記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
一度腰痛(背部痛)になると、何度も再発したり痛みが長期化することも多く、悩みを抱えている人も多いでしょう。最近は、PC作業などが増えたことで、デスクワーク特有の腰痛も増えているようです。この場合は、動かすことで改善することがあります。今回は腰痛改善が期待できる体操を紹介しましょう。
腰痛のにぶい痛みは、ひどいときには一日中続くこともあります。ヨーロッパの研究によると、慢性的な腰痛を抱えている人は理想的な背骨のライン(S字カーブ)を保持するのに重要な筋肉が明らかに萎縮していることが確認されました。
これは、2つの主要な筋肉が活動しなくなると腰痛が起こる可能性があることを示唆した過去の研究と重なります。2つの主要な筋肉とは、深層で腰椎を支える多裂筋と、コルセット状に体幹を支える腹横筋です。
毎日を座って過ごしていると、筋肉が使われないため萎縮していきます。その状態が長く続くと、萎縮が進み筋肉が正常に作用しにくくなってしまうのです。筋肉が正常に働かなくなってしまった状態で、芝を刈ったり、家具を動かしたり、重いものを持ち上げたりすると、腰部などの関節にかかる負担が大きくなり、痛みに襲われる結果になります。
腰痛を予防するためには、脊椎を保持する筋肉「インナーマッスル」を毎日活発に動かし鍛えることが重要です。以下の体操を試してみましょう。
仕事中や家で過ごしているときに、椅子なしで過ごす時間を増やすだけでも、インナーマッスルは刺激されます。おすすめなツールはフィットネスボールです。フィットネスボールに座りながらテレビを見ているだけでも、効果が期待できるので試してみてください。また仕事中、椅子の代わりに使ってもかまいません。
ずっと座りっぱなしだと、筋肉が弱まってしまうだけでなく椎間板などにも負担がかかります。座っている時間が長い人は、30分ごとなど、定期的に立ち上がることを習慣化しましょう。可能ならば、屈伸などの軽いストレッチや職場を速足で1周するなど、合間で身体を動かすようにしてください。
寝ていて起き上がるときは、急に立ち上がるのではなく、軽く背筋を伸ばしてから立ち上がりましょう。仰向けになり、左の膝を胸まで持ち上げ右手で右に引っ張り、10秒その状態をキープしましょう。これを3回繰り返し、反対側も同様に行ってください。
休日や空いている時間は、できるだけ歩くようにしましょう。筋力や体力がある程度ついてきたら、自転車に乗ったり、泳いだりジョギングしてもかまいません。長く時間をとれないという場合は、移動中はなるべく階段を使うようにしたり、1つ前の駅で降りたり、少し遠回りして帰るようにしてみましょう。
1日の終わりに背中や腰がズキズキ痛んだら、次のことを試してみましょう。
多くの人が仕事中に背中を痛めています。正しい物の持ち上げ方を学び、実践しましょう。脚の筋肉は腕の筋肉の約10倍の強さとされています。物を持ち上げるときには膝を曲げ、脚全体の筋肉も使って持ち上げるようにしてください。腰をそらせて上半身だけで持ち上げようとすると、腰への負担が大きくなるので注意が必要です。
長距離をドライブするときは、2時間ごとに休憩をとり、足を伸ばしましょう。オフィスで働いているときも同様です。1日中立ちっぱなしの人は、合間に屈伸したり、足首を回したり、つま先を伸ばすなど、出来る限り関節を動かすようにしてください。立ち方を少しずつ変えていくなどの工夫も大切です。
仰向けに寝転がって膝を曲げ足を床にくっつけ、骨盤を傾けるように動かしてください。このとき、腹筋とお尻の筋肉に力を入れ、そのまま数秒維持した後、リラックスしながらゆっくり仰向けに戻りましょう。これを10回繰り返してください。
一方の脚をまっすぐにし、もう一方を曲げた状態で床に着け、仰向けに寝ましょう。可能ならば背中を床につけ、脚を強く伸ばしてください。背中が床につかない場合は、手で上半身を支えながら、できるところまで背中をうしろに倒していきましょう。
大切なことは、脚の筋肉がきちんと刺激されていることです。曲げた脚の太ももの前面と、伸ばした脚の後面全体の筋肉が心地よく伸びていることを感じながら、その体勢を10秒保ったあとゆっくり解放し、これを10回繰り返しましょう。
一方の足をまっすぐにし、もう一方を曲げた状態で床に着け、仰向けに寝ましょう。できるだけゆっくり、まっすぐな方の脚を持ち上げ、その体勢を10秒保ちゆっくり解放しましょう。これを10回繰り返してください。
オフィスワークは座ったままの状態が多いので、背中や腰の痛みの原因になります。今まで見てきたように、できるだけ体を動かすようにし、腰痛予防に努めましょう。ただし、今回紹介したストレッチなどを行っているときに痛みが起こったときは、やり方が間違っているか、何らかの問題が生じている可能性があります。すぐに中止して、病院を受診してください。