記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/25 記事改定日: 2018/6/22
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「むずむず脚症候群(レストレッグス症候群)」という病名を聞いたことはありますか?
日本では20~50人に1人の割合で見られる、40~70代に多い症状です。
その特徴、原因、対処法などをこの記事でご紹介します。
はっきりとした原因は不明ですが、むずむず脚症候群には「遺伝」「鉄の欠乏」「脳内のドーパミン神経機能障害」などが関連しているといわれています。
根拠として、むずむず脚症候群が同じ家系の人に発症する傾向が高いことや、ドーパミンの不足は運動や感覚の過剰な興奮(動き)を誘発することが挙げられます。
また、ドーパミンの生成には鉄分が欠かせないことも理由のひとつです。
二次性レストレスレッグ症候群とは、原因がはっきりわからないむずむず脚症候群とは異なり、他の病気の症状の一つとして発症するものです。
原因となる主な病気は、パーキンソン病や脊髄小脳変性症、ハンチントン病、家族性痙性対麻痺、多発性硬化症など神経障害や貧血、腎不全、関節リウマチなど様々なものが挙げられます。
また、女性では妊娠を契機に発症することが知られており、妊婦の20%がレストレスレッグ症候群を発症するとの報告もあります。
このように、むずむず脚症候群は様々な病気が原因となって引き起こされることがあり、むずむず脚症候群の発症をきっかけに病気が発見されることもあります。
むずむず脚症候群(レストレッグス症候群)は、安静時に脚がむずむずする・気持ちが悪い感覚や違和感が生じる状態を指します。
脚の不快感による、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるなどの不眠症状や、むずむず感をとめるために起きて歩き回ったりすることによる睡眠不足を伴うことが特徴です。
高齢者に多い症状ですが、最近では子供にも発症することが判明しています。
むずむず脚症候群には以下にあげる4つの特徴があります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
上記のように脚に刺激を与えることで症状が和らいだり、消えたりします。
むずむず脚症候群が疑われる場合は、「日本睡眠学会」の認定医の資格がある睡眠専門医を訪ねるとよいでしょう。
難しいようであれば神経内科、心療内科、精神科の受診をおすすめします。
むずむず脚症候群の治療薬が使えるようになったことで、最近では専門医以外の医師も治療が可能になってきてるからです。
ただし、“不眠症”と誤診されてしまい不要な不眠治療薬や痛み止めを服用するような事態に陥らないために、受診の際は「眠れない症状があること」と「脚に違和感があること」の両方を医師に必ず伝えましょう。
何らかの病気が原因となって生じるむずむず脚症候群の場合は、原因となる病気の治療が最優先で行われ、むずむず脚症候群による不快な症状に対しての治療が行われないことがほとんどです。
一方、原因がわからないむずむず脚症候群に対しては、症状を悪化することが知られているアルコールやカフェインを控え、十分な睡眠を心がけるなど生活習慣の改善が指導されます。
むずむず脚症候群は生活習慣を改めることで改善することが多いとされますが、症状が強く改善が見られない場合には、プラミペキソールやロチゴチンといったドーパミン製剤が使用され、脳内のドーパミン濃度を高める治療が行われます。また、睡眠障害や不安障害などを併発している場合には睡眠薬や抗不安薬などが併用され、それぞれの不快症状に対する対症療法が行われます。
むずむず脚症候群は軽度であれば自然によくなることもあります。しかし、疲れやストレス、生活習慣の乱れなどによって再発するケースも多いとされています。また、貧血や腎不全、パーキンソン病などの病気によってむずむず脚症候群が引き起こされている場合には、原因となる病気を発見する契機となることもあり、病気を治療することでむずむず脚症候群の不快な症状の改善が期待できます。
このため、むずむず脚症候群の症状が長く続く場合には病院を受診して、検査・治療を受けるようにしましょう。
「むずむず脚症候群」という病名があまり知られていないためか病院で治療を受けている患者さんは少ないですが、診断を受けてきちんと治療をすれば症状が改善する可能性は充分にあります。
気になる症状がある場合、可能であれば睡眠専門医の診察を受けましょう。