記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/15 記事改定日: 2018/3/20
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
花粉症の症状と聞くと、目のかゆみ、くしゃみ、皮膚のかゆみなどをイメージする方が多いと思いますが、実は頭痛もそのひとつです。この記事では、花粉症による頭痛の原因や、頭痛に効く市販薬、対処法などをご紹介していきます。
花粉症は季節性アレルギー性鼻炎と呼ばれる鼻炎のひとつです。症状としては鼻水、目のかゆみ・充血、皮膚のかゆみなどが広く知られていますが、頭痛などの症状が現われることもあります。
花粉症によって頭痛が起こる主な原因として、「鼻づまりや喉の粘膜の炎症によって脳の酸素が不足すること」「鼻づまりが原因の睡眠不足」「ヒスタミンの影響」「副鼻腔炎の影響」「花粉症によって生じる肩こり」が挙げられます。
鼻づまりは、花粉症によるアレルギー反応であり、鼻の粘膜が腫れて鼻の通り道が狭くなることで起こります。
鼻がつまると呼吸がしづらくなり、脳が酸素不足になりやすくなってしまいます。脳内の酸素が少なくなると脳が酸素補給のために血液の量を増やそうとし、血管が拡張して周辺の神経が圧迫されて頭痛が起こってしまうと考えられます。
また、鼻づまりで呼吸がしにくくなると眠りが妨げられて睡眠不足になります。睡眠不足は交感神経と副交感神経のバランスを乱して血管を必要以上に広げ、頭痛を発症させる可能性があります。
花粉などのアレルゲンが体内に入り、鼻の粘膜にある肥満細胞の表面にある抗体と結合すると、肥満細胞からヒスタミンという化学物質が分泌され、花粉を体外へ排出しようとします。鼻水やくしゃみはこのヒスタミンの影響によるものであり、またヒスタミンは血管を拡張する作用もあります。この血管の拡張によって、頭痛が引き起こされるようになります。
花粉症によって鼻腔の炎症が長期化すると、鼻の奥の副鼻腔が炎症を起こし、膿が溜まって「副鼻腔炎」を発症することがあります。この副鼻腔炎の影響によって、頭痛や頭がぼーっとするなどの症状が引き起こされるケースがあります。
花粉症と肩こりは一見何の関係もなさそうに思えます。しかし、花粉症の症状によって強いストレスを受け続けると血流が悪くなったり筋肉がこわばったりするため、普段は肩がこらない人でも肩がこりやすくなる傾向があります。
肩や首への負担は緊張性頭痛(肩や首筋の筋肉の緊張によって周辺の血管が締めつけられることで発生する。後頭部に痛みを感じるのが特徴)の大きな原因です。
花粉症による頭痛に効く市販薬としては、以下のものがおすすめです。
抗ヒスタミン成分が入っており、鼻のアレルギー症状を緩和してくれます。これにより、鼻づまりによる頭痛の改善が見込めます。
抗アレルギー成分のペミロラストカリウムが肥満細胞を安定させ、ヒスタミンの放出を抑制します。ヒスタミンの影響による頭痛の緩和に効果的です。眠くなる成分は入っていません。
有効成分のイブプロフェンには、高い解熱鎮痛効果があります。眠くなる成分が入っていないのも嬉しいポイントです。
有効成分のアセトアミノフェンには、解熱鎮痛効果があり、イブ®と同様に眠くなる成分が含まれていません。
鼻づまりによる頭痛や副鼻腔炎による頭痛の場合は、「辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)」という漢方がおすすめです。辛夷清肺湯には呼吸器を潤す作用があり、鼻づまりに高い効果を示します。副鼻腔炎の治療薬としても処方されることのある漢方です。
また、肩こりによる頭痛の場合は、「葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)」という漢方がおすすめです。こちらも重度の鼻づまりや副鼻腔炎を緩和する効果があるとされ、また鼻づまりによる肩こりを和らげる効果があるとも考えられています。
なお、肩こりが原因の頭痛には、軽いストレッチなどを行い、こわばった筋肉を伸ばすなどの運動も有効です。その際には深呼吸をするとストレッチの効果を挙げることができます。
最も効果的と考えられるのは花粉症そのものを軽減することです。残念ながら今のところ花粉症を完治する方法はありませんが、薬を服用したり規則正しい生活を送って免疫力を高めることで症状を和らげることはできるといわれています。
花粉症が疑われる場合は耳鼻科やアレルギー科を受診して、症状が少しでも軽く済むように対策をとるようにしましょう。
また、花粉症は突然発症する可能性が高い病気です。
くしゃみがとまらない、さらさらとした鼻水が止まらない、市販の鼻づまりを解消する点鼻薬を1週間以上使っても改善しないという場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
花粉症による頭痛の予防は、花粉症そのものにアプローチをすることから始まります。ご紹介した市販薬を使って対処することもできますが、花粉症の症状が治まらない場合や痛みが改善しない場合は、早めに専門医の診断を受けたほうが良いでしょう。