記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
熱中症は、誰にでも起こりうるものです。子供や高齢者などは特にリスクが高いので気をつけましょう。では、熱中症になった場合どうしたら良いのでしょう?
この記事では、熱中症になった場合の応急処置を中心にまとめました。
熱中症は、 体が体温を制御できなくなったときに起こります。体温はしばしば40度、あるいはそれ以上にまで上昇し続けます。熱中症は体が体温を制御できなくなる、暑く湿度の高い状況で起こりやすい とされ、医学的緊急事態である熱中症には、古典的熱中症と労作性熱中症のものの2つの種類があります。
古典的熱中症は、暑熱環境の中で長時間過ごすことで誘発された熱中症です。幼い子供や、心臓病を持っていることの多いお年寄りなどの弱い人たちがなりやすい熱中症です。
労作性の熱中症は暑熱環境+スポーツや肉体労働などの筋肉運動が合わさって誘発された熱中症であり、古典的熱中症とは成り立ちが異なります。
労作性熱中症の中で、肉体労働では仕事初日の死亡事故が最も多いことがわかっています。
慣れない作業を開始する場合には、初仕事への精神的緊張や急な筋肉運動の開始などが余分な負担となりえます。したがってスポーツの初心者や仕事の新入りの方が発症するリスクが高いです。
熱中症の顕著な特徴としては、最低でも41度の極端に高い深部体温と、もうろうとした意識が挙げられます。
患者は錯乱状態になり、けいれんを起こすこともあります。他の初期症状としては、脱力した状態、頭痛、吐き気、嘔吐と筋肉痛があります。患者は 心拍が早くなり、わきの下であっても肌が熱く、赤く、乾いた状態 になります。
症状にきちんと処置がされないと、致命的になる可能性があります。
下記の症状が見られたら注意が必要です。
・数秒以上続く無意識状態
・ひきつけ(けいれん)
・ひどい呼吸困難を和らげようという兆候
・暑い環境にさらされた後体温が40度以上になる
・混乱、深刻な不安や心配
・速い心拍
・ひどい発汗か、汗が出ない状態
・わきの下であっても、肌が赤く、熱く、乾いている
・ひどい嘔吐と下痢
熱中症は死にいたる可能性があるので、早期に発見して即座に応急処置と医学的処置をする必要があります。 冷却の後に再び体温が上がるようなら、絶対に入院が必要です。
熱中症は医学的緊急事態です。即座に処置をしたとしても、命をおびやかしたり、深刻で長期にわたる合併症につながることもあるのです。救急車を呼んだ後は、これらの応急処置ステップに従ってください。
患者を涼しい、直射日光の当たらない場所に動かしましょう。
患者の不要な服を脱がし、肌の表面にできるだけ空気が当たるように体の脇を下にして寝かしましょう。
患者の身体全体にスポンジを使ったり冷水を吹き付けたりしましょう。また、アイスパックなどを体に当てて、扇いで風を送り、患者の体温を下げましょう。
患者の体温を計り、できるだけ早く39℃かそれ以下まで下げるようにしましょう。
体温が高い時間が長ければ長いほど、より熱中症は深刻になり、合併症が発症しやすくなります。ただし、口や耳で計った体温はこの緊急事態においては正確ではありません。
子供が呼吸を止めてしまったら、人工呼吸を始めましょう。
熱中症による高い体温を下げるためにアスピリンやアセトアミノフェンを投与してはいけません。
これらの薬は体の熱中症への反応のせいで問題を起こすことがあるかもしれません。
もし患者が目覚めていて飲み込むことができるくらいの状況であるなら、水分補給のために1~2リットルの水分を1~2時間で与えましょう。
ただし、熱中症になった人は安全に液体を飲むことができないことも多く、周囲は注意して補助してあげる必要があります。
喉を詰まらせないように患者が十分に体を起こしているのを確認しながら、水分を与える ようにしましょう。
熱中症にならないために、次に挙げることに気をつけましょう。
・1日のうち最も暑い時間帯(午前10時から午後3時)は、屋外で激しい運動をするのは避けましょう。また、太陽に当たらないように気をつけてください。
・涼しい状態でいましょう。軽い服と、つばの広い帽子を身につけ、1日に1回か2回冷たい風呂に入るかシャワーを浴びるようにしましょう。
・水分をしっかり取り続けましょう。ただし、水分の取りすぎには注意が必要です。
今まで見てきたように、意識を失う、痙攣を起こしているなど、熱中症の激しい反応が見られたら、スグに救急車を呼ぶか、医療機関を受診しましょう。救急車を呼んだ後は、ここに挙げた応急処置をして、救急車を待ちましょう。