記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/6
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「気がついたら便が漏れてしまっていた」「トイレに行こうとしたけれど間に合わなかった」――そんなつらい「便失禁」でお悩みではありませんか?この記事では、便失禁が起きる原因や治療法を解説していきます。
便失禁とは意思に反して便が肛門から漏れてしまう症状のことで、発症している高齢者は少なくないと考えられています。排便のタイミングを自分で制御できないため、精神的な苦痛を感じることも多く、生活の質にも大きく関わる症状です。
便失禁の理由として最も多いのが、加齢による肛門括約筋の機能低下といわれていますが、便失禁は高齢者だけに起きる現象ではありません。出産時に会陰切開を行った妊婦さんも、同様に肛門括約筋が緩み、便失禁が引き起こされることがあります。ほかにも、痔の手術による肛門括約筋の損傷や、認知症によって便意を感じにくくなったこと、あるいは腸の病気などが原因で便失禁になってしまうケースもあります。
便失禁の治療法として最も一般的といわれているのが、整腸剤や下剤による投薬治療です。ほかにも、理学療法に基づいた肛門括約筋を鍛える体操によって症状を軽減できることもあります。
多くの場合は上記の内科的治療によって症状を改善できますが、中には手術が必要なケースもあります。手術には、「仙骨神経刺激療法」と「括約筋形成術」の2種類があり、仙骨神経刺激療法は電極によって仙骨の神経を刺激し神経を活性化させるというもので、多くの人に効果がみられる治療法です。一方の括約筋形成術は、裂傷した肛門括約筋を縫合する治療法で、出産による便失禁に対して有効とされています。
便失禁を抱えていても、「恥ずかしい」「年齢的にも仕方がないことだ」といった理由で病院を受診しない患者さんは少なくないと思います。しかし、便失禁は決して珍しい疾患ではなく、適切な治療を施せば多くの場合改善が見込める症状です。辛い症状を緩和するためにも、恥ずかしがらずに病院を受診してください。