デリケートゾーンが痛い・・・それ、「外陰痛」かも?

2017/3/10 記事改定日: 2019/8/6
記事改定回数:3回

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

デリケートゾーンがヒリヒリしたりかゆくなったりしたこと、ありませんか?もし続いているなら、「外陰痛(がいいんつう)」かもしれません。ひどくなると、性行為中に痛みを感じますし、場合によっては「外陰がん」の可能性もあります。この記事では、女性特有の症状「外陰痛」と「外陰がん」について解説します。

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外陰痛とは?

「外陰」とは、女性の外性器や、腟への開口部周辺のことです。その部分の痛みや不快感のことを「外陰痛」といいます。

外陰痛の症状

外陰痛の症状として、焼けるような感覚、チクチク・ヒリヒリした痛み、かゆみなどがあります。性行為中や歩いているとき、または座ったときに痛みが悪化することもあります。 外陰痛は突然始まり、数カ月から数年続くこともあります。命に危険が及ぶわけではないものの、痛みのあまり性行為が苦痛になってしまうなど、日常生活に支障をきたす可能性があります。

外陰痛の原因

はっきりとした原因はまだわかっていませんが、考えられる要因として以下のようなものが考えられます。

  • カンジダ感染症、性器ヘルペス、膣トリコモナス症といった性感染症
  • 刺激物(石けん、ナプキン、衣類用洗剤によるもの)
  • 湿疹、接触性皮膚炎
  • 過去のレーザー治療、女性器の手術
  • 外陰がん
  • 骨盤の筋肉のけいれん

外陰痛の検査方法は?

外陰痛の原因を調べる上でまず大切なのは、病変を肉眼で確認できるかどうかです。湿疹、接触性皮膚炎、性器ヘルペス、外陰がんなどの場合、医師が確認すればわかります。

そのほか、細菌の検査や血液検査(体の炎症や感染症の抗体を調べる)、コルポスコピー(特殊な拡大鏡を使って、子宮頸部の病変を観察・生検すること)が必要です。生検の場合、鎮痛薬で性器のあたりを麻痺させてから、組織片を小さく切り取って顕微鏡で観察します。

外陰痛の治療法は?

外陰痛の原因によって治療法は異なります。以下のような治療法がありますが、産婦人科やレディースクリニックを受診して、適切な診断・治療を受けることが大切です。

  • 酵母感染症治療用のクリームや丸薬を使う
  • ステロイド外用剤(湿疹や接触性皮膚炎に対して使われる)を塗る
  • 抗うつ薬(神経の痛みや刺激を軽減します)を服用する
  • インターフェロン注射をする
  • レーザー療法や手術をする
  • 理学療法やバイオフィードバック療法(骨盤の筋肉けいれんも外陰痛の悪化の原因と考えられるため、骨盤筋を強化したり、リラックスさせたりしてけいれんを緩和させる)
  • 運動療法(自宅でエクササイズをして骨盤筋をリラックスさせる)

上記の方法で効果を実感できたら、それを続けてください。効果がない場合は、ほかの治療法について医師と相談しましょう。


外陰痛の悪化を防ぐために、自分でできることは?

外陰痛がある方は、普段の生活で下記のことに気をつけてみてください。

  • 性器を洗うときは水だけにし、石けんを使わない
  • 性器近くをこまめに水で洗い、刺激の原因となる腟分泌物を洗い流す
  • 排尿後は水ですすぐ
  • クリーム、油分を含むゼリー、バブルバス、バスオイル、デオドラントスプレーの使用を控える
  • 綿100%の下着やしめつけない服を着る(ストッキングなど、化学繊維を使った服を着ない)
  • 無漂白のトイレットペーパーや綿100%の生理用品(タンポンとナプキン)のみを使用する
  • 性器のあたりを刺激する恐れがある避妊具や避妊クリームの使用を控える
  • 新品の下着は身につける前に洗う
  • 濡れた水着で長時間座らない(性器近くで細菌などが増えることがあります)

外陰がんとは?

「外陰がん」とは、女性の恥丘(ちきゅう)、大陰唇、会陰(えいん)にかけて生じるがんです。多くは大陰唇に発生します。

外陰がんはあまり一般的ではないため、初めて聞いた人もいるかもしれません。初期段階では自覚症状がない場合もありますが、陰部のできもの、かゆみ、痛み、出血などの症状があらわれ、性行為中の痛みの原因となる可能性もあります。

ただし、早期に発見されれば治癒率は高く、治療の選択肢も増えるため、手術せずに治ることもあります。

外陰がんの症状

外陰がんには、以下のような症状があります。もしあてはまる症状があれば、医師に相談してください。

  • 外陰のかゆみが1カ月以上続く
  • 外陰の傷や痛みがいつまでも治癒しない
  • 外陰部に塊や腫瘤がみられる
  • 外陰が痛む
  • 外陰部からの出血がある(月経の出血とは違う)
  • 外陰痛の治療後も、性器付近で焼けるような感覚が続く
  • 外陰部の母斑(ぼはん)やほくろの大きさ、色、質感に変化が見られる

外陰がんの原因

外陰がんは65~75歳の人に多くみられますが、40歳以下でも発症することがあります。原因のひとつとして、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が考えられています。

外陰がんの検査方法は?

外陰痛と同じく、生検を行います。生検は、外陰がんの唯一の検査方法です。

外陰がんの治療法は?

基本的には、外科手術、放射線療法、化学療法、またはこれらを組み合わせて治療します。ただ、がんの大きさ、深さ、および広がりによって治療法は異なります。

早期に発見・治療した場合、治癒率は90%を超えます。完治のためには、症状がみられたらすぐ病院に行って生検を受けることが重要です。また、治療が終わっても定期検診を忘れないようにしましょう。

おわりに:かゆみや痛みが気になったら、恥ずかしがらずに病院へ行こう

外陰部のトラブルは、なかなかまわりには相談しづらいものです。でも、この記事を読んで「もしかして…」と不安に思うことがあったら、自分の身を守るためにも恥ずかしがらずに病院へいきましょう。「外陰痛」「外陰がん」も早めの治療が大切です。


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