「砂糖は健康に悪い」は本当? どんな影響があるの?

2017/7/11 記事改定日: 2019/8/19
記事改定回数:3回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「カラダに悪いって言われるけど、甘いものが中々やめられない」という人は多いのではないでしょうか? 砂糖によってどんな問題が引き起こされるのか、どのように砂糖を減らせば良いのか、どのくらいまで摂っていいのでしょうか。この記事で詳しく見ていきましょう。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

砂糖が体に悪いと言われるのはどうして?

砂糖が体に悪いと言われるのにはさまざまな理由がありますが、特に「体重増加」「虫歯」「糖尿病」「血糖値の急上昇または低血糖」のリスクを高めることが、体に悪いと言われる一番の原因です。

砂糖は小腸にたどり着くと、ブドウ糖と果糖に分解され、速やかに体内に吸収されます。砂糖を摂りすぎると肥満になりやすくなるだけでなく、血糖値をコントロールするインスリンの働きが悪くなって、血糖値を急上昇させたり、心臓疾患、2型糖尿病といった病気を発症するリスクが高くなります。

また、血液中のブドウ糖が多くなると、体はブドウ糖をエネルギーに変えるためにインスリンを大量に分泌します。このとき、インスリンの働きによって血糖値が逆に低下してしまう恐れもあります。

さらに、砂糖の摂りすぎによって虫歯を引き起こすことも考えられます。甘い食べ物が歯に触れる時間が長くなればなるほど、口の中が酸性になる時間が増え、歯の再石灰化がされにくくなるからです。

砂糖を減らすためにどんなことをすれば良いの?

では、普段の食事から砂糖を減らすために、どのようなことをすればよいのでしょうか。以下に、砂糖を減らすための工夫を紹介します。

普段の食生活から甘いものを少しずつ減らす
白米やパン、スナック菓子、アイスクリーム、炭酸飲料など、身のまわりには甘い食べ物がたくさんあります。こうした食べ物をたくさん食べてしまうと、結果的に砂糖を摂りすぎてしまいます。
普段の食事から甘い食べ物を少しずつ減らせば、砂糖の摂取量を減らすことができます。たとえば、昼食後のデザートをやめる、コーヒーに砂糖を入れない、飲み物は砂糖の入っていない水やお茶を選ぶといった方法があります。
タンパク質と食物繊維を摂る
タンパク質を多く含む食品は糖質よりも時間をかけて消化されるため、満腹感を維持できます。また、タンパク質は血糖を上げにくいので、血糖値の急上昇を防ぐ働きも期待できます。
ただし、タンパク質が豊富な食品の中には脂肪分が多いものもあるので、脂肪の少ない鶏肉や低脂肪ヨーグルト、卵、ナッツ、大豆、豆腐などを選んで食べましょう
また、食物繊維にもタンパク質と同様に、満腹感を保つ働きと、血糖値の上昇を防ぐ働きがあります。食物繊維は果物、野菜、海藻類、全粒粉などの食品に豊富に含まれています。

砂糖を減らすと同時に取り組むと良いことは?

「砂糖を摂る回数を減らす」と聞くと、食事制限指導を受けることが一般的ですが、砂糖の摂取そのものを制限する指導よりも、砂糖によるリスクを予防するための行動を促す指導の方が受け入れられやすいことが明らかになっています。

先にも解説したように、砂糖を摂る回数が多くなるほど、虫歯の平均本数も増加する傾向があります。ただ、単純に砂糖の摂取回数を減らす指導だけでは、砂糖の摂取回数を減らす効果があまりないようです。たとえば、日本で1歳6カ月の歯科検診のときに保健指導を受けた子供と、受けなかった子供の歯の状態について、3歳児歯科検診のときに比べても、砂糖の摂取回数に大きな差がなかったという報告があります。しかし、虫歯予防に効果的なフッ素を塗ってもらった子供は、保健指導を受けていた割合が高かった、という結果が出ています。

そして、運動も砂糖の過剰摂取によるリスクを防ぐ上で効果的です。運動するとカロリーが消費され、肥満や血糖値の上昇を予防できます。ウォーキング、自転車、水泳などの有酸素運動を1回につき30分ほど行うのが理想的です。

健康を維持するための砂糖の量はどのくらい?

砂糖は、食べ物や飲み物から得るカロリーの5%以上にならないことが推奨されています。理想的は、以下の量にとどめることです。

成人の場合
1日あたりの摂取量は最大30g(角砂糖7個分)
4歳から6歳の子供
1日19g(砂糖5個分)以下
7歳から10歳の子供の場合
24g(角砂糖6個分)以下

砂糖は新鮮な果物や牛乳などの食品中にも含まれますが、これらの糖分を減らすのではなく、お菓子やケーキ、ビスケット、チョコレート、炭酸飲料やジュース飲料などの食品に含まれている砂糖を減らすようにしましょう。特に、ジュースには砂糖が多く含まれているので注意が必要です。

砂糖は赤ちゃんや子供の成長には欠かせない

体や脳が発達している段階の子供たちは、カロリーをたくさん摂る必要があります。カロリーの約60%は、ごはん・パン・そば・砂糖などの糖質(炭水化物)から摂るのが理想とされ、中でも小腸での消化吸収が早く、エネルギーになりやすい砂糖は、子供にとって必要な食品のひとつだと言えます。

また、体を動かすエネルギー源としてタンパク質や脂肪も使うことが出来ますが、脳のエネルギー源となるのは糖質(炭水化物)が分解してできるブドウ糖のみです。このため、体内で素早くブドウ糖に分解される砂糖は、脳のエネルギー源に適しています。

おわりに:砂糖は成長に必要な栄養源。でも、摂りすぎには注意しよう!

  • 砂糖は体に悪いというイメージがあるた、赤ちゃんや子供の成長はもちろん、全ての人のエネルギー源として欠かせない
  • しかし、摂りすぎると虫歯や心臓疾患、糖尿病などの原因となってしまうのも事実

砂糖は必要な栄養素ですが、1日の摂取目安量をできるだけ超えないよう、気をつけて摂りましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

砂糖(5) 糖質オフ(2) 糖分とりすぎ(2) 砂糖を減らす(1)