記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/2 記事改定日: 2019/8/19
記事改定回数:2回
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
「彼氏に殴られた」「友だちがいつもアザだらけ…」など、自分自身や大切な友達がDV(ドメスティック・バイオレンス)を受けている可能性がある場合、どこからがDVになるのか、どうやって逃げればいいのか、またどうすれば友だちを助けられるのか、すぐにはわからないと思います。この記事では、DVの判断基準や避難方法、友だちを助ける方法を紹介します。
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、一般に家庭内での暴力をいいますが、近年では婚姻の有無を問わず、元夫婦や恋人など、近親者間に起こる暴力全般を指します。
DVには、以下のようなパートナーからの身体的・感情的・性的虐待が含まれます。
ここで、かつてDVに遭ったことがある女性の体験談をご紹介します。
引っ越して、新しい仕事を始めたときに彼に出会いました。彼はとても魅力的で、私に敬意をもって接してくれて、いつも花とカードを贈ってくれました。
おかしいな、と初めて思ったのは、同棲してしばらく経ったある日の朝です。彼は私の朝食を用意しているとき、私が身じたくを整えている姿をじっと見つめていたんです。ちょっと変に思ったのですが、彼は「キミに見惚れてて」と言いました。その後、「なんで化粧するの?しなくても十分キレイだよ」と言ってくれました。
それから彼は、私の服を広げて並べるようになったんです。私が何を着るのか、彼が決めるために。
2カ月後、彼は仕事場の外で私を待ちぶせするようになりました。すぐに出てこないと、「ほかの男といちゃつくために残ってるんだろ!キミのことを愛してるからずっと待ってるのに!」と怒るようになったんです。
それ以来、喧嘩するようになりました。私の発音を馬鹿にして笑ったり、夕食が準備されてないと怒ったりするようになりました。「あなたは幸せじゃない」という、私自身の心の声は無視し続けました。そうしているうちに、彼は私の人生の中で“最も重要な存在”になっていき、次第に家族や友だちとコンタクトを取ることが少なくなっていったんです。
ある日の喧嘩で、私は突き飛ばされて床に倒れました。ついに私も怒って彼を責めたら、なんと彼は笑ったんです。そして、「責任はキミの方にある」と言って警察を呼びました。
彼は警察に「彼女が自分をわざと困らせようとして、俺を殴ってきたんです」と言いました。そのときは本当にパニックになりました。恥をかき、ショックを受け、自分がどうすべきなのかわからなくなってしまいました。
この一件以来、暴力が日常化しました。彼の暴力で指を骨折したり、体中にアザができるようになりました。唾を吐きかけられたり、突き倒されたり、蹴られたり…。一度は車で轢こうとしてきたこともありました。そして毎回暴力を振るった後、彼は私の肌に優しく薬を塗りながら、「キミを守ってあげてるんだよ」とささやきました。
外出したときは、露骨にほかの女性をじろじろ見つめることもありました。でも、文句を言うと「そんなのは気のせいでしょ」と言い返されるんです。
ここまでくると、何が正しくて何が間違っているのかわからず、自信を持てなくなりました。少しずつ、私の理性とプライドがなくなっていきました。彼はどんどん私を支配しようとするようになりました。私の母にも、私と連絡を取るときは彼の携帯電話を通してのみ行うようにするよう言ったのです。その方が「簡単」だから、と。
彼は私のかばんを探ったり、私が口論の後に泣いている姿を写真に撮ったりもしました。
彼がコルク用の栓抜きで殴ってきた後、ようやく逃げ出すことができました。
再び自分自身を取り戻すのには長い時間がかかりました。彼は、私の体も心もボロボロにしました。仕事も、彼と出会うまでは上手くいっていたのに、うまくいかなくなっていました。友だちや家族の助けのおかげで、私は自分の人生と自信を取り戻すことができたんです。
今は、再び自分の気持ちがわかるようになってほっとしています。
あなたは一人ぼっちではありません。そして、DVはあなたのせいで起きたわけではありません。その場から逃げる前に、暴力を振るう相手から逃げる手助けをしてくれる支援団体からアドバイスを受けるようにしてください。もし、あなたが避難することを検討していて、誰かに相談するつもりなら、相談相手は慎重に選んでください。また、相手に行き先を知られないことがとても重要です。
友だちがDVを受けている場合、以下を参考にしてください。