記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2回にわたってお届けしている、「腰痛を緩和する方法」。
前回は自力でできるセルフケアをお伝えしてきましたが、今回は病院で受けられる腰痛治療についてご紹介していきます!
腰痛緩和のために、非ステロイド性抗炎症薬やオピオイド薬、筋弛緩剤が処方される場合があります。ただし、すでに市販薬など他の薬を服用している人は、過剰投与防止のため、処方について医師に相談しておくことが重要です。
また、うつ病ではなくても、慢性的な腰痛治療の一環として抗うつ薬を処方することがあります。抗うつ薬が慢性的な痛みをどのように緩和するのかははっきりしていませんが、化学伝達物質に対する抗うつ薬の影響が、体内の痛みのシグナルに影響を与える可能性があると考えられています。
理学療法士は、脊椎を適切な位置に保ち、腰の負担を軽減できるような座り方、立ち方、動かし方を教えてくれます。
また、理学療法士は腰を支える体幹の筋肉を鍛える特別なトレーニング法も教えてくれるでしょう。強い体幹は、最善の腰痛予防法のひとつです。トレーニングには時間はかかりますが、強さ、柔軟性、持久力を高めると腰痛が緩和するということが研究で明らかになっています。トレーニングは、短くて簡単なものでも効果があります。自分にふさわしい運動メニューが何なのかについては、理学療法士に尋ねてみるといいでしょう。
慢性的な腰痛を緩和するために、鍼治療が行われることがあります。
なお、鍼治療のほかに「経皮的電気神経刺激(TENS)」という治療法があります。これは穏やかな電気パルスを神経に送り、その刺激で痛みの信号を遮断する治療法です。
ある研究によれば、「認知行動療法は慢性的な腰痛を緩和する点で、短期的にも長期的にもとても効果がある」ことが明らかになりました。認知行動療法は、腰痛持ちの人が活動的になれるようにするために「身体的に活動することをどう考えているのか」「なぜ活動を避けてしまうのか」を紐解いていきます。結果的に認知行動療法を行っている人は、痛みや障害が大幅に減少したということです。
バイオフィードバックとは、特別な機械を使い、脳が痛みへの反応をコントロールできるよう鍛える治療法です。バイオフィードバックを通じて、脳は呼吸、心拍数、血流および筋肉の緊張を緩和することを学びます。いくつかの研究によると、薬を使った治療よりもバイオフィードバックのほうが痛みが和らぎ、痛みの強さが約30%軽減したことがわかりました。また、バイオフィードバックの一番のメリットは副作用がないことです。
腰痛を緩和するための治療法のひとつとして鎮痛薬の局所注射があります。さまざまな種類がありますが、たとえばコルチコステロイドの注射には炎症を緩和する効果があります。なお、注射の種類によっては、副作用を避けるため、年間の投与回数が制限される場合があります。
膨らんだ椎間板が神経を圧迫したことで腰痛が起きている場合、椎間板切除術が推奨されることがあります。もしくは神経や脊髄への圧力を抑えるため、椎弓切除術が勧められることがあります。これらの手術は他の手術と同様にリスクが伴うため、常に成功するとは限りません。手術を受けるかどうか、医師とよく検討する必要があるでしょう。
意外かもしれませんが、喫煙は腰痛の主な原因である変形性椎間板疾患に関連している可能性があります。喫煙者の方は医師に相談し、禁煙治療を受けることをおすすめします。
たいていの腰痛は前回ご紹介したセルフケアで緩和できますが、あまりにも痛みがひどかったり、慢性的な腰痛で悩まされたりしている場合は、一度病院を受診することをおすすめします。あなたの症状に最適な治療法を医師と一緒に見つけていってくださいね。