記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/23 記事改定日: 2020/3/1
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
しっかり休んだはず・・・しかし疲れが取れないのはなぜでしょう? 今回の記事では、疲れがとれない原因と、疲れをとるのに必要なものはどんなものかについて説明していきます。
疲れの原因にはさまざまなものがありますが、まず代表的なものとして挙げられるのは疲労物質の蓄積です。肉体的な疲労は身体を動かすためのエネルギーの不足や乳酸をはじめとした疲労物質の蓄積を引き起こします。
これらが続くと、体を動かすのが億劫になり、常にダルく重苦しい状態になります。
また、過度なストレスなどによる精神的な疲れは、抑うつ気分を引き起こしたり自律神経のバランスを乱れさせます。気分の変調や自律神経のバランスが一度乱れてしまうとすぐに回復しないことも多く、疲れが続きやすくなります。
疲れは上記のようなメカニズムで引き起こされますが、一度疲れがたまると食事や十分な休息を取らない限り、エネルギーの不足や疲労物質の蓄積は改善されません。これは精神的な疲れも同じです。原因が解消されない限り疲れが軽快することはなく、慢性化していく原因となります。
次のような病気は、慢性的な疲労、疲れがとれないといった症状を引き起こすことがあります。
これらの病気は疲れ以外にも気分の変調、動悸・めまい・体重減少など様々な症状を引き起こします。疲れ以外に心身に何らかの異常があるときはこれらの病気が原因のことがありますので、軽く考えずできるだけ早めに病院を受診するようにしましょう。
また、近年では強い疲れが続く「慢性疲労症候群」と呼ばれる病気も注目されています。
原因ははっきり分かっていませんが、説明のつかない疲れが半年以上続くほか、不眠、頭痛、のどの痛み、関節・筋肉痛、腹痛など様々な身体症状が現れるのが特徴です。思い当たる方は病院で相談することをおすすめします。
疲れをとるためには、栄養素をバランスよく摂り入れることが大切です。以下に効果的な栄養素ご紹介します。
ビタミンB1の不足は、糖質の代謝がうまくいかなくなるため、疲労物質が蓄積され疲れやすくなるといわれています。
豚肉やうなぎ、玄米、大豆、いんげん豆、鶏肉、にんにくに多く含まれます。
ビタミンB2の不足は、倦怠感を感じたり、疲れが取れにくくなる原因と考えられています。
卵、納豆、牛乳、ほうれん草、レバー、いわい、ナッツ類に多く含まれます。
ビタミンB6の不足により、食欲不振や貧血などの症状があらわれます。
鶏肉、レバー、バナナ、マグロ、カツオ、ニンニクに多く含まれます。
ビタミンB12は、精神を安定させるほか、腰痛や肩こりを緩和する効果が期待できます。また、ビタミンB12は末梢神経障害の時にも使用することがあるビタミンです。
レバー、にしん、牡蠣、チーズ、海苔、明太子に多く含まれます。
ビタミンCは、免疫力を高める効果があり、風邪などの感染症に対抗する働きがあります。
いちご、レモン、キウイ、じゃがいも、ブロッコリー、柑橘類、ピーマン、ゴーヤに多く含まれます。
血流を良くし、たまった疲労物質を運び去る働きがあるとされています。
アーモンド、大豆油、うなぎ、かぼちゃやモロヘイヤ、ニラ、落花生、油に多く含まれます。
クエン酸は血液をサラサラにする働きがあるとされ、新陳代謝を促し、疲労回復を助けてくれます。スポーツの後にクエン酸を摂ることで筋肉痛を予防することもできるといわれています。
レモン、グレープフルーツ、ライム、みかん、キウイ、いちご、梅干し、お酢に多く含まれます。
ミネラルの一種であり、疲労回復に欠かせない栄養素です。マグネシウムの不足により、慢性的な疲労、食欲不振につながります。
大豆、きなこ、アーモンド、ごま、玄米、するめ、粗塩に多く含まれます。
たんぱく質の構成成分である必須アミノ酸は、疲労による体のダメージを回復させる効果があるとされています。また筋肉の主な成分でもあるため、運動の後に摂るとより高い効果が期待できるでしょう。
うなぎ、いわし、イクラ、たらこ、レバー、鶏のささ身、卵、納豆、アボカド、カリフラワーに多く含まれます。
ストレッチやウォーキングなどの軽めの運動は、筋肉を動かしたり、血行を改善する作用があると考えられていて、体内に蓄積した疲労物質を排出する効果が期待でき、このような運動をアクティブレストといいます。
疲れが溜まったときに安静にして休むことも大切ですが、休み過ぎるとかえって回復が遅くなってしまうこともあります。無理に運動をする必要はありませんが、少しずつでも構いませんので、体を動かすようにしましょう。
しっかり休んでも、健康的な食事や運動をしても疲れが改善しないときは、慢性疲労症候群やバセドウ病などの病気の可能性もあります。セルフケアで改善しない場合は念の為病院で診てもらいましょう。