記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
記事監修医師
前田 裕斗 先生
健康診断などで、子宮筋腫があるといわれることがありますが、「子宮に筋腫?」なんだか怖い病気のように思いますね。この記事では、子宮筋腫とはどんな病気か、また、どんな症状があるのか、治療や手術についてなどをまとめました。
子宮筋腫とは子宮の筋肉壁にできる良性腫瘍です。 非常に小さいものもあれば、メロン大の大きさになるものもあります。女性には非常に一般的な病気です。 35歳以上の女性の少なくとも20%に子宮筋腫があるといわれていますが、 多くの女性が気がついていません。
一旦子宮筋腫が形成されると、女性ホルモンであるエストロゲンの影響で、閉経後まで、筋腫が大きくなる可能性があります。
子宮筋腫を持つ多くの女性には症状がありません。 ただし、自分では症状と思っていないだけで、実際には子宮筋腫の影響が現れていたということは少なくありません。例えば、子宮筋腫は生理中に重度の出血を引き起こすことがあります。 また、生理期間が通常よりも長く続くことがあります。
子宮筋腫はまた、下部骨盤領域、背部または脚の痛みや圧迫感を引き起こすことがあります。 性交中に痛みを感じる女性もいます。 常に尿意を感じている人もいます。 また、腸に圧迫感があるかもしれません。 一部の女性には便秘や膨満感がある人もいます。
手術には、開腹による子宮全摘術と子宮筋腫のみをくり抜く筋腫核出術、腹腔鏡による腟式子宮全摘術や子宮筋腫核出術、子宮鏡下の粘膜下筋腫切除術があります。
患者の筋腫の症状による生活への悪影響が著しく、手術を望む場合は手術を行います。
従来の産婦人科医療では、大きな筋腫は症状にかかわらず手術適応でしたが、今は、自覚症状がないもの、自覚症状があっても対症療法でコントロールできるものであれば、閉経を待つことは可能です。
早く手術しないと増大してからでは手術困難になるという固定観念には、全くエビデンスがありません。
極端に大きな筋腫でない限り、薬物療法で筋腫を縮小してから手術を行うことで、低侵襲手術(腹腔鏡併用の膣式全摘など)を選択できます。
【出典:厚生労働省ホームページを編集して作成 http://w-health.jp/caring/hysteromyoma/】
子宮筋腫には、多くの治療法があります。 症状を起こさないものは治療を必要としないかもしれません。 症状を引き起こす子宮筋腫の治療法には、薬物療法や手術が含まれます。 医師は、最良の治療法を見つけるのを手助けしてくれます。
薬での治療で子宮筋腫をなくすことはできませんが、症状をコントロールして子宮筋腫を小さくするのに役立ちます。
医師は、筋腫を除去または破壊するために、非侵襲的または低侵襲的処置を勧めるかもしれません。
非侵襲的な処置とは、筋腫を破壊または除去するために医師が切開(開腹、お腹を切る)を行う必要がないことを意味します。
MRI誘導焦点超音波療法は、子宮筋腫を治療する新しい非侵襲的方法です(※国内ではまだ実施病院が限られている)。
この処置は、まず、磁気共鳴イメージング(MRI)スキャナを使用して子宮を撮影します。 筋腫がどこにあるかを正確に示されたところで、 医師は、筋腫に超音波を当て、加熱し、筋腫を破壊します。
最小限の侵襲的処置とは、医師が筋腫を除去するために、皮膚をごくわずか切開(切断)します。この処置には、次に挙げた治療法があります。
血液供給が止まると、筋腫は縮小します。 医師は子宮筋腫に血液を供給する動脈に小さな粒子を注入します。 粒子は血流を止め、筋腫は縮小します。 この手技は、複数の子宮筋腫があっても行うことができます。
子宮から筋腫のみを取り除きます。 筋腫の大きさや個数によって3−7cmの小さな創で開腹術を行うか、腹腔鏡の手術を行うかを選択できるほか、子宮内に突出するタイプの粘膜下筋腫であれば、子宮鏡で手術を行うことも可能です。
非常に大きい子宮筋腫や子宮筋腫の数がたくさんある場合はより大きな創で開腹術を行う可能性があります。
もしくは、子宮摘出術を勧めることがあります。子宮摘出術は筋腫摘出術と比較して、より少ない出血量や短い時間で手術を行える可能性があります。お子さんの希望がこれ以上ない方にとっては筋腫摘出術よりもよりすすめられる場合があります。
若い女性で将来的に妊娠・出産の希望がある場合、無症状の筋腫については、治療不要です。比較的大きな筋腫で、変性などにより痛みが強い場合や子宮内腔の変形が大きく過多月経が強い場合には、妊娠が妨げられる可能性や、将来の妊娠時に筋腫が変性し、炎症を起こすことで流・早産につながる可能性があります。
そのため、筋腫が大きい場合や粘膜下筋腫の場合は子宮筋腫核出術を行います。筋腫が多発している場合には、術中に出血が多くなることが予想されるため、自己血輸血の準備を勧めます。
筋腫を核出した後の妊娠では、子宮破裂を避けるため、帝王切開術を選択する可能性が高くなります。
【出典:厚生労働省ホームページを編集して作成 http://w-health.jp/caring/hysteromyoma/】
妊娠を望むのであれば、筋腫部分のみを摘出する手術をします。しかし、その場合、再発することもあります。妊娠する必要がなければ、医師は全摘出手術を勧めるかもしれません。
子宮筋腫は、よく起こる病気です。
自分自身のライフプランを立てて、治療のメリットとデメリットを医師に相談しつつよく考え、自分の意思で将来を見据えた選択を行うことが必要です。そのために、医師は最大限のサポートをしてくれるでしょう。