記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
不安になるということは誰もが経験するもの。しかし、不安障害をかかえる人にとってはとある心配事が生活に支障をきたすほどの恐怖となってしまうこともあるのです。
今回は、不安障害とその克服の方法について見ていきます。
恐怖症は不安障害の中に含まれます。
不安障害は、全般性不安障害、特定の恐怖症、およびパニック障害に分けられ、各々が特徴と症状を持ち、異なる治療を要します。
不安障害がもたらす感情は、単なる緊張から恐怖による発作まで多岐に渡ります。
恐怖症をお持ちの方は、原因と接触するまでは何の症状も経験しないかもしれません。
しかし、場合によっては不安の原因について考えることさえも恐ろしく感じさせたり、パニックを引き起こすことも起こり得ます。
主な症状として以下のものが挙げられます。
・不安定、めまい、眩暈
・吐き気
・発汗
・心拍数の増加または動悸
・息切れ
・震えや揺れ
・胃がムカムカする
恐怖症の原因に頻繁に接触しない場合は、日常生活に支障はない可能性もあります。
しかし、広場恐怖症のような複雑性恐怖症がある場合は一度も症状を発症せずに人生を送ることは非常に難しくなるかもしれません。
日常生活において心配、緊張感、恐れ、危惧、懸念、不穏状態に陥ったときに感じる不安感は、危険を警告する「体の警報システム」として機能しています。
しかし行き過ぎてしまうと、心配、パニック感の突然の発作、または特定の状況や対象が恐怖に変わってしまう可能性を孕んでいます。
どのようなものでも、治療・治癒することができます。単純な場合は、恐怖や不安の原因となる物、動物、場所または状況に徐々にさらされることで治療できます。これは脱感作または自己曝露療法として知られています。専門家の助けを借りて、またはセルフヘルププログラムの一部としてそれらの方法を試すことができます。
複雑な恐怖症の治療にはしばしば時間がかかり、カウンセリング、精神療法、認知行動療法などの話療法を行います。投薬療法は恐怖症の治療には通常使用されませんが、不安の影響に対処するために抗うつ薬、鎮静剤、ベータ遮断薬などの薬が投与されることがあります。
ここでは代表的な恐怖症のセルフケアをご紹介します。
ライフスタイルを少し変更することで恐怖症の症状を減らすことが可能です。たとえば、定期的に運動する、健康的な食事を摂る、カフェインおよび他の刺激物を減らすまたは避ける、十分な睡眠をとるなどの方法が効果的とされています。
暴露療法(脱感作)とは恐怖症に曝されている時間を徐々に長くしていく方法です。たとえば広場恐怖症(オープンスペースや公共の場所に対する恐怖)がある場合は、最初は自宅のそばを短期間外出することからはじめ、外で過ごす時間の長さと自宅からの外出距離を段階を踏んで伸ばしていきます。
リラックスを促し、呼吸をコントロールすることに役立つエクササイズを行います。
不安を引き起こす可能性のある状況にどのように対処するかを予め視覚化することで、不安を和らげる効果があります。
同様の経験を持つ人と会い対処法を分かち合うという方法です。仲間ができることで治療が上手くいかず悩んでも、闘っているのは自分一人ではないと思えるなど、心の支えとなるでしょう。
恐怖症を克服するための方法には大きく分けて医師による治療やカウンセリング、薬の処方などの方法と、生活習慣を変える、可視化、リラクゼーションなどのセルフケアがあります。
どちらを選ぶにしても、個人によって適切な治療法は異なります。
また、効果が現れるまでにかかる時間も人それぞれです。
自分に合った方法やペースで、あせらずに治していきましょう。