記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高血圧は自覚症状がでることが少なく、病状が悪化するにつれて心臓病や脳卒中のリスクがますます高まっていく恐ろしい病気です。血圧の変動は食事とのかかわりが強く、特に見直しが求められるのが塩分の摂取量であり、醤油など塩分が多くなりがちな日本の食生活においては特に重要です。この記事で塩分摂取の改善方法をみていきましょう。
高血圧はサイレント・キラーとも呼ばれ、はっきりとした症状が現れることが少ない循環器疾患です。しかし高血圧を放置していると、様々な弊害を起こす恐れがあります。正常な血圧は、収縮期120mmHg/拡張期80mmHg未満であり、収縮期140mmHg/拡張期90mmHg以上になると高血圧とみなされます(収縮期血圧が120~140mmHg/拡張期血圧が80~90mmHgの間の場合は前高血圧症と呼ばれます)。塩分の過剰摂取やタバコ、お酒などによる不摂生な生活習慣が高血圧の主な原因となります。生活習慣の改善を前提とし、治療では降圧薬の服用によって血圧を正常レベルに下げることが中心になります。
厚生労働省『平成25年国民健康・栄養調査結果の概要』によると、日本人の1日あたりの平均の塩分摂取量はおよそ10gであり、厚生労働省の目標の8g、WHOが定めている5gと比べて極めて多い現状です。塩分の摂りすぎは高血圧を招き、心臓病や脳卒中などの重大疾病のリスクを高めてしまいます。
【厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000106403.pdf 】
日用の食品のほとんどに塩分が含まれています。塩分の摂取量を減らしていくために、買い物のときに食品包装の栄養表示をチェックする習慣をつけましょう。同じ食品なら「減塩」と書かれているものを選び、たくさんの塩が使われている塩漬けの肉魚や漬物は控えるようにしてください。今まで購入していた食品を、塩分が加えられていない豆類や野菜に置き換えられないか、献立とともに見直してみてください。
塩分を減らすために、調理・調理後の塩の使い方を工夫しましょう。1日に必要な塩分の75%は、塩を加える前から食品に含まれていると考えることが大切です。舌が濃い味に慣れてしまっているせいで、塩を加えすぎている可能性もあるので、味見しながら、本当に塩味が必要か考えてみましょう。 パスタやスープに黒コショウ、肉・野菜にには新鮮なハーブやスパイスを、炒め物にニンニクやショウガなどを入れると、塩味を抑えることができます。
レストランやカフェで食事をするときや、テイクアウトを注文する場合は、塩分の少ないものを選ぶようにしましょう。
ピザ:ペパロニ、ベーコンのものを選んだりチーズを追加する代わりに野菜や鶏のトッピングのものを選びましょう。
パスタ料理:ベーコン、チーズ、ソーセージではなく、野菜か鶏肉のトマトソースのパスタを選んでください。
バーガー:ベーコン、チーズ、バーベキューソースなどの塩分が高いトッピングは避け、その代わりにサラダを選びましょう。
中華料理・インド料理:ピラフやチャーハンよりも塩分が低い白米を食べましょう。
サンドイッチ:中身がハムやチェダーチーズではなく、アボカドやピーマンのような野菜や鶏肉、卵、モッツァレラのものを選んでください。そして、塩分が高いことの多いピクルスやマスタードの代わりに、サラダと低脂肪マヨネーズを選びましょう。
サラダ:ドレッシングやソースは塩分や脂肪分が多く含まれています。かける量に気を配りましょう。
発泡性(水溶性)ビタミンサプリメントを日常的に摂取しているか、発泡性の鎮痛剤を服用している場合は、1錠あたりの塩分が最大1g含まれていることを覚えておいてください。塩分摂取量に気をつけるよう勧告されている場合は、服用している薬を変えられないか、医師と相談する必要がある場合もあります。
はじめのうちは、薄口の味付けに物足りなさを感じてしまうかもしれません。ですが、先述したように、塩分の摂りすぎは高血圧のリスクを高めてしまいます。特に、小さいころから塩の味に慣れてしまうと、大人になってからの食習慣の見直しが難しくなるので、子供のいる家庭では注意しましょう。自宅の食事はもちろん、外食のときも、塩分に頼らない、おいしい食習慣を築いていきましょう。