記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/3
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
「うっ...」といきなり吐き気をもよおして、洗面台に駆け込んで、“妊娠かも?”と顔をはっとさせるドラマや映画でおなじみのワンシーン。「つわり」ってやつですね。
産婦人科で「おめでたです」と相成って、それで「つわり」もおしまい、1回だけならどうってことはないんですが、妊娠初期に嘔吐や吐き気を起こす生理現象の「つわり」は、ホルモンバランスの変化でかなり長期間、妊婦さんの悩みのタネになります。
症状は、吐き気をもよおしたり、嘔吐するものが代表的ですが、それ以外にもいろいろな症状があります。全身がだるくなったり、頭痛がしたり、激しい睡魔に襲われたり...。関係なさそうな気もしますが、すべて「つわり」に伴う症状です。
今回は、そんな妊娠中のツラい「つわり」を乗り越えるための対策 "BRATダイエット” を紹介します。
つわりは、期間・症状の重さなど個人差があるものの、吐き気と嘔吐を主症状として妊娠8〜20週頃まで続きます。
食べるとすぐに吐いてしまう人、体重が激減してしまう人、水分を摂取しただけで吐いてしまう人もいます。長期間ツラい症状が続く人がほとんどで、どうしたらいいか悩む人がたくさん出ます。そんな「つわり」を少しでもラクにするための方法が、BRATダイエットです。
BRATダイエットは、一言で言えば「控えめな食生活」のことで、つわりで胃のむかつきや下痢があった場合、柔らかい食品で胃を刺激しないようにします。
B=バナナ
R=ライス
A=アップルソース
T=トースト
の略で、
また、BRATダイエットは、
・便を固くするのに役立つ低繊維食であること
・カリウムが多く、嘔吐や下痢で肉体が失った栄養素を補給することで、胃のむかつきや下痢の回復に役立ちます。
吐き気や嘔吐、下痢の後、BRATダイエットを行うと、体が食べ物を受けつけ、通常の食生活に戻るのを助けます。BRAT ダイエットは、BRATのほかにも刺激の少ない食品を加えることができます。
たとえば、クラッカー、茹でたジャガイモ、コンソメスープなどです。吐き気や嘔吐の後、すぐに乳製品や甘いもの、脂肪の多い食品は食べないようにしてください。これらの食品は再度、吐き気や嘔吐、下痢を引き起こす可能性があります。
激しい嘔吐のある場合、BRATダイエットで固形物を摂取することはお勧めできません。
コンソメスープからはじめ、体が吐き気や嘔吐することなく固形物を受けつけるようになるまで、固形物は摂取しないようにします。そして、スポーツドリンクで脱水症状を防ぐようにします。
BRATダイエットは、健康的な食生活に必要なすべての栄養素を持っているわけではないので、短期間にしなくてはなりません。また、「胃が食べ物をうけつけないから」とBRATダイエットを続けすぎると、体に必要な栄養素を十分に得られないため栄養失調になることがあります。栄養失調になれば、体調が回復することが難しくなります。 自身がBRATダイエットを行うかどうか、不安や質問がある場合は、医師に相談してみてください。
つわりのときは何を食べても気持ち悪くなります。しかし、栄養は摂取しなければなりません。個人差はありますが、胃が受けつけるものは何かしらあります。いろいろ口にしてみて、まずは飲めるものを見つけましょう。そして、BRATダイエットで、気分が少しでもラクになったら、できるだけ、通常の食事をするようにしてください。
妊娠中、栄養摂取は何よりも重要です。