずれも検査で腸に異常が見つからないのが特徴です。30代より若い年代に比較的多い傾向にあります。
大腸の粘膜で炎症が起き、潰瘍やただれが現れている状態です。下痢や血便、発熱、腹痛などが主な症状で、症状が現れる活動期と、症状がおさまる寛解期を繰り返すのが特徴です。年齢にかかわらず発症することがあります。
消化管のさまざまな場所に炎症や潰瘍が起こる難病の一種で、下痢や腹痛、微熱、体重の減少が特徴的な症状です。10〜30代の、特に男性が発症率が高いです。
下痢は特に治療しなくても治る場合がほとんどですが、長期間下痢が続くようであれば医師に相談する必要があります。ここでは下痢になったときの自分でできる処置と、医師に相談したほうがいい場合をご紹介します。
特に何もしなくても治ることも多いですが、場合によっては薬局で購入できる下痢止めを使うことはできます。ただし、例えば感染性腸炎では下痢止めを使うと病原体が体から出て行くのを遅らせるため回復が遅れる可能性があるなど注意が必要です。もし不安であれば医療機関を受診されることをお勧めします。
また、脱水症状を防ぐため十分に水分を摂取することも大切です。経口補水液などでこまめに水分を摂取しましょう。
下痢とともに以下のような症状があれば医師に相談しましょう。
・便に血が混じる
・高熱が続く(38度以上)
・下痢が長期間続く(4週間以上)
・腹部や直腸の猛烈な痛み
・嘔吐や吐き気(脱水症状を起こしそうなとき)
下痢は一般的な症状ですが、その原因はストレスや冷えなどの日常的なものから、病気によるものまでさまざまです。何もしなくても治ることも多いですが、薬を服用する、水分をしっかり摂るなどの対処をすることも有効です。もし下痢のほかにも高熱や腹痛などの症状があるときや下痢が長期間続くときは、医師に相談するようにしましょう。