記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
もやもや病とは、脳の血管に生じる病気です。著名人が発症したことでメディアでも紹介されているので、聞いたことがあるという人もいるのではないでしょうか。今回の記事では、そのもやもや病について解説します。
もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、両側頚動脈が細くなったり詰まったりすることによって、もやもやした血管網が生じ、脳の血液不足が起こりやすくなる病気です。特に日本人に多くみられ、20歳以前に発病する若年型と20歳以降に発症する成人型があります。
もやもや病の症状は、前頭葉の血流不足により起こりやすく、一時的に症状が現れたり回復したりを繰り返します。典型的な症状として、手足の麻痺や言葉がうまく話せない、またはろれつが回らなくなるといった言語障害、手足が意思に反してガクガクと動いてしまうような痙攣発作、頭痛などがあります。
また、成人の場合は、注意力、記憶力、情報処理能力の低下といった高次脳機能障害をが起こることもあります。
RNF213遺伝子を保有しているともやもや病にかかりやすいことが確認されていますが、はっきりとした原因はまだ解明されていません。また、炎症などの何らかの二次的要因も発症に強く関与しているのではないかと考えられています。
もやもや病には家族内発症が10〜12%程度の確率で発症するといわれています。つまり、本人がもやもや病の場合、その親や兄弟姉妹、従兄弟なども、もやもや病にかかりやすい可能性があるということです。
小児の場合、楽器の演奏や、熱い食べ物を冷ますふーふーという動作などが引き金となって、脳内の二酸化炭素濃度の低下により、脳血管が収縮することでさらに血流不足になることが原因と考えられています。
もやもや病の診断法と治療法を以下に解説します。
もやもや病を疑った場合は、診断するために脳神経外科を受診しましょう。MRIで動脈の詰まりやもやもやとした血管部分を検査します。また、CTで脳出血についても検査されます。
その他に、脳梗塞や脳出血を発症し、その際に行われた精密検査で診断されることも比較的多く見られます。
脳卒中、脳出血を予防するための治療として、新たに血流の供給をするようなバイパス経路を作成する手術が有効とされています。脳卒中を起こした直後の場合は、一般的な脳卒中に対する治療が行われ、症状が安定すれば、外科的治療が考慮されます。
また、痙攣などの症状には、抗痙攣薬が使用され、血小板の機能を抑えて血液が固まることを防ぐために抗血小板薬が使用されることもあります。言語障害や運動障害などに対しては、リハビリテーションなどの対症療法を行います。
もやもや病が診断された場合は、できるだけ早く手術を受けることが治療するために重要です。気になる症状があれば、脳神経外科を受診してください。