記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
かつて歌手の絢香さんが発症を公表し、有名になった「バセドウ病」ですが、女性が発症することが多いため、「バセドウ病=女性の病気」と思っている方も多いのではないでしょうか。ただ、実は男性がバセドウ病を発症するケースもあるのです。以降で、男性のバセドウ病の特徴などをご紹介していきます。
バセドウ病とは、甲状腺ホルモンの過剰分泌によって心身にさまざまな不調が現れる自己免疫疾患です。バセドウ病は20~30代の女性に多いですが、5~10対1の割合で男性も発症する可能性があります。
男性のバセドウ病も女性と同じく、動悸、息切れ、甲状腺の腫れ、眼球の突出、頻脈、手足の震えなどが主な症状です。また、甲状腺ホルモンの過剰分泌により代謝が活発すぎる状態が続いているため、疲れやすかったり、汗を大量にかくようになったり、落ち着きがなく精神的に不安定になったりする人も少なくありません。そして男性の場合、特に顕著な症状が体重の減少です。1ヵ月程度で10kgも体重が落ちてしまうケースもあります。
ただし、バセドウ病の症状の現れ方は年齢や健康状態によって異なるので、異変を感じたら自己判断せず、病院で検査を受けるようにしてください。
バセドウ病の検査は、血液検査によって行われるのが一般的です。血中甲状腺ホルモンの量が多く、TSHレセプター抗体(甲状腺を刺激する抗体の一種)が検出された場合、バセドウ病と診断されます。
なお、血液検査での診断が困難な場合、アイソトープ(放射線ヨウ素)検査が行われることがあります。ヨウ素は甲状腺に集まりやすい性質があるのですが、アイソトープを服用し、アイソトープが甲状腺全体にたくさん集まった場合は、バセドウ病と診断されます。
バセドウ病の治療法には3種類あります。まず1つめは「薬物療法」です。抗甲状腺薬を服用し、甲状腺ホルモンの合成を抑えることで症状を緩和します。通常、1~3ヵ月ほどでホルモンの分泌量が正常になっていく傾向にあります。
2つめの治療法は「アイソトープ療法」です。放射性ヨウ素を服用し、甲状腺の細胞の数を減らしていく治療法で、効果が現れるまでには2~6ヵ月程度の期間を要します。ただし、治療の結果細胞が減りすぎてしまい、かえって甲状腺機能低下を招いてしまうことがあります。そして3つめが「手術」です。甲状腺を切除することで、ホルモンの過剰分泌を解消します。
なお、どの治療が適しているかについては、症状によって異なります。一般的に、甲状腺の腫れが大きな人は薬物治療が難しいため、手術やアイソトープ療法が適用される場合が多い傾向にあります。
バセドウ病は確かに女性に多い病気ではありますが、男性が発症することもあります。男性の場合は短期間での急激な体重の減少が特徴となることが多いので、当てはまる症状が見られる方は、一度病院を受診することをおすすめします。