記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/9/19 記事改定日: 2019/1/16
記事改定回数:1回
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
アデノウイルスは、結膜炎の原因になるウイルスです。伝染性が強く、手指やタオルなどを介した接触や、感染者の咳やくしゃみなどでも広まっていきます。
学校や会社のような環境では集団感染に注意しなければなりません。正しい予防・治療の方法を身につけましょう。
ウィルス性の結膜炎は、アデノウイルスによるものが多いです。
通常は片眼だけに感染しますが、こすってしまうと反対側の眼に感染が広がってしまうこともあります。
目から膿や粘液が流れたり、涙の量が増えて水のような分泌物が出てくる症状が現れ、耳のまわりや顎骨の下のリンパ節が腫れることもあります。
アデノウイルス結膜炎の多くは、涙や目やに、唾液などに含まれるウイルスが目に飛んだり、付着した手で目を擦る、タオルや寝具を共用するなどした二次感染によって感染が生じます。
周囲に感染を広げないためには、症状がある間はマスクをし、こまめに手洗いや手指消毒を行ってウイルスを周囲に付着させないようにすることが大切です。もちろんタオルや寝具の共用は避け、ウイルスが大量に含まれる涙や目やになどはガーゼで取るようにしてウイルスに触れないように心がけましょう。
また、他人からの感染を防ぐには、むやみに目を擦らない・外出後などは手洗いをするなどの対策が重要となります。
アデノウイルスに対する抗ウイルス薬は開発されていないため、結膜炎を発症したとしても症状を緩和させるための対症療法を行いながら自然に治るのを待つしかありません。
アデノウイルス結膜炎は非常に強い炎症が生じるため、重度な充血や目のかゆみ・痛み、流涙などが見られます。また、炎症によって結膜が乾燥しやすくなるため、涙の成分や抗炎症作用のある目薬が使用されます。場合によっては、細菌への二次感染を防ぐために抗生物質入りの目薬が使用されることもあります。自宅でのセルフケアとしては、目の乾燥を防ぐために室内を十分に加湿したり、ホットタオルなどを目に当てるとよいでしょう。
ウイルスに感染しているときに出かけたりしないことはもちろん、咳・くしゃみを周囲にまきちらさない、手洗いを欠かさないといった、タオルは清潔を保ち他人と共有しないなどのエチケットが流行を防ぐ重要な手立てとなります。
症状がおさまったからといって、体内のウイルスがなくなったとはかぎりません。医師が完治したと認めるまで、指示に従いましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。