色覚異常とは ~ 混同しやすい色を知って快適な日々を過ごそう ~
2017/8/24
色覚異常というと、“色のない世界”に住んでいる人たちと誤解されがち。しかし、正常者と少し違うだけでちゃんと色を感じることができます。そして、決して特別な存在ではなく、身近に存在しているのです。ここでは色覚異常に対する理解を深めましょう。
色覚異常とは
多くの“正常”とされている人たちにとって、色の違いがはっきりと認識できる2つの色の違いが小さく感じられたり、判別困難な状態に見えることを、色覚異常と言います。
人間が色を感じるための細胞である赤錐体(L錐体)、緑錐体(M錐体)、青錐体(S錐体)のどれかがしっかり機能していないことが原因と考えられていますが、だからといって「色がまったくわからない」わけでも、モノクロの世界で生きているわけでもありません。
正常な人と色の感じ方が違うだけであり、どのように違っているのか、そのポイントを知ることで不自由なく日常生活をおくることも可能です。
また、色覚異常は、生まれつきの異常を先天色覚異常、目の病気のひとつの症状として現れたものを後天色覚異常と言います。後天色覚異常は、その病気が治るなど色覚異常の原因が消えれば、改善する可能性があります。
なお、先天色覚異常は自覚することが難しい場合が多く、自分でその可能性があると思ったり、周囲の人が気づいた際に、検査を受けて色覚異常かどうかを早く正しく理解することが大切です。
色覚異常には複数のタイプがある
すべての色は、光の三原色といわれる赤、緑、青の組み合わせで作られています。一方、人間が色を識別するための細胞も、前述のように赤に敏感なL錐体、緑に敏感なM錐体、青に敏感なS錐体の3種類があります。
この3種類の視細胞のうち、どの細胞に異常があるかで、色覚異常は以下のタイプに分けられます。
杆体(かんたい)1色型色覚
このタイプでは、錐体が3種類とも働いていないため、色の識別ができません。同時に、視力がかなり悪いという特徴があります。
錐体1色型色覚
赤、緑、青のどれかひとつの錐体だけが働いていている状態。動いている錐体の種類によって「赤錐体1色型」「緑錐体1色型」「青錐体1色型」に分けられます。
2色型色覚
赤、緑、青のどれかひとつの錐体だけが欠けている状態。「1型2色覚(赤が欠けている)」「2型2色覚(緑が欠けている)」「3型2色覚(青が欠けている)」に分類します。
異常3色型色覚
赤、緑、青のどれかひとつの機能が低下している状態。「1型3色覚(赤の低下)」「2型3色覚(緑の低下)」「3型3色覚(青の低下)」に分類します。
なお、色覚異常者の中でも多いのが、先天性の赤緑色覚異常者となります。見分けにくい色の組み合わせは、茶と緑、緑と灰色、赤と黒、オレンジと黄緑、ピンクと灰色・白、ピンクと水色、赤と緑、青と紫であると言われています。
日常生活で気をつけること
上記のように、色覚異常にもタイプがあり、それによってどのように見えているかも変わってきます。しかし、共通して「色を間違えやすくする環境条件」があり、それは「薄暗い」「見えているモノが物理的に小さい」「そもそも色がはっきりしていない。にごっている」などがあります。
ですので、なるべく明るい場所でモノを見るようにしたり、照明を灯すなどするようにアドバイスしましょう。
また、先天色覚異常の多くがもっとも苦手とする色の組み合わせが赤と緑です。つまり、信号機で点灯している色の見分けは大変つきにくいのです。事故につながる恐れもあるため、周囲の人にとっては最大限の注意が必要な場面のひとつです。
自分の色覚異常を自覚することさえできれば、それ以降は、間違えやすい場面や間違え方を学習できるようになります。日常生活の中で、一つひとつ、覚えていきましょう。ここでは家族の協力がとくに大切となるでしょう。
おわりに:区別しづらい色や周囲の環境を知ることが大切
自分の色覚異常の程度や傾向を正しく把握しておくことや、周囲の環境についてしっかり理解しておくことが大切です。それをすることで日常生活における不便も減るでしょうし、ふりかかるかもしれない危険を避けることにもつながるのです。