記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
急な肩の違和感や痛みを感じた場合、それは五十肩かもしれません。五十肩は、肩の可動域が大幅に減少し、痛みが起こる症状です。この記事では、五十肩の症状やリスク要因、治療法などをご紹介します。
五十肩とは、肩関節の運動範囲が大幅に減少してしまう症状です。原因は、関節周囲の組織(関節包)の炎症が主なものであり、結果的に関節が硬くなり、正常に伸びなくなります。痛みが治まった後に正しくリハビリを行わないと、接合面が互いにくっつき関節液を潤滑にするためのスペースが減少してしまいます。
五十肩の症状には、重度の痛みと動きの制限があります。夜間の痛みは特に厄介で、何かを掴むために手を伸ばすなど、急に動こうとすると激しい痛みを伴うこともあります。肩の動きが制限されるため、背中に手を回すことが難しくなり、手を頭上にあげる動きは、肩甲骨を持ち上げるながらでないとできなくなります。痛みは肩から始まり、その後首、腕、手にまで広がることがあります。
五十肩は男性によりも女性の方が起こりやすいとされ、主に40〜60歳の年齢層に影響を与えるといわれています。一部の患者では根本的な原因は見当たらず、これらは特発性と呼ばれています。
一般的に五十肩の原因となる条件は次のとおりです。
・過去の痛みを伴う怪我によって肩が固まっている
・回旋腱板腱炎
・リウマチ性疾患
・糖尿病
・甲状腺機能低下症、または甲状腺機能亢進症
・パーキンソン病
・脳卒中
・過去に開胸手術、または肩の手術を行った既往がある
診断は、患者の症状や、検査上の知見に基づいて臨床的に行われます。他の関節障害や基礎的な疾患が疑われる場合には、関連する検査を行なう必要があります。これら検査には、肩のX線、CTスキャン、場合によっては関節鏡検査や血液検査も行います。
治療の目的は、痛みを軽減し、正常な肩の動きを回復させることです。 急性の場合は、頭上にあるものを掴むなど、痛みを増悪させる動きは推奨されません。代わりに、穏やかなエクササイズが推奨されます。例えば、以下のようなものです。
・理学療法士によるストレッチ
・振り子体操
非ステロイド系抗炎症薬は痛みや炎症を抑えるのに効果的とされますが、状態によってステロイド(コルチゾンなど)の経口または注射による摂取も考慮されます。
TENSは、痛みのインパルスを遮断することによって、症状の軽減をもたらすことができます。
麻酔下での操作は、反応しない場合の別の選択肢です。 この処置では、全身麻酔下において、医師により腕を操作し関節包をはがします。この処置は病気の後期の段階で効果があることがあります。
手術が必要な場合、関節鏡視下手術が選択されることがあります。強く張った、炎症を起こした関節包を、完全に腕が動かせる状態になるまで、関節鏡下で直接はがします。関節鏡は、カメラの付いた細いチューブで、医師は患部に達する小さな穴を開け、関節鏡を通すことで、TVモニターを通して手術の状況を確認することができます。手術後2~3日間は、痛み止めを使用しながら、腕の動きを保つための運動を行う必要があります。
五十肩は、6ヶ月から3年の間で自然治癒すると言われています。自然治癒するまでのステージは以下のとおりです。
関節の内壁(滑膜)に炎症がみられます。中等度の重度の痛みを伴います。
下層のカプセルの滑膜炎や瘢痕形成が見られます。激痛を経験します。
わずかな痛み、カプセル内の瘢痕形成による著しい堅さが見られます。
ほとんど痛みがなく、肩の動きが向上します。
五十肩は40~60歳の女性に多くみられますが、ほとんどが6ヶ月~3年で自然に治癒します。ただし、例外的に手術のしなくては治らない五十肩もあるので、肩に痛みや違和感を感じたら、早めに医師に相談するようにしましょう。