記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/17
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
「レズビアンの女性は性感染症の検査を受ける必要はない」なんて、聞いたことはありませんか?
これ、真っ赤なウソなんです。
自分自身や愛する彼女を守るために、ぜひこの記事を読んでください!
レズビアンとバイセクシャルの女性を対象に性感染症の調査をしたところ、約半数が性感染症を持っている、という結果になったことがあります。
実は女性同士であっても、体液が混ざるときにヘルペスや尖圭コンジローマ、クラミジアなどに感染する場合があります。つまり、オーラルセックスや、自分自身を触った手でパートナーに触るなど1対1の接触があれば、感染するリスクがあるのです。
なお、月経中のときにセックスをすると感染のリスクが高まるので絶対に避けてください。
性感染症予防のため、下記の点に気をつけてください。
・性行為用玩具を使用する場合
お互い新しいコンドームを使うか、挿入のたびにコンドームを換えましょう。また、使用した玩具は石鹸で洗ってください。
・あなたかパートナーの口や唇に傷や炎症がある場合
オーラルセックスを避ける、歯科用ゴムシート(※)を使用してください。
※歯科用ゴムシート:ラテックス製またはポリウレタン製の約15cm四方の正方形シート。オーラルセックス中に肛門や女性器を覆うために使用し、性感染症予防に効果があります。
・相手の外陰部に触れる場合
手や指で外陰部に触ったり、お互いの外陰部をこすり合わせたりすると性感染症になる場合があります。セックスの前後には手を洗いましょう。
・膣や肛門でフィスティングをする場合
ラテックス製の手袋を使用し、水分ベースの潤滑剤を十分に使ってください。
レズビアンの女性の場合も、以下のような感染症にかかる可能性があります。
カンジダ症は、カンジダと呼ばれる真菌の増殖によって引き起こされます。
症状としては、
・外陰部や膣のかゆみ
・挿入時の痛み
・排尿時の焼け付くような痛み
・どろっとした白いおりもの
などがあります。
性行為用玩具を触ったり共有したりすることで、感染することがあります。症状が出た場合は、医師の診察を受けましょう。
性器ヘルペスはウイルス性の感染症です。感染者とヴァギナルセックスやアナルセックス、オーラルセックスをしたり、性行為用玩具を共有したりすることで感染します。
症状としては、
・口や鼻のただれ
・性器周辺の痛みを伴う水疱や潰瘍
がありますが、症状が出ない女性もいます。
感染してしまった場合は、抗ウイルス錠剤での治療を行います。
尖圭コンジローマとは、外陰部や肛門まわりにできるいぼです。かゆみがあるかもしれませんが、通常は痛みはありません。
ヒトパピローマウイルスの一種が引き起こすもので、多くの場合、外陰部をこすり合わせるなどの皮膚の密着で感染します。
治療法としては、いぼを凍結させる、薬用クリームを塗るなどさまざまな方法があります。
トリコモナス症は、膣液が混ざるような性的交渉中に女性間で感染することがあります。
症状としては、
・泡っぽいおりもの
・排尿時の不快感
・外陰部の痛み
・膣の不快な匂い
などがありますが、中には症状の出ない女性もいます。
基本的には、抗生物質で治療します。
これらは細菌性の性感染症で、子宮頸部や直腸、喉、尿道に感染します。おりものが増えることもありますが、多くの場合は症状がありません。
性行為用玩具や手の接触または外陰部をこすり合わせたりすることで感染します。
抗生物質で治療可能ですが、放置すると細菌が卵管に感染し、不妊症になる危険性があります。
梅毒とは、痛みを伴わない潰瘍を引き起こす細菌性の感染症で、基本的には性器周辺に潰瘍がみられます。潰瘍は自然に消えますが、発疹が出たりリンパ腺(リンパ節)が腫れたりするなどほかの症状が現れることがあります。
初期の段階では非常に感染力が強く、セックスの際に感染者の皮膚に密着すると感染します。
抗生物質の注射や錠剤の服用で治療できますが、放置すると神経や体内器官が細菌に冒されることがあります。
膣の痛みや外陰部の炎症は、香料入りの石鹸やバブルバス、シャワージェルの使いすぎで起こることもあります。特に膣には自浄作用があり内部を洗う必要はないため、刺激を与えすぎないようにしてください。
ただ、上記のような感染症の症状や、ほかに気になる症状がある場合は病院を受診してください。定期的に検査を受けることで、健康的な性生活を送ることができます。
女性同士のセックスであっても、洗っていない性行為用玩具や体液などが原因で性感染症になるリスクがあります。身体や道具はいつもキレイにするよう心がけ、これからも安全なセックスを楽しんでください。