ズキンとくる腰の痛み~腰痛と椎間板ヘルニアの関係②

2017/7/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

前回の記事では、激しい腰痛について、椎間板ヘルニアについてみてきました。今回は、椎間板ヘルニアとあわせて変形性脊椎症についてもくわしくみていきましょう。また、腰痛を緩和する対策についてもお伝えします。

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腰痛の原因となる椎間板ヘルニアと変形性脊椎症

なぜ、腰の部分に痛みが出るのでしょうか?

腰には無意識のうちにたくさんのストレスと負荷がかかっています。上半身の体重による負担が、常に背中にかかっていることが原因のひとつとも考えられています。

上半身の体重を主に支えているのは脊椎(脊柱・背骨)であり、脊椎は椎骨と呼ばれる複数の骨で構成されています。

椎骨と椎骨の間には、椎間板と呼ばれるスポンジ状の軟骨組織がはさまっています。椎間板は自動車のショックアブソーバー(揺れを吸収しショックを抑える役割)として機能し、椎骨が互いに擦れ合うのを防ぎます。

何らかの原因で椎間板が破れたり、傷をついてしまったり、加齢により椎間板が弱くなると、椎間板の中心部にある「髄核」が外側に移動して椎間板が膨らんできます。そのまま進行していくと椎間板の膨隆(膨らむこと)となり、さらに進行して髄核が飛び出した状態になったものが「椎間板ヘルニア」です。

椎間板の膨隆やヘルニアが、周囲の神経を圧迫すると痛みやしびれなどの症状を引き起こすと考えられています。その症状を、ある椎間板ヘルニアの患者は、「私が動くたびに、骨盤の周辺に電流が走ったような衝撃が起こります」と表現していますが、痛みやしびれの現れかたには個人差があるので、すべての人に当てはまる表現ではありません。

また、椎間板ヘルニアは、腰の痛みだけでなく、腰から下の下半身(おしり、ふともも、ふくらはぎ、足、足の指など)を支配する神経に圧力をかけ、痛みやしびれを臀部や脚、足まで広げることがあり、この症状を「坐骨神経痛」と呼んでいます。

年齢とともに椎間板がさらに変形縮小していくと「変形性脊椎症」を引き起こす場合があります。変形性脊椎症とは、加齢によって起こる椎間関節の変形や骨棘形成などのことです。進行すると椎間板の変性がさらに進み、椎骨(椎体)と椎骨の間の幅が狭くなり、腰痛が発生したり、腰の動きが悪くなったりするようになります。また、変形性脊椎症による変形がひどくなると、脊柱管狭窄症に移行することがあります。

腰痛緩和のためのヒント

椎間板ヘルニアや変形性脊椎症、座骨神経痛による痛みは完全にコントロールできないわけではありません。

ほとんどの患者には、1日中座り心地の悪い椅子に座っていたりすると痛む、同じ不自然な格好でいたり体を不快な体勢にひねったりすると痛むなど、「腰が痛む要因なる動きや姿勢」があるとされ、そのような動きや姿勢をとることは避けて、できるだけ姿勢を正すように心がけていくことが症状のコントロールにつながるでしょう。

また、腰痛を緩和するために、以下のことを試してみることをおすすめします。
・喫煙している場合は、喫煙習慣をやめるための支援を受ける
・座ったり立ったりするごとに、良い姿勢を意識してとるようにする
・何かを持ち上げるときは、背中ではなく、膝に重心を置いて持ち上げる
・背中を支える筋肉、特に腹部、臀部、背中、骨盤の筋肉を鍛える運動をする

筋肉が鍛えられ、十分に運動できていれば、腰を痛めにくくなります。
・腰痛が再発するたびに、ベッドに横になりたくなる衝動に打ち勝つ

私たちの体は使うことが前提になっています。痛みがあると、「使わないために起こる病」を発症することがあります。

おわりに:椎間板ヘルニアなどの腰痛治療は病院での治療が近道

腰痛の治療で大切なことは、医師に相談し、早期に腰痛の治療を受けることです。

適切な治療を受ければ、いつまでも好きなことで動き続けたり、活発であり続けることができるでしょう。人生を楽しむためにも、椎間板ヘルニアや変形性脊椎症など「腰痛の原因」になる問題が起こっていないかを病院で検査してもらい、適切な治療を受けるようにしてください。

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