記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/13
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
学校、交通事故、介護など、ストレスは思わぬ出来事や予期せぬ事態から急に発生することがあります」。現代社会では、みんなさまざまな場面でストレスを抱えながら前向きに生活しています。しかし、心が折れそうになることもあります。そんなとき、どうすれば前向きに対処できるのか、その改善策について考えてみましょう。
試験は、子どもと保護者の両方にとって、学校生活上困難な面となることがあります。そんなストレスに対処する方法をみつけてみましょう。
試験のストレスの兆候をみつけてください。ストレスを受けた子どもたちには、「いらだち」がみられます。そして、よく眠れず、食欲を失い、心配したり、うつ状態になったりネガティブに見えることがあります。頭痛や腹痛はストレス関連で起きることもあります。
子どもが話し相手をもつことは助けになります。親、家庭教師、または勉強仲間からのサポートは、子どもたちが心配を忘れ、物事を順序立て手考えるのに役立ちます。子どもがストレスに対処できていないと感じたら、学校の先生に相談してください。
子どもの健康にはバランスのとれた食事が不可欠であり、試験期間中に気分がよくなることに役立ちます。
高脂肪、高糖度、高カフェインの食べ物や飲み物(コーラ、、チョコレート、ハンバーガー、ポテトチップなど)を多く与えすぎると、子どもが過活動的となり、イライラしたり、感情的になることが多くみられます。
よい睡眠は子どもの思考と集中力を向上させます。子どもは、8~10時間は寝る必要があります。テレビの視聴やコンピュータの使用は勉強の合間に30分程度と決めてください。
試験の前に一晩中徹底的に詰め込むのは、間違いです。最後まで詰め込んで勉強させる時間よりも、睡眠をとるほうがはるかに有益です。
試験期間の前後には、親がフレキシブルになるように助言しています。子どもが1日中復習をしているときには、やっていない家事やベッドルームが片付いていないとしても心配しないでください。親が落ち着いていることが助けとなります。試験は一生続くものではないことをくれぐれもお忘れなく。
子どもが勉強しやすい場所で子供が復習できるようにしてあげてください。復習スケジュールを作るのを手伝ってあげたり、学校で作るように頼んでみましょう。
緊張することは正常なことであることを、子どもに話してください。神経質になることは、試験に対する自然な反応です。
こうした神経を積極的な方向に活用することが鍵となります。自分が何をわかっているのかについて思い出させ、子どもが勉強に費やした時間は「自信」を与えるのに役立ちます。
子どもが活動的であることを確認してください。運動は、エネルギーレベルを上げ、心を癒し、ストレスを和らげるのに役立ちます。ウォーキング、サイクリング、水泳、サッカー、ダンスはすべて効果的な運動です。
子どもたちが試験時に受ける最大の圧力は、家族からのものだと感じています。 子どもたちに耳を傾け、サポートを行い、子どもを批判しないでください。
子どもが試験に行く前に、安心させ、ポジティブにすること、試験に失敗しても世界の終わりではないと子どもがわかっていること、うまくいかず失敗したとしても再度試験は受けることができることを確認しましょう。
各試験の後、子どもがあなたと包み隠さず話すことを促してください。終わった後には変更できないことにこだわるよりも、次の試験に焦点を合わせるようにさせてください。
試験が終わったら、褒めて、お祝いをしてください。これは、次の試験のために本当の励みとなります。 しかし、ご褒美を賄賂として使わないでください。代わりに、小さなお菓子を用意して、子ども自身が自分の勉強へのご褒美として与えられるようにしてみてください。
事故にあった人は事故当時とそれ以降に、次のようなさまざまな感情に襲われることがあります。
・ショック
・事故が本当に起きたとは信じられず混乱する
・怒り
・緊張感や心配
・恐怖や不安
・罪悪感
さらに、心の中で事故がフラッシュバックし、頭から離れないかもしれません。
事故にあったほとんどの人は、上記の感情のいずれか(またはすべて)を持っています。、感情のあまりに日常生活を妨げてしまうこともあります。
交通事故にあった人の大半は、時間の経過とともに激烈な感情から解放されます。しかし時々、それらの気持ちが消えたり、強くなったりして、思考や行動に影響を与えることがあります。 長い間、日常生活の中で苦しめられるこの激烈な感情は、心的外傷後ストレスという状態の兆候です。 心的外傷後ストレスの場合は、次のような症状があります。
・進行中の一般的な不安感
・運転や乗り物に乗るのが困難
・医療検査や手術が怖い
・神経過敏、過度の心配や怒り
・悪夢や睡眠障害
・孤独感
・止められないフラッシュバック
・事故の詳細と、事故当時やそれ以降どのように考え、感じ、行動したか、友人、親戚、カウンセ ラーに話す
・頻繁に運動し、いろいろな活動に参加する
・主治医の助けを得る
必要に応じてほかの機関に紹介し、あなたの回復を見守り、必要な薬を処方できます。
・日常生活に戻る
事故がきっかけで行動範囲が狭くなる人もいますが、怖くても普通の生活に戻ろうとすることが大切です。
・安全運転をする
事故後は運転や乗車が難しいかもしれませんが、運転中は常にシートベルトを着用し集中することで、将来の事故や怪我のリスクを抑えることができます。ただし疲れているときや、お酒、判断に影響を与える薬を飲んだりしたら、運転しないでください。
介護者は、慢性的な病状のある人に基本的なケアを提供する人です。慢性疾患は、長期間続く病気か、または不治の病気であり、癌、脳卒中の影響、多発性硬化症、関節炎、糖尿病、アルツハイマー症およびほかのタイプの認知症があります。 介護者は、食事の準備や食事、薬の服用、入浴、着替えなどを支援します。
深刻な病気になっている人をケアすることは決して容易ではありません。 仕事、家事、子どもの世話、病気の人の世話など、生活のさまざまな部分をやり繰りすることは難しく、自由な時間がないように感じるかもしれません。
さらに、介護を要する人に以下のような変化がみられた場合、より介護がたいへんになり、その人を病気になる前と同じようにみることも難しくなるかもしれません。
・本人はもう自分のことを知らないかもしれない
・病状があまりにも深刻で、簡単な計画について話すことも従うこともできない
・怒鳴ったり暴力をふるう、または家から出て徘徊するといった行動上の問題を抱えている(認知症の場合、特にこれが当てはまる)
介護者としての役割について、多くの様々な感情をもつことは普通です。 ときには、恐怖を感じたり、悲しくなったり、孤独になったり、認められていないと感じたりするかもしれません。 その一方、怒りや不満、さらには、罪悪感を抱いたり、人生が公正ではないと感じたりするかもしれませんが、これらの気持ちはすべて正常なものです。
しかし、これらの気持ちを引きずったり、人生に混乱をきたすことは普通ではありません。 介護は非常に過酷なもので、介護者を「隠れた患者」と考える人もいます。研究によれば、 介護者はそうでない人と比較して、ストレス過負荷、 うつ病その他の健康上の問題を抱えている可能性が非常に高いことが示されています 。感情が正常であるか、ストレスの徴候であるかを判断してください。
介護があまりにもストレスになっている場合は、以下に列挙されているストレス過負荷またはうつ病を示す身体的または感情的な症状が1つ以上あるかもしれません。
・不安
・介護を要する人、家族、または自分自身への過度の怒り
・極度の疲労
・健康上の問題(胸やけ、頭痛、風邪やインフルエンザにかかるなど)
・イライラする
・睡眠の問題(あまりにも睡眠過多、または睡眠不足)
・社会的引きこもり
・食欲の変化(意図しない体重の減少または増加)
・理由もなくすぐに泣く
・悲しい、絶望感または無力感
・気分が落ち込む、落ち着かない、イライラする
・無力感や罪悪感
・頭痛、腰痛、または消化器の問題
・セックスへの興味の喪失
・これまで楽しんでいたことに興味や喜びがなくなる
・睡眠の問題(睡眠過多、または睡眠不足)
・死や自殺について考える
・物事を思い出したり、集中したり、意思決定などが難しくなる
・主治医に相談する
戸惑ったり、恥ずかしく感じたりせず、すべての症状について医師に相談してください。 医師は気分をよくするための対処方法を指示したり、支援団体の紹介、またはカウンセリング、薬を勧めます。
・患者(介護を要する人)とほかの家族に話す
自分自身が患者ではないので、精神的なことでほかの人に負担をかけてはいけないと感じるかもしれません。 しかし、自分の病気や気持ちを話すことで、ストレスを和らげることができます。患者と話しができない場合は、ほかの家族や協力してくれる友人にどう感じているか話すようにしてください。
・自分の健康を管理する
研究によると、介護者は、ストレスやうつ病に加えて、ほかの多くの病気に苦しむ可能性が高いことが示されています。 ストレスを管理し、疾病リスクを最小限に抑えるために、アルコールやタバコを避け、適切な食事と運動を心がけ、予防的ケアのために主治医に相談してください。
・介護を要する人の病状について学ぶ
介護を要する人のの症状、その人が受けている治療法、および薬の副作用について、できるだけたくさんのことを調べてください。 情報を得ることで、事態を把握できているという感覚を得ることができます。医師、支援団体、インターネット、図書館では、より多くの情報が得られます。
・生活に規律を定める
介護はフルタイムの仕事になりますが、会社の仕事や子どもの世話などと平行してそれをやっているかもしれません。 家族とスケジュールを作ってください。 生活に規律を保ち、時間を管理するのに役立ちます。また、友人と会って夕食や映画に出かけるなど、自分が楽しむことの時間を作ることを忘れないでください。
・住んでいる地域で支援してくれる場所を探す
地域サービスには、食事の配達、交通、法律または財政のカウンセリング、理学療法や看護などの在宅医療サービスが含まれます。 また、支援団体やオンラインコミュニティに参加することもできます。
様々なストレスの対処法、いかがでしたか? このほかにもいろいろな事態があるでしょう。助けが必要であることを認識するには、強さと勇気が必要です。医師やカウンセラーと相談することは、自分の気持ちを理解する最初のステップです。後悔のないケアと解決法をみつけて、ストレスがなくなることを祈っています。