記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/6 記事改定日: 2020/3/30
記事改定回数:2回
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
更年期になるとホットフラッシュという独特の症状が現れます。汗を何とか対処できないものでしょうか。
この記事では、更年期対策とホットフラッシュについて説明しています。
更年期障害の代表的な症状であるホットフラッシュは、自律神経のバランスが崩れることで起こります。
自律神経には交感神経と副交感神経の二種類があり、交感神経は「興奮」、副交感神経は「抑制」というように、それぞれ相反する働きをすることで体の様々な機能を調整し、環境のちょっとした変化に適応しています。
この調整の中には発汗や体温調節も含まれいて、暑くなると副交感神経の働きで発汗したり血管を拡張させたりして体温を下げ、寒くなると交感神経の働きで血管を収縮させることで体温の放出を防ぐ働きをします。
更年期になると自律神経のバランスが乱れてしまうことで交感神経が活発に働くことがあり、暑くないのに汗をかいたり体温が上がってしまう「ホットフラッシュ」の症状が引き起こされるのです。
ホットフラッシュは、病院(基本的には婦人科)の治療で症状を和らげることができます。
治療方法としては「ホルモン補充療法」が最も一般的です。
これは、減少しつつある女性ホルモンを人工的に補充することで更年期障害全般の症状改善を図る治療です。使用されるホルモン剤は子宮があるかないかによって異なり、子宮がある場合にはエストロゲンとプロゲステロンの二剤、子宮がない場合にはエストロゲン単剤の投与が行われます。
また、ホルモン療法に抵抗がある人や副作用が強い場合には、加味逍遥散や温経湯、五積散、桂枝茯苓丸などを始めとした漢方薬が使用されることがあります。
ただし、漢方薬での治療には効果に個人差があります。自身に合ったものを選ぶことが大切ですので、効果がないのに漫然と飲み続けるのではなく、一旦中止して新しいものを試してみたほうがいい場合もあります。
ホルモン補充療法と漢方薬を併用することも可能ですので、治療方針については担当医とよく話し合って決めましょう。
更年期のホットフラッシュはホルモンバランスの乱れによる症状であるため、完全に予防することはできません。しかし、ホットフラッシュは大量の汗をかく、顔が赤くなるなどの症状が人前でも突然現れるため、日常生活に支障を来すケースも少なくないでしょうし、それがストレスとなってさらに更年期の症状が悪化する人もいるでしょう。
このような事態を防ぐため、ホットフラッシュを発症した場合は次のような対策をして症状を和らげるのがおすすめです。
また、普段からストレスや疲れが溜まらない生活を心がけ、自律神経のバランスを整えるよう注意しましょう。
ホットフラッシュなどの更年期の症状は、更年期に突入することで自律神経が’乱れることで起こります。症状の重さに違いはありますが、一定の年齢になればどの女性にも起こうるものです。
日常生活にできるだけ支障がないように、うまくつきあっていくことが大切です。生活習慣の見直しはもちろんですが、病院の治療に頼ることも決して悪いことではありません。信頼できる医師に相談しながら、自分にあった対処法を見つけましょう。