記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
漢方薬は、葉、根、花などの植物由来の有効成分を含んでいます。しかし、「自然」であるからといって、必ずしも安全に服用できるというわけではありません。今回の記事では漢方薬について解説します。
漢方薬は、従来の薬と同様に体に影響を与え、正しく使用されないとリスクを及ぼす可能性があります。 したがって、従来の医薬品と同じくらい注意して漢方薬を使用することが重要です。 医師や薬剤師に健康上の問題について相談している場合、または手術を受けようとしている場合は、必ず服薬している漢方薬について知らせる必要があります。
漢方薬との違いの1つに、西洋薬は病名に対して薬を選び、漢方薬は患者の症状や体質(証といいます)などに対して薬を決める点です。以下に漢方薬と西洋薬の違いを示します。
漢方薬: 丸剤、エキス剤、煎じ薬が多い。
西洋薬: カプセル剤、錠剤、シロップ剤、坐剤など様々な種類がある。
漢方薬: 多種の生薬を配合している。
西洋薬: 生薬の有効成分だけを抽出し、1つの成分のものが多い。
漢方薬: 体本来の治癒力を高める。
西洋薬: ピンポイントに症状に効く。
漢方薬: 比較的効き目がゆるいが、風邪薬や胃腸薬では速効性がある。さまざまな症状にゆるやかに作用する。比較的副作用は少ないとされるが、副作用が起きることもある。
西洋薬: 即効性があり、効きめも強いが、強く効きすぎて副作用が現われることもある。
漢方薬: 症状すべてを配慮し、1、2種類の漢方薬を処方するため、薬の数は少ない。
西洋薬: 1つの症状に対し1つの治療薬を処方する。症状すべてに薬を処方するため治療薬の数が多い。
漢方でもっとも重要な役割を果たすものに、「証」というものがあります。これは、患者さんそれぞれの心とからだの状態をあらわしたもののことを言い、この証によって処方される漢方が決められます。証には、以下の3つのタイプがあります。
・陰陽(いんよう)
・虚実(きょじつ)
・気(き)・血(けつ)・水(すい)
この証のタイプによって処方する漢方薬が決まります。そのため、病名が西洋医学と同じであっても、証が違うことにより、異なる漢方薬をすすめられることもあります。
漢方薬を服用している、またはこれから服用しようとしている場合は、次のことに注意が必要です。
他の薬を服用している場合、問題が起こることがあります。潜在的な副作用を含めて、他の薬の効果を低下させたり増強させたりすることがあります。
漢方薬を服用した後に、有害反応や副作用が起こることがあります。
すべての漢方薬が規制されているわけではありません。特に個人向けに販売されている治療薬には無認可のものもあるため、注意が必要です。
漢方薬の有効性に関する証拠は、一般に非常に限られています。有効だと思っている人もいますが、多くの場合その使用は科学的研究ではなく伝統的な使用に基づいている傾向があります。
インターネットや通信販売で医薬品を購入することによって、偽物、基準を満たしていない医薬品、無認可の医薬品、質の悪い医薬品を購入するリスクが高くなります。 合法のように見えるホームページであっても、医師や薬剤師を名乗る偽者の場合があります。 インターネットで販売される漢方薬には、禁止成分や有害物質が含まれている場合もあります。 ラベルに記載されていない医薬品成分など危険な成分が含まれていることもあるため、注意が必要です。
次のような人は、漢方薬を服用しない方がいいかもしれません。 また、漢方薬を服用する前に医師か薬剤師に相談してください。
・他の薬を服用している人
・肝疾患や腎臓病など深刻な健康上の症状がある人
・手術を受ける予定の人
・妊娠中または授乳中の女性
・高齢者
・子供(他のすべての薬と同じように、漢方薬は子供の目に触れないようにしておき、手の届かないところに置くべきです)
漢方薬には、体の治癒力を高め、体質改善が期待できるというメリットがあるため、西洋薬より漢方薬を選びたいという方も少なくはないでしょう。また、副作用が心配な患者さんも、薬局で漢方薬が選択できるかどうか、相談してみることをおすすめします。