記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
起床時に腰が痛む、いつも腰が重いなど―
腰痛でお悩みの方は多いのではないでしょうか。そこで今回は、医師が勧める仕事場とプライベートで実践できる腰痛対策をそれぞれご紹介します。
仕事が理由で腰痛になる人の数は腰痛患者の中でも6~9割と、高い割合を占めているといわれています。
以下でご紹介する仕事場でできる対策は、腰痛を予防・軽減する上で大きな助けとなるでしょう。
パソコンの画面が目の高さより位置が低いと姿勢が悪くなってしまいます。
キーボードと画面とマウスが分離しているパソコンを使うようにするか、ラップトップスタンドやドッキングステーションを使うようにしましょう。買い替えが難しければ本や紙の束をパソコンの下に敷いて画面の高さを上げる方法がオススメです。
また、パソコンは体の正面に設置し、腕から手首までが一直線になる近さにキーボードをもってきましょう。体をキーボードに近づけすぎると肩が前に出るため、筋肉の疲労だけでなく猫背の原因になってしまいます。
椅子は、姿勢を正すうえで大きな役割を果たします。腰と背中とお尻をしっかり支えることのできるものを選ぶようにしましょう。
座ったときに足が床に着くかどうかをきちんと確認してください。
今使っている椅子に座って足が床に着かない場合は、台や古雑誌などを用意して足の置き場を作りましょう。
また、デスクの下にある荷物などはすべて片付けてください。
足元に邪魔なものを置いていると、座り姿勢が悪くなる原因になります。
人間の体はもともと長時間座るように設計されているわけではありません。
そのため、座り続けていると筋肉が疲れてしまいます。腰痛の予防として、少なくとも1時間に1度はデスクから立って歩いたり軽くストレッチをしたりして筋肉を動かすようにしましょう。
仕事以外でも腰痛を招くような原因は多数あります。
ここでは腰痛予防のためにプライベートで気をつけたほうが良いことをご紹介します。
プライベートな時間くらいは、背中を丸めてパソコンとにらめっこしたり、スマートフォンを覗き込んでメールを返信したりするのをやめましょう。そのような生活スタイルは姿勢を悪くする原因です。長い時間背中を丸めていると胸が圧迫されて呼吸が浅くなる癖がついてしまいます。
また、立っているときはお腹を引っ込めて頭を真っ直ぐ体に乗せ、肩とお尻が一直線になるように意識しましょう。
脚をきれいに見せてくれるハイヒールは女性の強い味方かもしれませんが、同時に腰に大きな負担をかけています。ハイヒールの靴でグラグラしながら歩いていると姿勢が悪化し、ひどい腰痛の原因になりかねません。ハイヒールは特別な時に履くようにし、普段は歩く衝撃を吸収して支えてくれるかかとの低い快適な靴を履くようにしましょう。
うつ伏せで寝ると無駄な圧力がかかり、首の筋肉が緊張してしまいます。
首への負担を減らすためには腰をしっかり支える高反発マットレスに仰向けか横向きで寝るようにしましょう。そのときにクッションを膝の間に置くこともオススメです。
また、頭がきちんと枕に支えられているか、枕の高さは高過ぎたり低過ぎたりしないか、肩、首、後頭部が一直線になっているかも確認してください。
週に2・3回エクササイズすることで背中を丈夫に、かつ柔軟に維持することができます。
まずはウォーキング、ストレッチ、スイミングなどの体への負担が小さいエクササイズから始めてみましょう。
運動が楽しく感じられるようになったら、体幹を優しく鍛える程度の腹部のエクササイズを追加しても良いでしょう。ただし、既に腰痛がある場合はランニングなどの負担が大きいものは避けてください。
また、エクササイズ中に腰痛を感じたら直ちに運動をやめてください。痛みは体が発する危険信号なので、無視をせずにすぐに医師に相談しましょう。
残念ながら腰痛が一発で治るような方法はありません。
しかし、仕事中でも私生活でも実践できることはたくさんあります。この記事でご紹介した方法などを取り入れながら対策を継続していくことが大切です。