記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
たくさんの人を悩ませる痛みのひとつが「腰痛」です。腰痛を少しでも緩和するために、マッサージや整体に通っている人も多いのではないでしょうか。しかし、腰痛を治すためには、腰痛を引き起こす原因を把握することが大切です。以下で主な原因を紹介していきます。
普段から運動しない生活を送っていると、慣れない動作をする際に腰痛が発生しやすくなります。運動不足の生活には、具体的に以下のようなデメリットがあります。
筋肉が硬直することで、腰を曲げたりひねったりといった動きがしづらくなります。
背筋が弱まることで脊椎への負担が増え、椎間板の膨張のリスクが高まります。
腹筋が弱まることで腰への負担が増え、骨盤が異常に傾き、腰痛が起きやすくなります。
運動不足によって体重が増えすぎると、背骨(腰)への負担が増え、椎間板への負担も増加します。また、大きなお腹は脊椎を前に引っ張り、ゆがめてしまうため、腰を痛める危険性が高まります。
悪い姿勢が習慣化することが、腰痛の原因となるケースもあります。また、PC作業やテレビの前でだらけるなど長時間同じ姿勢でいることも腰痛の一因となります。
重い物を持ち上げたり、腰を無理な方向に曲げたりひねったりする力仕事をしていたり、長距離トラックのドライバーのように常に振動を受けたりしている人は、腰の捻挫や損傷を引き起こしやすいとされ、腰痛を発症する危険性が高いといわれています。
スポーツをする際に間違った方向に身体を動かしてしまうと、腰痛になってしまうことがあります。例としては、ぎくしゃくしたゴルフのスイング、運動器具の誤った使用が挙げられます。また、ラグビーやエアロビなどの衝撃の強い運動も、椎間板の変性などにより腰痛のリスクを高めることが研究によって明らかになっています。
なお、「自転車に乗ると腰痛になる」という人は、サドルの角度を修正することによって解消されることもあるようです。ぜひ試してみてください。
加齢による椎間板の劣化も、腰痛の原因のひとつです。椎間板は30歳を超えたころから水分が失われ、縮小を始めていくといわれています。そして椎間板が縮小すると、椎間関節に負担がかかることで関節炎が引き起こされやすくなり、結果として腰痛が発症しやすくなると考えられます。
タバコを吸うことによって腰の細胞組織への血流が悪くなり、腰痛が発症することもあります。
椎間板ヘルニアも、腰痛の原因のひとつと考えられています。椎間板ヘルニアを発症すると、椎間板の中心部にある髄核が飛び出し、脊髄の神経が圧迫することで、腰や背中の痛みや痺れが発生します。
妊娠によって腰痛を発症する女性も少なくありません。これは、妊娠によって腹部の臓器が移動し、重心が前に傾いたり、あるいは骨盤周りの靭帯が出産前に緩んだりすることが原因と考えられています。
脊椎の構造上の異常を受け継いでいるなど、遺伝的な原因によって腰痛になりやすい人もいます。
「うつ病患者は、腰痛を含む漠然とした身体症状を経験しやすい傾向にある」「多くの場合、うつ症状や無力感は痛みの知覚や腰痛の治療過程で悪影響を与える」ということが研究によって明らかになっています。
上記以外に腰痛を引き起こす原因として、以下のものが考えられます。
・椎間板炎などの感染症
・悪性腫瘍(各種癌の骨転移や、膵癌など)
・脊椎付近の臓器の問題
消化性潰瘍、腎障害、膵炎、炎症性腸疾患、婦人科疾患(妊娠、月経、卵巣嚢胞)、(高齢者の場合)パジェット病といった疾患が挙げられます。
運動不足や悪い姿勢、喫煙などの生活習慣の問題や、椎間板ヘルニア、うつなどの精神的な病気など、腰痛を引き起こす原因はさまざまです。まずは生活習慣を改善してみて、それでも腰痛が改善されない場合は、病院で検査を受けることをおすすめします。