記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
「食事制限や運動をしてるのに体重が減らない…」と、停滞期のせいでダイエットをあきらめてしまったとい声も少なくありません。この記事では、ダイエットの停滞期が訪れる理由や停滞期を乗り越える方法をご紹介します。
停滞期が訪れるいちばんの理由は、私たちの体に備わっている「ホメオスタシス機能」が働くことです。ホメオスタシス機能は環境の変化から身を守るために現状を維持しようとする作用で、たとえば体温をある程度一定に保つ役割を果たしています。
ダイエットによって体重が多少減ると、体が自分は飢餓状態にあると判断してホメオスタシス機能が働きます。すると、通常時よりも食事からエネルギーを得るとともに、消費エネルギー量を抑えようとするために体重が減らなくなるのです。ホメオスタシス機能は生命維持のための大切な機能ですが、ダイエット中には停滞期を招く手ごわい相手と言えます。
一般的に停滞期に入りやすい時期や状態は以下の通りです。
たとえば、体重60kgからダイエットを始めた場合は57kg、50kgからのスタートならおよそ47kgにまで減量できた頃に停滞期がやってくることになります。停滞期を迎える時期は、元の体重によって変わります。
また、停滞期は一度だけでなく、ダイエット中に何度もやってくることが多いです。長期的な減量を考えている場合は、特に痩せやすい期間と痩せにくい期間が交互にやってくることを覚えておきましょう。
停滞期でモチベーションが下がってヤケ食いし、その結果リバウンドした…といった負のスパイラルにはまらないよう、食事面では以下のポイントを意識しましょう。
タンパク質が豊富で脂肪分の少ない、鶏のささみ、鶏むね肉、白身魚、豆腐、納豆などがおすすめです。停滞期には基礎代謝量、つまり消費カロリーが下がってしまうので、筋肉の働きをサポートしてくれるタンパク質を多めに摂るようにしましょう。
また、タンパク質にはグレリン(食欲刺激ホルモン)を抑える作用があるため、空腹感を抑えるのに効果があることがわかっています。一方で脂肪分の多い食べ物や炭水化物は、グレリンの濃度を上昇させ、空腹感を強めてしまう作用があります。停滞期を乗り越えるために、低脂肪かつ高タンパクの食事を摂るようにしましょう。
比較的低カロリーで栄養価の高い野菜をたくさん食べると、脂肪やカロリーが高い食べ物の摂取量や食欲を減らすことができます。また、野菜には満腹感を長持ちさせる食物繊維も含まれています。ダイエットの停滞期を乗り切るために、昼食や夕食にサラダや野菜ベースのスープを取り入れましょう。
また、食べる順番も大切です。上の項目で説明したように、停滞期にはエネルギーが吸収されやすくなっているので、糖質や脂質の吸収を穏やかにすることが重要です。食事のときはできるだけ野菜、海藻類、豆類、キノコ類から食べるようにしましょう。ただし、カボチャ、ニンジン、ゴボウ、ジャガイモなどは糖質が豊富なので注意してください。
毎日の食事の摂取量(間食したものも含む)の記録をつけておくと、自分が食べたものを把握しやすくなります。以下の2点に気をつけながら記録をつけてみてください。
基礎代謝量と消費カロリーを増やすには運動が欠かせません。食事制限のみでダイエットをしている場合は、ぜひ運動を取り入れてみましょう。軽めのジョギング・速いペースでのウォーキング・水泳・ダンスなどの有酸素運動と、短距離走・筋トレなどの無酸素運動を組み合わせて行うのがおすすめです。
もし「運動しているのに停滞期なのか、ぜんぜん減らない…」という場合には、いつもと違う種目に取り組んでみましょう。慣れたメニューを新鮮に感じられるよう、運動する場所や時間などの環境を変えることもおすすめです。