妊娠超初期の出血と生理の出血にはどんな違いがあるの?

2017/9/13 記事改定日: 2020/1/23
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前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

経血(生理の血)と着床出血(医学的には月経様出血と言う)は似ている部分もありますが、見分けられるポイントもあります。この記事で、月経(生理)と着床出血の相違点や判別方法を詳しく見ていきましょう。

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妊娠超初期に起こる「着床出血」とは

着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床するときに起こる出血のことです。

着床とは排卵された卵子と精子が受精して子宮内部に到達し、子宮内膜に根をおろす状態で、着床をもって妊娠が確定します。着床出血は、受精卵が子宮内膜に入り込むときに子宮内膜がわずかに溶けることで引き起こされることが多いです。

個人差はありますが、一般的には月経血よりも量が少なく、色はピンクや茶色など薄いことが多いといわれています。

着床出血が起こる可能性はおよそ2パーセント以下と低く、誰もが経験する症状ではありません。

月経血(生理の血)と着床出血の違いは?

着床出血は経血とは異なりますが、生理予定日とそれほど変わらず出血が来た場合にはどちらなのか判断が難しいこともあります。
見分けるには、下記のことを気をつけてください。

着床出血は出血量が少ない・期間が短い

着床出血は生理よりも出血量が少なく、出血がある期間もほとんどは2~3日程度と短いです(中には生理と同じように1週間ほど続く場合もあり)。

血の色は薄いピンク色や茶色であることが多いようですが人によって差が大きく、生理の血のような鮮血のこともあれば茶色っぽいおりもののようなこともあります。

一方、生理による出血は個人差はありますが3~7日程続き、タイミングによって出血量や月経血の色が変動することが多いです。

経血と着床出血を見分けることはできる?

上の項目で説明したように出血量や期間による判別が可能です。それに加えて、基礎体温をチェックすることでより確実に生理と着床出血を見分けられます。

通常は月経から排卵までの期間の体温が低くなり、排卵から月経前までは体温が高い状態が続きますが、妊娠していると黄体ホルモンの作用で体温が高い高温期が続きます。そのため、出血があっても体温が下がらない場合には妊娠の可能性が高いといえるでしょう。

ただし基礎体温は普段から記録していないと、自分の平均体温や生理中の変動がわかりません。すぐに妊娠しているかどうかを知りたい場合には、市販の妊娠検査薬を使うこと(使用は月経予定日から3日以上経ってからにしてください)、産婦人科で診断を受けることがおすすめです。

基礎体温の測りかた

基礎体温は正しい方法で測らないと正確な数値が記録できないこともあります。
必ず次のようなポイントに沿って測るようにしましょう。

第一に基礎体温を測るには、小数点第2位まで測定できる「婦人体温計」を使用しましょう。通常の体温計は小数点第1位までしか測ることができず、細かい体温の変化を知ることができませんので基礎体温の計測に不向きです。
最近では測った基礎体温がそのまま記録できる機能がついて基礎体温計もあるので管理しやすいものを選んで購入しましょう。

また、実際に計測するときは布団からでないまま測るのがポイントです。夜寝る前に枕元など布団から出ずに手が届く範囲に体温計を置いておきましょう。そして、基礎体温は脇の下ではなく舌の裏側に挟むようにして測ってください。

基礎体温は妊娠しやすい時期を予測するのに役立つだけでなく、妊娠の可能性を知ることにもつながります。妊娠を希望している方は普段から基礎体温をチェックしてみましょう。

妊娠初期症状がないかもチェックしてみよう

個人差はありますが、妊娠初期に現われる代表的な症状として、微熱、頭痛、倦怠感、疲れやすい、気持ちが変わりやすくなるなどが挙げられます。

その他の代表的な妊娠初期症状を下記で紹介するので、妊娠が原因と思われる出血があるときはチェックするようにしてください。

胸の張りや痛みがある

妊娠によるホルモンバランスの変化で胸の張りや痛みを感じることがあります。
妊娠していなくても、生理予定日の1~2週間前に胸の張りや痛みを感じる人はいますが、妊娠した場合には生理予定日を過ぎても同じような症状が継続するのが特徴です。
胸の張りや痛みは出産後の授乳に備えて、乳腺や乳管が発達している証拠として現れます。

下腹部痛がある

受精卵は子宮内に着床してからどんどん大きくなり、それに合わせて子宮も大きくなります。子宮は筋肉でできており、いくつかの太い靭帯に支えられています。子宮が大きくなり、支える靭帯が引っ張られることで下腹部に痛みを感じることがあります。

超初期には下腹部痛を感じない人もいますが、チリチリとした違和感を覚える人は多いでしょう。

腰痛がある

女性の体内では排卵後にリラキシンというホルモンが分泌されます。リラキシンは、妊娠・出産に備えて骨盤の関節を緩める効果があり、腰痛の原因となることがあります。
リラキシンは特に妊娠初期と妊娠後期に盛んに分泌されますから、超初期に腰痛を感じる人もいるのです。

だるさや眠気がある

妊娠が成立すると、プロゲステロンというホルモンの作用によって体温が高い状態となります。そのため、体がだるく、眠気を感じることがあります。
症状の現れ方は人それぞれですが、中には仕事や家事などの日常生活を送れなくなるほどのだるさや眠気を感じる人もいます。

嗅覚や味覚の変化する

ホルモンバランスの変化や唾液の分泌低下などが原因となって嗅覚や味覚が変化することがあります。突然食べ物の好みが変わったり、いつも嗅いでいる臭いに不快感を覚えるような症状がある場合は妊娠初期の可能性があるでしょう。

急な吐き気や嘔吐がある

妊娠初期の症状として有名なつわりの症状です。つわりが引き起こされるメカニズムは正確には解明されていませんが、着床後に分泌されるhCGというホルモンによるものだという説が有力です。
吐き気は食べ物のにおいを嗅いだときや空腹のときに起こりやすいものなど、症状は多様です。

流産が疑われる出血や症状の特徴

流産とは、受精卵が着床したものの順調に成長せずに妊娠が終了してしまうものをいいます。妊娠12週未満で起こるものを早期流産、妊娠12週以降22週未満で生じるものを後期流産と呼びますが、流産は全妊娠の約20%で起こり、80%は早期流産であるといわれています。

流産の症状には、腹痛や出血などがあります。妊娠初期には流産でなくても自然な出血が生じることがありますが、流産の場合には鮮血に近い色の血が数日間続き、時には子宮内の胎芽や付属物が排出されることがあります。

一方、自然な出血は子宮が急激に大きくなることで子宮内膜の一部が剥がれることや着床によるものであり、少量の茶色っぽい血が出るだけ、腹痛などの症状を感じることはほとんどありません。

しかし、出血があった場合に自己判断で流産かどうかを決めるのは大変危険です。出血があったときは、少量でも必ずかかりつけの産婦人科を受診しましょう。

おわりに:月経(生理)か着床出血かは、基礎体温を測る習慣があると見分けやすい

経血と着床出血は似ている部分も多いため、自身で判断するのは難しいといわれています。基礎体温を測る習慣がある人は気づきやすいとされているので、普段から基礎体温をつけるようにしましょう。

ただし、妊娠しているかどうかを正確に知るためには妊娠検査薬を使ったり、産婦人科で診てもらう方が確実です。不安な症状がある、はっきりとした症状が出ていないなどがあるときは、早めに産婦人科医に相談するようにしてください。

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