頭痛薬のまとめ ~頭痛薬の成分と選び方を解説~

2017/8/1 記事改定日: 2018/3/13
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

たくさんの種類がある頭痛薬ですが、「どのときにどの成分が有効なのかがわからない・・・」ということも多いのではないでしょうか?
そこで今回は、頭痛薬に含まれる代表的な有効成分についてと、頭痛のパターンに応じた選び方をご紹介します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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市販の頭痛薬の成り立ち、知っていますか?

市販の頭痛薬の多くは、痛みをとるための解熱鎮痛剤に痛みの感じ方を鈍くする〈催眠鎮静剤〉、鎮痛剤による胃の負担を抑える〈制酸剤〉や〈生薬〉などが配合されて作られています。
主に使われる解熱鎮痛剤には以下のようなものがあります。

〈1〉イブプロフェン、ロキソプロフェン

イブプロフェン、ロキソプロフェンは炎症をともなう痛みに効果があるといわれます。もともとは医療薬でしたが市販でも買えるようになりました。

〈2〉アセトアミノフェン

胃腸障害を起こしにくく安全性が高いという特徴があります。

〈3〉アスピリン(アセチルサリチル酸)

プロスタグランジン(体に痛みを知らせてくれるホルモン)の産生を抑制することで痛みを和らげます。
頭痛薬に使われることが多い成分ですが、胃腸に負担がかかりやすい傾向があります。

〈4〉エテンザミド

アスピリンと同じサリチル酸系の解熱鎮痛成分で、アスピリン同様にプロスタグランジンの産生量を抑えます。アスピリンよりも胃腸への負担は少なめです。

〈5〉イソプロピルアンチピリン

イソプロピルアンチピリンはピリン系とよばれる成分で、他の薬剤よりも比較的強い解熱・鎮痛作用があり、単独で使用するよりも他の解熱・鎮痛成分と配合するとより効果を発揮するという特徴があります(※市販薬でもイブプロフェンやアセトアミノフェンと一緒に配合されていることが多い)。
また、副作用として発疹ができることがあります。

状況別:頭痛薬の選び方について

頭痛薬を選ぶときは、頭痛の種類や痛みの程度に応じて適した薬剤を選ぶ必要があります。
以下に代表的な頭痛のパターンと、それに応じた頭痛薬の選び方を紹介します。

〈頭痛だけを抑えたいとき〉

頭痛のみを抑えたい場合には、アセトアミノフェンやロキソプロフェンなど、解熱鎮痛剤のみが配合された頭痛薬を選びましょう。

〈眠気が気になるとき〉

学校の授業や仕事など、日中に眠くなってしまうと困る場合は催眠鎮静剤が入っていない頭痛薬を選ぶようにしましょう。

〈胃が荒れやすい場合〉

胃腸が弱い場合は制酸剤が入っている頭痛薬を選ぶのがおすすめです。鎮痛剤の成分のみが配合された頭痛薬に胃腸薬を合わせて飲むという方法もありますが、その場合は必ず医師の許可を得てからにしてください。

〈緊張性頭痛の場合〉

血流が悪くなっているので、鎮痛剤だけでなく血行を良くする作用のある成分が配合された薬剤を選ぶようにしてみてください。

〈妊娠中または授乳中の場合〉

妊娠中または授乳中の場合は赤ちゃんへの影響を考えて、市販薬の使用は避けて医師に相談しましょう(※頭痛薬は「授乳中の服用は避ける」と書かれているものも多い)。
市販薬の中では比較的負担のかかりにくいアセトアミノフェン成分の頭痛薬が安全とされていますが、使用を考えている場合は必ず医師に確認してください。

〈生理痛(医学的には月経というのが一般的です)としての頭痛の場合〉

市販薬の場合は「生理痛に効果的」などの表示があるものを選びましょう。ただし、生理中に軟便や下痢になりやすい場合は医師や薬剤師に相談して、胃腸への負担が少ないものや専用の薬剤を紹介してもらいましょう。

頭痛薬による副作用について

鎮痛剤の恒常的な使用は薬物乱用性頭痛(MOH:Medication Overuse Headache)に繋がることも多く、使用には注意が必要です。そのため、頭痛薬には副作用があること、医師の指示や説明書きに基づいて慎重に扱う必要があることを今一度確認しましょう。
以下のような症状が当てはまる人はMOHの可能性があります。

◆月に15日以上頭痛がある
◆朝起きたときから頭痛がする
◆頭痛薬を月に10日以上飲んでいる
◆以前はよく効いていた頭痛薬が効かなくなってきた
◆薬をいくら飲んでも頭痛が以前よりひどくなってきた

〈MOHが招く頭痛の負のスパイラル〉

MOHになると頭痛の頻度が上がるだけでなく症状もより重くなることが多いです。
「頭痛が酷くなる → 患者は鎮痛剤の服用量を増やす・頻度を上げる → さらに頭痛が悪化する」という悪循環が完成し、頭痛が治りにくくなってしまうためです。
MOHは処方薬でも市販薬でも起こる可能性があり、治療としては鎮痛薬の服用を休止する必要があるため、自己判断をせずに医師に診断してもらうようにしてください。

おわりに:頭痛薬は自分に合ったものを選ぶことが大切。

頭痛薬に限った話ではありませんが、薬剤の効果のあらわれ方は人によって異なります。「市販薬を飲んだけどなかなか症状が改善しない」「病院でもらった処方薬を飲んだけど、痛みがおさまらない」などの場合は、服用中の薬剤を持って医師や薬剤師に相談して自分に合うものに変えてもらいましょう。
また、頭痛があまりにも長引くようであれば他の病気が隠れている可能性があるので、早めに病院で診てもらうようにしてください。

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