記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肺がんは、日本に限らず世界でも死亡率の高いがんとして知られています。大きな原因として考えられているのは、言うまでもなく「喫煙」ですが、他にも肺がんの原因はあり、その多くが、他のがんとは違う特徴を持っているといわれています。
この記事では、肺がんの原因について詳しく解説していきます。
肺がんのもっとも大きな原因と考えられているのが、喫煙です。すべてのケースの85%を占めるといわれています。
一方で禁煙は肺がんリスクを下げるとされ、今まで喫煙していた人も禁煙によって、今後も喫煙する場合と比較すると肺がんリスクを低下させることができます。
受動喫煙もまた原因のひとつです。喫煙者と共に暮らす人は喫煙者のいない環境で暮らす人と比べて肺がんを患う可能性が20%から30%高いです。
自らタバコを吸わなくても、がんにかかる可能性はあります。タバコを吸っている人のそばにいることで、自分の意思とは関係なくタバコの煙を吸い込んでしまうことを「受動喫煙」と呼び、毎年3000人の非喫煙者が受動喫煙によって肺がんにかかり死亡しているといわれています。喫煙者と共に住むことでがんを患う可能性は30%も増大する可能性があるのです。
世界保健機関は、2013年に大気汚染を肺がんの原因に指定しました。排ガス、化学物質、塵といった汚染物を吸引することもがんに繋がるということです。
現在、アスベストは公式に発癌物質に分類されています。1989年以降、この物質は新たな使用が禁止されていますが、何世紀にもわたって市民はこの物質の危険性を知らなかったのです。
アスベストは主に建物を絶縁、防火するために広く使用されました。建築業に携わっている人、特に古い建物を扱うことがある、という人はリスクがあります。
飲酒者の多くがタバコを吸いながら飲酒するため、飲酒と肺がんとの関係性を導き出すのは簡単ではありません。しかし、ある研究によると、過剰な飲酒は非喫煙者の罹患にも繋がるということが示唆されています。
炭水化物の割合の多い食生活を送ると、インスリン抵抗性が高くなり(膵臓の出すインスリンの効きが悪くなる)、肺がんに繋がる可能性があるとされています。白パン、白米など、グリセミック指数の高い食物の摂取量を抑えるようにすることで、肺がんの発症率を下げられる効果が期待できます。
ホルモン補充療法は月経期の女性の症状(斑点や骨粗鬆症などの危険な状態も含める)を抑えることができ、広く使われています。しかし、治療で投与されるエストロゲンとプロゲスチンの混合物は、肺がんの可能性を高めるという報告があります。喫煙者がホルモン補充療法を受けるときは特に注意が必要となるでしょう。
家系に肺がん患者がいる場合、肺がんを患う可能性高いことが示唆されています。ただし、これが遺伝によるのか、あるいは受動喫煙やその他の要素(例えば家屋にアスベストが含まれていたなど)を含む環境因子の影響かについては、はっきりしたことはわかっていません。
このように、肺がんになる原因はさまざま喫煙の他にも様々です。最近は非喫煙者や若いかたの肺がんの例がよく報道されていますが、タバコ以外の原因についても学んでおく必要があるでしょう。