記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
2017/7/10 記事改定日: 2017/9/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
呼吸がしづらい、痰が出る、喉が切れて血が出るなど、咳が止まらないのは辛いものです。しかし、「風邪やインフルエンザじゃないのに咳だけが治らない」という場合は、気管支炎や肺炎に感染している可能性があります。特に肺炎は最悪の場合死に至る危険性があるため注意が必要です。
咳が出る・咳が止まらないといった場合、気管支炎や肺炎が疑わることがあります。この2つは病状が似ているため区別するのが難しいとされていますが、いったいどのように違うのでしょうか。以下で見ていきましょう。
気管支炎は肺に空気を運ぶ気管支への感染により炎症を生じた状態です。急性気管支炎と慢性気管支炎の2種類があります。数日から数週間で治るものが急性気管支炎です。ウイルスや細菌によって引き起こされます。
数週間から数ヶ月続くものを慢性気管支炎と呼びます。慢性気管支炎の原因は、結核や非結核性抗酸菌によって起こることがあります。感染症以外に、アレルギーが関係していることも多いです。ちなみに、非喫煙者と比べて喫煙者のほうが慢性気管支炎になる可能性が高いといわれています。
肺炎は細菌やウイルスによって引き起こされる感染症の一種です。原因、年齢、体の健康状態などによって、軽度から重度まで異なる症状を現します。一般的な症状として、以下のようなものがあります。
・咳が止まらない
・痰がでる(黄色、緑色、時には血の混じった粘液)
・発熱
・悪寒がする
・息切れしやすい
・胸の痛み(咳や深呼吸をすると、刺すような激しい痛みがある)
・混乱することがある
マイコプラズマ肺炎とは若い世代に多く見られる肺炎です。学校や職場、病院、商業施設など、人ごみの多い場所で過ごすことが多い人は、この肺炎にかかる確率が高いといえるでしょう。通常は軽度で済む場合が多く、抗生物質で治療することができます。しかし、マイコプラズマ肺炎は皮膚発疹や溶血など、重篤な症状に発展する可能性があるので注意が必要です。
ここでは気管支炎の原因と治療法を見ていきましょう。
気管支炎の原因のほとんどは風邪やインフルエンザ(ウイルス)ですが、細菌の感染によって発症するケースもあります。原因が細菌でもウイルスでも、免疫がそれらと闘うたびに気管支から多くの粘液が生成されます。その結果、空気が通過していく開口部が狭くなり、呼吸が困難になります。
ほとんどの急性気管支炎は数日から数週間以内に治ります。細菌性のものであれば、抗生物質が処方されるでしょう。また、喘息やアレルギー、喘鳴などがある場合は吸入器を処方されることもあります。また、次に述べる方法は症状を和らげるために効果的です。
多めに水分摂取すると痰の粘り気が減り、咳で出しやすくなります。
代表的なものとしてイブプロフェン、ナプロキセン、アスピリンなどがあります。アセトアミノフェン: タイレノールには、鎮痛と解熱の両方の効果があります。 ただし、子供にはアスピリンを与えないでください。
特に温かい蒸気には痰を出しやすくする効果があります。
これらに加えて、治療中は無理をせずにきちんと休息を取ることも大切です。
細菌感染の場合は抗生物質が処方され、原因がウイルスであれば抗ウイルス薬が処方されることがあります。状態によっては入院する可能性もあります。
肺炎の主な原因は細菌とウイルスによるものです。特に細菌感染は成人における肺炎の最も一般的な原因で、感染の原因となる細菌の種類は多岐に渡ります。もうひとつはウイルスによるものです。主な例としては、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス(RSウイルス)、一般的な風邪ウイルスなどがあります。
症状を和らげるために以下の方法を試してみてください。
・水分を多めに摂る
・休息を取る
・痛み止めや解熱剤を服用する
肺炎の咳に対して咳止めが効果的であるという証拠はほとんど無いため、咳止め薬は避けたほうがよいでしょう。なお、通常は治療のために数週間以内の抗生物質を使った治療を行いますが、それによって1ヶ月間ほど疲労感が残ることもあります。
肺炎と気管支炎の違いについて、わかっていただけたのではないでしょうか?ただし、どちらにかかっているのかを自分で判断するのはかなり難しいので、自己判断は危険です。疑わしい症状がある場合は医師に相談しましょう。また、症状がいつまでも改善しない場合もできるだけ早く病院で治療を受けることをおすすめします。