記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/13
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
「もうすぐ待ちに待った海外旅行!」という人、
今からワクワクがとまりませんよね。
だからこそ、
楽しみにしていた旅行で体調を崩す・・・
なんてトラブルは避けたいもの。
今回は、海外旅行中や旅行先で気をつけたほうがいいポイントをご紹介します!
旅行前にはやらなければならないことがいっぱいあります。以下を参考にしてください。
前もって旅行計画を立て、渡航先が予防接種が必要な国の場合は、出発の少なくとも6週間前に医師に相談してください。
特定のワクチンは注射の効果が約6週間後まで続かない場合があります。また、子どものときに受けたワクチンは、新たに接種する必要があるかもしれません。
新たに接種が必要となる可能性があるワクチンは、以下のものになります。
渡航先の感染症流行状況や、入国に予防接種証明書を要求される場合もあるので、事前の確認が必要です。
・A型肝炎
・B型肝炎
・インフルエンザ
・日本脳炎
・麻疹、ムンプス、風疹
・髄膜炎菌性髄膜炎
・肺炎球菌
・ポリオ
・狂犬病
・破傷風、ジフテリアトキソイド
・腸チフス
・水痘
・黄熱病
旅行前に医師の診察と検査を受けてください。また、歯科治療は完了させておくようにしましょう。
旅行先の医療情報を調べておきましょう(健康保険ならどのくらいの料金を支払うことになるかなど)。
服用中の処方薬は容器に入れて、念のためにお薬手帳も持参しましょう。旅行の最終日の分まで十分な薬を携行してください。帰りの便が遅れた場合に備えて、余分な薬も準備しておくのもいいでしょう。
また、食事や睡眠時間が目的地によって変わる場合、服用量を変える必要があるかどうか医師に相談してください。
緊急時に備え、医師の名前と電話番号を周囲に知らせておき、全ての薬の名称と用量も携行しておきましょう。
以下のものがあると便利です。
・処方薬
・下痢や胃腸用の薬
「旅行者下痢症」にかかる場合に備えて、抗生物質や制酸薬の処方箋をもらえるかどうか医師に相談してください。
・風邪薬(せき用)
・アスピリン、アセトアミノフェン、ナプロキセン、イブプロフェンなどの鎮痛薬
・抗うつ薬、アレルギー用の抗ヒスタミン薬(眠気を起こさないもの)
・抗生物質の軟膏
・絆創膏
・ヒドロコルチゾンクリーム
・SPF15以上の日焼け止め
・リップクリーム
・酔い止めの薬
・アセタゾラミド
悪心や高山病の予防に有効です。
・はさみ、ピンセット、爪切り、ポケットナイフ、体温計、鏡
・ウエットティッシュと除菌消毒薬
移動中の飛行機でも、気をつけなくてはいけないポイントがあります。
ほとんどの人は快適な空の旅を送ることができますが、機内の空気は乾燥しているので、非アルコール性、脱カフェイン性の飲み物や水を飲んで脱水症状を避けるのがベストです。
時差ぼけの対策として、出発前に十分な睡眠をとるようにしてください。メラトニンも時差ぼけに効果があるといわれていますが、どれくらい長期間使用しても安全かは不明です。メラトニンやその他のハーブ、代替薬を服用する予定がある場合は、医師に相談してください。
飛行機に乗る前に鬱血除去薬を服用してみてください。
また、飛行中に頻繁に飲み物を飲んだりガムを噛んだり、赤ちゃんの場合はボトルやおしゃぶりを吸うことが有効です。
健康な人であっても、長時間のフライトの後には足が浮腫んでしまいます。客室乗務員から注意されない限り、飛行中に足をマッサージしましょう。水を飲んだり、ふくらはぎの筋肉を引き伸ばしたり、サポートストッキングを着用するのも効果的です。
なお、高度の変化が激しいため、スキューバダイビング後すぐの飛行も危険です。ダイビングから飛行までは12〜24時間ほど待ちましょう。
無事目的地へ到着した後も、まだまだ気を抜いてはいけません。素敵な旅行にするために、以下のポイントにも注意してください。
時差ぼけせず、健康なリズムを整えるために以下のことを心がけてください。
・大量に飲酒しない
・バランスの取れた食事をとる
・過食を避ける
・旅行中にできるだけ多く運動する
・睡眠薬の使用は数日に限る
・食事や就寝時間のスケジュールに沿い、旅行先の時間の流れに慣れる
「旅行者下痢症」のリスクが高い国では、食事に気をつけてください。高温で蒸され、よく調理された食品が最も安全です。下記にも注意してください。
・露店で売られている食品や低温殺菌されていない乳製品、生食または未加工のシーフードは避ける
・果物の皮は自分でむく
・市販のボトル入りミネラルウォーターか炭酸飲料を飲む
・歯をみがくときもボトル入りの水を使う
・氷は避ける
蚊に媒介されて起こる病気(マラリアなど)のリスクが高い国に行くときは、下記の方法で虫から身を守ることが大切です。
・虫除け剤や蚊帳を使用し、眠るときは衣類を着用する
・旅行前にマラリア薬の摂取を開始し、旅行中に服用し、帰宅後4週間は服用を続ける
・淡水の湖や川で水泳なども避ける
→住血吸虫症(ビルハルジア症)は、アフリカの特定の河川や湖沼で起こる疾患です。
混雑した交通機関を避けてください。シートベルトが付いていない車には乗らず、オートバイに乗る場合はヘルメットを着用する、夜間や不慣れな地域では地元の人の助けや指示が得られない限り運転しない、などの注意が必要です。
また、渡航前に外務省の海外安全ホームページをみておくことも参考になります。
出発前から旅行中まで、気をつけたいポイントはたくさん。でもこれさえ守れば、きっと最高の思い出ができるはず!万全な体調で、海外を思いっきり満喫してきてくださいね。