記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
食べたり飲んだり、話したりするのがツライ口内炎。前回の記事に続いて、口内炎の種類別に症状や原因などをまとめます。口内炎には、全身に影響を与える場合もあります。しっかりチェックしましょう。
ここでは、白板症について説明します。
白板症は、全ての口腔内皮膚疾患の主要な原因になり得るといわれています。
誰でも発症する可能性はありますが、高齢の男性の間でより多くに見られます。
白板症になると白く厚い白板症斑点が歯肉、頬の内側、舌等に形成されます。
白板症の原因は、慢性的炎症の結果として生じるものだと考えられています。タバコの影響が特に問題視されていますが、炎症は長期的なアルコール依存など、タバコ以外の要素によっても引き起こされます。
入れ歯の不具合や頬の内側を吸う癖などの刺激によっても発症し、一般的には痛みを伴いませんが、患部に触れたり辛い食物を食べる際に痛みが生じる可能性があります。
口腔癌の多くは白板症に隣接して発生するとされ、白板症斑点の一部は癌の兆候であると考えられています。1週間以上、口腔内の異常が続く場合には、歯科や口腔外科を受診し、診断を受けるようにしましょう。
様々な現れ方をしますが、平らで灰色或いは灰白色のただれや腫物が歯肉や頬・舌の裏側に現れることが多いです。
数週間、また数か月という時間をかけて白板症の患部は白く、厚く、粗い表質へと変化し、表面はしわしわで固くなります。
中には紅板症(皮膚炎やただれのできた患部が赤く隆起したもので、癌に発展する可能性が高い)を発症することもあります。
ここでは、粘膜炎について説明します。
粘膜炎は、口から肛門までの消化管の粘膜の炎症のことです。
口や胃など消化管に含まれる部位の化学療法や放射線治療の副作用として発症するケースがあります。
化学療法とは、悪性の細胞や組織を破壊する性質を持つ特定の化学剤や薬剤を用いる治療法の1つで、放射線治療は放射性物質を利用して病気を治療する方法です。
粘膜炎は、口腔、咽喉、胃、腸管で盛んに細胞分裂を行っている粘膜細胞に影響を与えます。これらの細胞は、通常寿命がとても短いのです。
化学療法や放射線治療はこれらの細胞に障害を起こしてしまい、潰瘍やただれを作ります。軽度の粘膜炎でも痛みが伴うので、組織の回復が成されるまでの1~2週間の間、鎮痛薬の服用が必要になる場合があります。
重度の粘膜炎においては、成長因子(パリフェルミンやケラチノサイト成長因子など、細胞や有機体の成長に影響を与える物質)や非経口栄養法(口から食事を摂れないため、点滴で栄養をとる方法)が必要になる可能性があります。
放射線による粘膜炎は通常、治療2週間目が終わる頃に発症し、治療4週目の間に安定水準に達し、治療終了後も2~3週間続きます。
化学療法が原因の粘膜炎は、治療開始後3~5日で始まり、7~10日のうちに頂点に達し、翌週までかけて、少しずつ症状が薄れるのが一般的です。症状は、軽度の痛みから強い痛みまで様々であり、ただれは、唇や口、歯肉、舌等、柔らかい組織であればどこにでも発生します。
他の症状としては、口や歯肉が赤く光沢をもって腫れたり、口腔内で出血したり、口や喉が痛んだり疼いたり、飲み込むことと話すことに辛さが伴ったり、食事中に口や喉が渇いたり痛んだり、唾液分泌量が多くなったり唾液の粘液性が強まったりします。
ここでは、腸性肢端皮膚炎について説明します。
腸性肢端皮膚炎は遺伝によって先天的に起こるものとされ、体が亜鉛吸収不全に陥った際に発生します。この微量元素は300種以上の異なる酵素(化学反応速度の大小決定に関わるタンパク質)が機能するために必要といわれています。
亜鉛はこの他の様々な生物学的過程においても不可欠な物質です。
この病気の症状は口内炎以外に、皮膚障害、ただれ、抜け毛、下痢等があります。出産まもない乳児やミルクや母乳を飲んでいる頃から乳離れをする頃に多く発症するといわれています。
乳幼児の腸性肢端皮膚炎の症状では一般的に顔、臀部、四肢において、鮫肌状になった皮膚が赤く腫れて斑点が現れ、凝り固まった、あるいは膿の詰まった水疱ができます。
特に乳児は、口腔内の潰瘍や、舌が赤く湿って光沢が出る、下痢、行動の変化、神経障害がみられる傾向があります。
より年長の子供には、発育障害、食欲不振、爪周りの皮膚の腫れ、感染症を繰り返し発症する等があります。これらの症状以外にも、流行性結膜炎、脱毛(まつげ、まゆげ、頭皮)、光過敏性、興奮性、鬱症状等です。
今まで見てきたように、口内炎にはいろいろな種類があります。
口内炎の種類によって、原因や症状も様々でした。痛みが続いて治らない場合は、自分で判断せず、歯科や口腔外科などを受診することをおすすめします。