記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/8/10
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
結膜炎は誰にでも起こりうるポピュラーな病気ですが、人にうつる結膜炎とうつらない結膜炎があることを知っていましたか? また、うつさないためにはどのようにすればよいでしょうか? さまざまな結膜炎の種類と、かかったときの対処法を解説します。
眼球の白目部分とまぶたの裏側を覆っている半透明の膜のことを結膜と言います。その部分が赤く充血して炎症を起こすのが結膜炎です。
結膜炎には人にうつるものとうつらないものがあります。うつる結膜炎は感染性結膜炎と呼ばれ、感染性結膜炎は、細菌性結膜炎とウイルス性結膜炎に分けられます。
そして、うつらない結膜炎は非感染性結膜炎と呼ばれ、アレルギー反応を原因とするアレルギー性結膜炎があります。
前述のように、人にうつることがある感染性結膜炎は、さらに細菌性結膜炎とウイルス性結膜炎に分けられます。
細菌感染によって起こる結膜炎が細菌性結膜炎です。代表的な症状として、ねばねばしていて黄色がかった目やにが多く出たり、白目の充血などがあります。
原因となる細菌としては、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、クラミジア、インフルエンザ菌、肺炎球菌などがあり、感染力は弱く、あまりうつることはありません。
通常は抗菌剤の点眼薬を使用で、数日で治癒します。
細菌よりもさらに小さな微生物であるウイルスに感染することで発症します。
目の充血やさらっとした目やに、まぶたの腫れや異物感などが主な症状です。
原因となるウィルスとして、アデノウイルス、エンテロウイルスなどがあります。
・流行性角結膜炎
「はやり目」とも呼ばれる結膜炎です。アデノウイルス8型という感染力の強いウイルスが原因で、1週間前後の潜伏期間を経て発症します。
他のウイルス性結膜炎よりも症状が重いのが特徴で、目ヤニや充血、腫れ、違和感や痛みを伴います。
・咽頭結膜熱(プール熱)
アデノウイルス3型や7型が原因とされ、発熱や下痢、のどの痛みといった、風邪に似た症状が現れます。
夏場にプールの水を介し、子どもに多く感染することから、“プール熱”とも呼ばれています。
・急性出血性結膜炎
エンテロウイルス70型やコクサッキーウイルスA24型といった比較的新しいウイルスが原因とされています。潜伏期間は約1日で、結膜下出血を起こし、白目を真っ赤に充血させますが、発病後1週間程度で治癒します。
できる限り治るまでは人の集まるところには行かないようにし、衛生環境に気をつけて生活しましょう。また、以下のことを実践するようにしてください。
・手を石けんでよく洗う
・共用でタオルを使用しない
・手で目をこすらないようにする
・お風呂は最後に入る
・医師の許可があるまで、学校や幼稚園は休みましょう
前述のように、アレルギー性結膜炎は人にはうつりませんが、強い目のかゆみを伴います。これをこすっているうちに角膜に傷がつき、ゴロゴロ感や異物感が出てきます。さらに悪化すると、角膜の周囲が赤紫色になったり、ゼリー状の目やにが出たりします。早めに眼科医にかかりましょう。
なお、アレルギー性結膜炎には、以下のような種類があります。
・アトピー性角結膜炎
・巨大乳頭結膜炎
・春季カタル
・季節性アレルギー性結膜炎
・通年性アレルギー性結膜炎
日常生活の中には、細菌感染のリスクがたくさんあります。人が集まるところは常にあぶないですし、家族が一緒に住む家の中も安全ではありません。しかし、少しの工夫で細菌をうつす機会は大幅に減らすことができます。治るまでは、人にうつさないように、細心の注意をはらいましょう。