記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/24
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
「ストレスでついつい食べすぎちゃう」「最近食欲がなくて・・・」など、メンタルは食事と密接に関わっています。
今回の記事では、ストレスが及ぼす症状を「食事」の面からご紹介していきます!
「摂食障害」という言葉を、一度は耳にしたことがあると思います。
摂食障害は、10代や成人初期の女性に多く発症します。摂食障害は非常にストレスになり、自尊心を低下させ、本人を孤立させたり、ときには生命を脅かす重大な病気を引き起こす可能性があります。
ただ、10代の子どもが突然菜食主義になったり、ダイエットしはじめたり、食事をとらなかったりなど、食生活をころころと変えるのは珍しいことではありません。では、これと「摂食障害」はどう違うのでしょうか?また、ストレスとはどう関係しているのでしょうか?
詳しい症状を、以下でご紹介します。
摂食障害は、主に「無茶食い障害」「過食症」「拒食症」の3種類に分けられます。それぞれの症状は次のとおりです。
無茶食い障害は、定期的(週3回以上)に短時間で大量の食物を摂取する摂食障害です。食事量について恥ずかしく思い、無茶食いした食べ物を隠すことがあります。この障害を抱える人は、ダイエットに挑戦しては失敗し、または食べ過ぎをやめようと約束しますが、衝動のコントロールが難しく、太り過ぎまたは肥満になる傾向があります。
~主な症状~
・短期間で大量の食べ物を食べる
・空腹でなくても食べる
・不快感を抱くまで食べる
・つまみ食い
・食べ物を隠す
・一人で食べる
・食事の時間は普通に食べるが、ほかの人がいないときに大量に食べる
・大量の食べ物を食べた後うんざりし、落胆したり罪悪感を抱く
過食症の人は、一度にたくさんの食べ物を食べます。そして、嘔吐するか、体内の食物を取り除くために下剤を使います。無茶食いの後、過食症の人は体重を増やさないようにするために絶食したり、過度に運動したり、ダイエット薬を使用することもあります。暴食や嘔吐、下剤を隠そうとしたり、食べ物を隠すケースもあります。
過食症の人は、通常、普通の体重に近いですが、体重が上下することがあります。
~主な症状~
・つまみ食い
・食べ物の空の容器を隠す
・食事を省くかちょっとしか食べない
・他人と一緒に食事することを避ける
・食後の嘔吐
・ウォーターピルまたは下剤の使用
・断食(一定期間食事をしない)
・過度に運動する
拒食症の人は、食欲がなく、体重を増やすことを恐れて痩せることに夢中です。絶えずカロリーや脂肪量を心配し、また体重を減らすために、ダイエット薬、下剤などを飲んだり、極端に運動し過ぎることがあります。
拒食症の人は、通常、非常に痩せているのに自分は太っていると思っており、病気に見えるほど痩せてしまうかもしれません。
~主な症状~
・非常に痩せている
・非常に痩せているにもかかわらず太りすぎと感じる
・体重を増やすことを恐れる
・カロリー、炭水化物、脂肪量をひどく気にする
・食事のルールを作る(たとえば、一口につき一定回数咀嚼するなど)
・過度の運動
・ダイエット薬、下剤の使用
・(女性の場合)生理期間がないか不規則になる
・いつも寒く感じる
・体重減少を隠すために袋のような服を着る
上記の症状がときどき出る場合は、必ずしも過食障害である可能性はありません。
しかし、定期的に発症し、精神面や身体的に影響を及ぼしていると思う場合は、医師に相談してください。適切な治療とサポートを受ければ、ほとんどの人が回復します。
はっきりとはわかっていませんが、摂食障害の人は、以下のような生活上の何らかのストレスがあると考えられています。
・低い自己評価や自信の喪失
・気持ちの落ち込みや過度な心配
・怒り、退屈、孤独などの感情
・体型に不満があり、痩せていなければいけないというプレッシャーがある
・過去にストレスの多い状況やトラウマがあった
・家族に過食障害を経験した人がいる
・社会やメディアのイメージや圧力
詳しい症状によって、引き起こされる病気のリスクは異なります。詳しくは下記を参考にしてください。
・体重増加
・肥満に関連する病気(心臓病、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症、胃の病気)
・体重増加
・胃の病気
・心臓病
・腎臓病
・歯の病気
・ある種の癌(乳がんや大腸がんなど)
・うつ病や不安神経症
重度の場合には死に至ることがあります。
・集中力の低下
・胃の病気
・心臓病
・腎臓病
・骨粗鬆症
・肌や髪の乾燥
・衰弱
重度の場合には死に至ることがあります。
医師に相談し、身体の治療だけでなく、カウンセリング(自分の体重についてどのように感じているかを話してもらう)を受ける必要があります。また、健康な食生活のため、栄養士が指導するケースがあります。
ほかの主な治療方法は以下のとおりです。
・自助努力プログラム‐本やオンラインのコースで、個別で行う場合と、サポートグループに参加して行う場合があります。
・自助努力ガイド(専門家と定期的に連絡を取りながら行う)
・専門チームによる治療介入
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の服薬
また、摂食障害の治療で大切なのは、本人が家族や友人から愛され、サポートされていると感じさせ、自負心と自尊心を築けるようにすることです。特に10代に対しては、メディアでの理想体型は現実的ではないことを教える必要があるかもしれません。
ジャンクフードをやめて健康的な食事に変えると、健康な心臓、強い筋肉、適切な体重を維持できるように、気分も食べ物の影響を受ける可能性があります。
たとえば、十分なビタミンや栄養素を摂っていない人がうつ病になる可能性は高いのか、といった「食べ物と気分の関係性」については現在研究中ですが、現段階では、特定の栄養素(オメガ3脂肪酸、葉酸、ビタミンD、ビタミンB-12など)が幸福感につながる可能性が示唆されています。
また、健康的な食事をしていない人がうつ病の症状を報告する可能性が高いことを示した研究もあります。しかし、まだ多くの疑問が解消されていないので、うつ病やその他のメンタルヘルス問題の専門的治療の代用として、食事の変更は推奨されていません。
ストレスは摂食障害の原因となるだけでなく、摂食障害になることで新たな病気につながり、さらなる精神的負担になる恐れがあります。もし「摂食障害かも?」と思ったら、早めに診察を受けてくださいね。