記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/8/9
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
前回の記事では、ものもらいになる仕組みや原因についてまとめてお伝えしました。今回の記事では、家でできるものもらいの治療と医療機関での治療についてまとめます。
ほとんどのものもらいは、病院で治療をしなくても以下のような対処法で症状を和らげることができ、1~3週間で良くなるといわれています。
温湿布とは、熱いお湯でしぼったタオルや布を当てることです。ものもらいができている目に当てます。
あまりにも熱すぎるお湯は使わないよう注意しましょう。しぼるときにもやけどをしてしまいます。子どもに温湿布をする場合には特に注意が必要です。
温湿布は下記のように行いましょう。
・温湿布をものもらいができている目の上に5~10分当てる
・その部分を優しくマッサージする
・ものもらいが良くなって膿が少し出てくるまで、これを1日に3~4回行う
温湿布で温めることでものもらいの膿が出やすくなります。膿が出ると、症状は良くなっていくでしょう。
ものもらいができているときは、特に、目の周りを清潔に保ち、その部分が硬くなってしまわないようにすることも大切です。
定期的に温湿布を使うことによって、ものもらいができるのを防ぐこともできます。
ものもらいが痛みが強い場合、イブプロフェンなどの市販の鎮痛剤が有効な場合があります。鎮痛剤に付いている説明書をよく読み、用量用法を守って、正しく服用しましょう。
また、アスピリンは16歳以下の子どもには与えないようにしてください。
ものもらいを悪化させるような他の目の病気を抱えている場合、別の薬剤を処方されたり、別の治療法を薦められたりするケースもあります。
例えば、以下のようなケースが見られます。
抗菌薬の入った点眼薬や軟膏が処方される場合があります。
綿棒を使ってまぶたの縁を掃除することなど、目の衛生処置をすすめられることがあるので、医師の指示に従ってください。
経口の抗菌薬はものもらいの治療のためには推奨されていません。抗菌薬がものもらいに効果的である証拠はほとんどありませんし、通常ものもらいは自然に治るからです。
上記の処置を試してみても、ものもらいがよくならなかった場合には、眼科医の診察を受けましょう。
まつげを自分で抜いたり、ものもらいを自分でつぶしたりしないようにしてください。
ものもらいの合併症はあまりありませんが、まれに以下の合併症が起こることがあります。しかし、重症になることは滅多にありません。
前回の記事でも触れましたが、霰粒腫は、感染しない限り、痛みのないものである場合が多いです。感染した場合、抗菌薬(通常は眼に塗る軟膏)が必要になるかもしれません。
温湿布を当てることで早期回復が見込め、ほとんどの場合、霰粒腫は自然に治ります。
滅多にないことですが、霰粒腫が長期間治らなかった場合、局部麻酔薬を使った手術によって取り除くことになる場合があります。
これも、前回の記事でも触れましたが、感染が目の周りの組織まで広がると、眼窩角膜前蜂巣炎が生じる可能性があります。これは目の周りの皮膚に起こる感染症です。これによってまぶたが赤くなって腫れる可能性があり、通常抗菌薬で治療を行います。
ものもらいは、眼科を受診しなくても治ってしまうことがほとんどですが、まれに他の合併症などにつながる可能性もあります。この記事にあるように、家での治療で治らない場合は、病院の眼科を受診しましょう。