記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
カフェインは、コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどに含まれている身近な成分なので、日常的に摂っている方が多いと思います。そんなカフェインが、実は頭痛と関係があることはご存知ですか?
今回はカフェインと頭痛の関係についてお話しします。
カフェインには血管を収縮させる作用がありますが、これはアデノシン受容体の遮断、交感神経刺激様作用(副腎髄質からのカテコールアミン遊離促進)、副腎皮質の刺激(電解質コルチコイドの遊離)、腎臓に対する作用(利尿、レニン – アンギオテンシン – アルドステロン系の刺激)によります。
頭痛の中でも、病気が原因ではなく命に別状がないもの、一般的な慢性頭痛を一次性頭痛と言います。
一次性頭痛は
の三種類に大きく分けられ、これらの一次性頭痛は頭の中の血管の収縮、もしくは拡張によって起こると考えられています。
そのため、カフェインを摂取して頭の中の血管が収縮すると、一次性頭痛は良くなる場合もあれば悪くなる場合もあるのです。
クモ膜下出血や脳腫瘍のような命に関わる頭痛のことを二次性頭痛と言いますが、これらは病気によるものなのでカフェインとの関連性はあまりありません。
一次性頭痛には主に三種類ありますが、そのうち片頭痛と群発頭痛は頭の中の血管が拡張し、神経を刺激することで起こると考えられています。
カフェインは血管を収縮させるので、これらの頭痛には効果が期待できることもあります。
一次性頭痛のうち、緊張型頭痛は頭の中の血管が収縮し、頭を支える筋肉が凝ることで起こります。
カフェインは血管を収縮させ緊張型頭痛を更に悪化させることがあります。
頭の周りをはちまきのように締め付ける痛みが一日中続くようであれば、コーヒーなどカフェインを含むものを控えた方がいいでしょう。
緊張型頭痛は、入浴やマッサージなど血管を拡張させる効果のあるものによって改善されます。反対に、これらの対処は片頭痛や群発頭痛には逆効果なので注意が必要です。
カフェインには血管を収縮させる作用があるため、血管拡張によって周囲の神経を圧迫することが原因の片頭痛などの症状緩和が期待できます。ただ、市販の頭痛薬にはカフェインが含まれているものもあります。同時に口にするとカフェインの摂りすぎによって、夜眠れない・尿量が増えるなどの症状を引き起こすことがあります。
また、頭痛薬の中でも非ステロイド系消炎鎮痛剤と呼ばれるロキソニン®などは胃の粘膜に刺激を与えることがあり、カフェインも胃の粘膜を荒らすことがありますので、できるだけ別々に摂取するのが望ましいです。
頭痛薬は水かぬるま湯で飲むようにしましょう。
カフェインは頭痛を緩和することも、悪化させることもあります。片頭痛や群発頭痛と診断されたら意識的に摂取することで、反対に緊張型頭痛ならばカフェインをやめてみることで症状が改善するかもしれません。
しかし、自己判断を誤るとさらに悪化してしまう可能性があります。いずれにせよカフェインは刺激物であり、長期間多量に摂取すると様々な合併症のリスクを上げると言われています。摂るにしても少量に留めながら、上手にカフェインと付き合っていきましょう。