記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/19 記事改定日: 2018/4/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
咳が止まらず、呼吸も苦しくなってしまう喘息。一般的な疾患ではありますが、もし「喘息かも?」と思ったら何科で検査を受ければいいのでしょうか。最新の検査やその費用についても、併せてご紹介します。
呼気NO検査とは、いま注目を集めている喘息や咳喘息の新しい検査法です。息を吹き込むだけで数分後には結果がわかる上に、保険適用内の検査のため、3割負担であれば720円で検査が受けられます。
喘息を起こすと気道内では好酸球やリンパ球などの免疫細胞が攻撃を続けるのですが、その結果、戦勝物質の一種である「呼気NO」(呼気一酸化窒素)が上昇することがわかっています。
呼気NO検査を置いてある専門外来やクリニックであれば、検査を受けられます。やり方は以下の通りです。
1.マウスピースをくわえて息を最大限吸い込む
2.機械の画面を見つつ、10秒間一定の速度で息を吐き始める
3.約1分後に結果が出る
健康であれば15ppbが平均値ですが、22ppb以上であれば喘息の疑いがあり、37ppb以上で可能性は非常に高くなります。
ただし、鼻炎や風邪、食べ物(硝酸塩を含む、牛肉やレタス、ホウレンソウなど)の影響で呼気NOが上昇したり、また喫煙やカフェイン、特定の薬の摂取で数値が下がったりするとも報告されているため、検査前には最低2時間は飲食と喫煙を控える必要があります。
風邪などの一時的な咳であれば内科を受診しますが、一般内科では幅広い病気をカバーする一方、呼吸器疾患に対する的確な診断は難しくなりがちです。2週間以上の長引く咳など喘息が疑わしい場合は、呼吸器疾患が専門の呼吸器科や呼吸器内科、あるいはアレルギー科を受診しましょう。喘息の場合はアレルギー検査も併せて行うこともあるので、アレルギー学会の専門医がいる医療機関にかかるのもおすすめです。
喘息とは何らかの原因によって空気の通り道(気管支など)に炎症がおこっている状態です。原因は様々で長期的な治療が必要な事が多いですが、ほとんどの場合は適切な治療によって症状をコントロールし通常の生活を過ごすことができるとされています。喘息の主な症状として以下のようなものがあります。
・息がしづらい
・ゼーゼーと息を切らすような咳が出る
・頻繁な咳、もしくは夜に咳が出る
・胸に痛みや圧迫感がある
・咳が出るせいで会話しづらい
・汗ばむ
・顔色が悪くなる、唇や爪が青くなる
喘息は放っておくと状態が悪化し、場合によっては呼吸困難などの深刻な症状を引き起こします。上記の項目に当てはまる症状や自身で気にかかる症状がある場合は、できるだけ早く医師に相談しましょう。
喘息を改善するためには適切な方法で治療することが大切であり、そのためには検査は非常に重要な役割を果たしています。ここではその手順や内容を説明していきましょう。
医師は問診で詳しい病歴情報を確認します。喘息およびアレルギーの誘発因子などに加え、活動レベルおよび食生活、家庭および職場環境、家族歴などの生活習慣に関するものについても確認が必要です。答えられる範囲でかまわないので、喘息の症状やきっかけとなることについてできるだけ詳しく伝えるようにしてください。
検査で身体の状態を詳細に把握し、その結果をもとに喘息治療の計画を立てていきます。喘息の検査には、主に次の方法があります。
文字通り肺機能を評価する検査です。喘息では、肺機能検査(スパイロメトリー)とメサコリン誘発試験の2つの肺機能検査を行うことが一般的とされます(メサコリン誘発試験は施行出来る医療機関が限られます)。肺機能検査は、肺からどれくらいの量とスピードで息を吐き出すことができるかを測定します。この検査はどのくらい気道が閉塞されているか確認するために使われることが多いです。
問診と肺機能検査の情報だけで診断が難しい場合には、メサコリン誘発試験を実施することもあります。この検査は喘息治療薬の反応を監視することもできるため、成人だけでなく5歳以上の子供にも推奨されることが多いです。
肺炎などの別の疾患が疑われる場合、胸部X線撮影を行います。
アレルギー検査は、喘息症状を引き起こすアレルギー要因を特定する必要がある場合に行われます。
喘息の治療計画を決めるためには、喘息の重症度を見定める必要があります。問診や肺機能検査から得た情報のもと、4つの重症度に分類し、その重症度に応じて治療が決定されます。
症状が出るのは1週間に2回以下で、たまに喘息の発作が見られ、まれに夜間に喘息症状が起こる状態です。
症状は週2回以上見られるものの1日1回未満であり、喘息発作が日常生活に影響を及ぼす段階です。月に2回以上、夜間の喘息症状があることも特徴です。
喘息の症状は毎日、夜間症状は1週間に1回以上発生します。普段の活動に影響を与えるような喘息発作を起こす傾向があり、さらにその症状は数日間続く可能性があります。症状をコントロールするために、速効型の喘息薬の使用が必要です。
断続的な症状が昼夜を問わず起こり、喘息発作が頻繁に見られる状態です。
喘息発作の原因や症状の度合を把握することは、喘息を管理する上で大きな助けとなります。近年では呼気NO検査など、安価で早く結果が得られる検査も登場しているので、「喘息かも?」と思い当たる症状がある場合は、早めに呼吸器内科などの専門外来を受診しましょう。