記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/7 記事改定日: 2018/4/17
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
耳鳴りが発生するには様々な理由がありますが、ストレスも大きな原因であることがわかっています。
今回はストレスが元であらわれる耳鳴りの原因や症状、緩和法について見ていきましょう。
仕事や学業のプレッシャー、人間関係、経済的な不安、温度差の激しい気候など、私たちの体や心は、外からストレスを受けることで必要以上に緊張してしまいます。
緊張によって過剰に負担がかかると体は悪い影響を受け、肩こりや首のこりなどの骨格のゆがみなどが起こります。
そのゆがみが原因となって耳鳴りが生じることがあると考えられています。
メカニズムは明確になっていませんが、忙しすぎるときや睡眠不足のとき、疲労が濃いとき、あるいは不規則な生活習慣によって自律神経が乱れているときに発症する傾向性が高いことから、ストレスが大きく関わっている可能性が示唆されているのです。
ストレスによる耳鳴りには以下のような症状が見られます。
・聞こえていない音(特にキーンという音が)が聞こえる
・周囲の音が聞こえにくくなる
・耳の中が詰まっているように感じる
・めまい、立ちくらみ
・吐き気
聴覚以外の症状が伴うところがストレスが原因の耳鳴りの特徴です。
耳鼻科で耳の検査を行っても異常がなかった場合は、ストレスが元の耳鳴りである可能性が高いといえるでしょう。
耳鳴りの原因がストレスであると考えられる場合、心療内科や精神科での治療がすすめられます。
主な治療は、抗うつ剤や抗不安薬などの投薬治療です。また、他の身体症状があるときは、それに合わせた治療も同時に行われます。
しかし、ストレスが原因の耳鳴りは薬で改善しないことも多いのが現状です。心療内科や精神科では、そのような場合に認知行動療法などの精神療法が行われることもあります。
いずれにせよ、ストレスが原因の耳鳴りは、ストレスのがなくなればスッとよくなることもありますが、治療に長い時間がかかるケースも多々あります。
ストレスに起因する耳鳴りの場合には、症状に対処するには大元のストレスへの働きかけが不可欠です。
ここでは耳鳴りを和らげるためのストレス解消法を紹介します。
マッサージやストレッチで首周りをほぐし、体の緊張を軽減しましょう。
特に仕事中に耳鳴りがした場合は、その場でできる首をゆっくり回すストレッチがおすすめです。筋肉がリラックスすることで脳への血流が良くなり、耳鳴りを解消しやすくなります。ただし、首周りはデリケートな場所ですので急に強い力をかけたり急に首を回したりするのは避けましょう。
また、耳周りをマッサージすることもおすすめです。耳の上や耳たぶなどを指圧してみてください。
耳付近の血のめぐりが悪くなることで耳鳴りが発症している場合には、症状の緩和を助けてくれます。
一般的に睡眠が不足していると耳鳴りを発症しやすくなる傾向があります。
そのため、耳鳴りがあるときはできるだけしっかりと睡眠をとって自律神経の乱れを整えることが大切です。
症状が改善した後も日頃から規則正しい生活リズムで過ごすようにしてください。
ウォーキングなどの適度な運動は体の血行を良くします。
また、体を動かすことで脳内にセロトニンやノルアドレナリンが分泌されて前向きな思考になりやすくなるため、ストレスの発散に効果的といわれています。
耳鳴りに効果があるといわれる漢方やツボがあるのは知っていますか?漢方薬とツボは手軽に行えるセルフコントロールの一つです。治療をしても耳鳴りが治らないという人はぜひ試してみましょう。
耳鳴りに効果があるとされる漢方はいくつかありますが、それぞれ耳鳴りの原因によって使い分けるのが一般的です。
ストレスが原因の耳鳴りには柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)が効果があるといわれています。また、耳鳴りと同時に不安やイライラした気分を落ち着かせる効果が期待できます。メニエール病や肩こり、頭痛などによって生じる耳鳴りには、五苓散(ごれいさん)や釣藤散(ちょうとうさん)がよいといわれています。
耳鳴りに効果が期待できるツボは、耳の周りと後頭部、手にあります。
耳の周りのツボは、耳の穴のすぐ前方にある耳門(じもん)、その下のくぼみである聴宮(ちょうきゅう)などが有名です。後頭部のツボは、首の後ろの髪の毛の生え際にある風池(ふうち)、手では手の甲の薬指と小指につながる骨の中間にある中渚(ちゅうしょ)などが知られています。
しかし、これらの漢方薬やツボはあくまで耳鳴りの症状を軽減するためのもので、根本的な治療ではありません。耳鳴りは脳梗塞や脳腫瘍などの病気が原因でることもあり、自己判断でこれらの対症療法だけを続けるのはやめましょう。必ず、病院で診察を受けて、大きな病気がないことを確認してから、医師と相談して治療を続けていくことをおすすめします。
30~40代の女性に多いとされているのが、急性低音性感音難聴です。耳閉感が生じ、続いて低音域の難聴と耳鳴りなどが生じます。耳鳴りは低音であることが多く、軽いめまいを伴うこともあります。
明確な原因は解明されていませんが聴覚を司る内耳にリンパ液が溜まることで発症すると考えられていて、発症のきっかけはストレスや過労などの精神的、肉体的疲弊であるといわれています。
急性低音性感音難聴は、早期に適切な治療を開始しないと難聴が進行し、障害を残すこともあります。発症初期には難聴を自覚できないことも多く、最も自覚しやすい症状は耳鳴りです。耳鳴りがしたときには、どのようなものでも早めに病院を受診し、治療を受けるようにしましょう。
耳鳴りの症状が長期間続いている場合や、めまい、難聴をともなう場合は、より深刻な疾患や命にかかわる危険な病気が潜んでいる可能性があるので、できるるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。
特に、激しい頭痛がする、物が二重に見える、しびれる、舌がもつれるなどの症状を伴っているときは脳梗塞や脳出血などのリスクが考えられるため、すぐに脳神経外科を受診してください。
病院での検査で体に異常がなく、ストレスによる耳鳴りと考えられるときは、今回の記事で紹介した方法を試しながら対処をしていきましょう。