記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
毎年冬になるとニュースで取り上げられるのが、「ノロウイルス」の流行です。激しい嘔吐や下痢を引き起こすことでも知られており、「絶対に感染したくない!」と思う方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんなノロウイルスの感染を予防する方法をお伝えしていきます。
ノロウイルスとは下痢や嘔吐、腹痛などの消化器症状を引き起こすウイルスで、牡蠣などの二枚貝や汚染された水に含まれていることがあります。ノロウイルスは、家族や学校などの集団生活の場で急速に感染者が広まるという、感染力の強さでも知られています。
主な感染経路として、以下の状況が挙げられます。
・ノロウイルスに汚染された二枚貝を、生あるいは加熱不十分な状態で食べた
・ノロウイルス感染者の吐物や糞便、飛沫に接触した
・ノロウイルス感染者の調理した料理を食べた
・ノロウイルス感染者の触ったもの(ドアノブなど)に触れた
・ノロウイルスに汚染された井戸水などを消毒不十分なまま摂取した
ノロウイルス食中毒を防ぐには、「手洗いを徹底すること」「調理者や調理器具からの二次汚染を防止すること」「加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱すること」が重要です。詳しくは以下で解説していきます。
手洗いは、手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法です。食事の前、トイレに行った後などには必ず行いましょう。常に爪を短く切っておき、指輪ははずし、石けんを十分泡立て、ブラシなどを使用して手指を洗浄します。すすぎは温水による流水で十分に行い、清潔なタオルかペーパータオルで拭くことが望ましいです。石けん自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪などの汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。
なお、消毒用エタノールによる手指消毒は手洗いの代用にはならないので、石けんによる手洗いができない場合の補助として行うようにしてください。
二次汚染を防止するために重要なのが、調理者が調理を行う前に上記の手順でしっかり手洗いをすることと、次亜塩素酸ナトリウムや加熱による調理器具の処理です。調理器具は洗剤で十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)で浸すように拭くことでウイルスを失活化できます。また、まな板、包丁、食器、ふきん、タオルなどは熱湯(85℃以上)で1分以上加熱することが有効です。
なお、二枚貝を調理するときは、専用のまな板や包丁を使用するか、調理器具を使用のたびに洗浄・熱湯消毒するようにしましょう。
一般的にウイルスは熱に弱く、加熱処理はウイルスの失活化に有効といわれています。ノロウイルスを含む可能性のある二枚貝などの食品の場合は、中心部を85~90℃で90秒以上加熱することが望ましいです(保有するウイルスの量によっては、さらに加熱が必要な場合もあります)。
先述のとおり、ノロウイルスのよくある感染経路のひとつに「感染者の吐物や糞便からの感染」があります。感染者の吐物や糞便を処理するときには、使い捨てのガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用し、汚物中のウイルスが飛び散らないように吐物や糞便をペーパータオルなどで静かに拭き取ってください。拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm)で浸すように床を拭き取り、その後水拭きをします(おむつの場合は速やかに閉じ、糞便を包み込むようにしてください)。使用したペーパータオルはビニール袋に密閉して廃棄しましょう。
また、ノロウイルスは乾燥すると空中に漂い、口に入ったときに感染することもあります。吐物や糞便は乾燥しないうちに速やかに処理し、処理した後はウイルスが屋外に出て行くよう空気の流れに注意しながら十分に換気を行うようにしましょう。
ノロウイルスを予防するためには、手洗いや調理器具の消毒の徹底など、日頃から身の周りを清潔にしておくことが非常に大切です。牡蠣などの二枚貝を調理したり食べたりするときは、一層の注意を払うことをおすすめします。
【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html】