記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/9/19
記事監修医師
前田 裕斗 先生
離乳期の赤ちゃんに注意しなければいけない病気のひとつに、腸重積症があります。この病気はどういう病気で、どのような症状があるのでしょうか。 今回の記事で、腸重積症の症状や治療法について解説します。
腸重積症は腸の深刻な問題です。口に近いほうの腸が肛門に近いほうの腸の中に折りたたみ式のチューブのように折りたたまれます。たたまれて重なる部分ができることによって詰まりが生じ、腸が正常に機能しなくなる病気です。
腸重積は、乳幼児でよくみられ、成人に起こるのはまれです。
腸重積症はほとんどの場合、原因は不明とされています。まれに虫垂炎、大腸癌、腫瘍、ポリープなどが起因になる場合や、メッケル憩室(腸管の一部が袋状に残ってしまった先天的なもの)などが原因で腸の蠕動運動に引き込まれる形で腸重積を引き起こす可能性もあると考えられています。
腸重積が起こると、お腹にしこりがみられます。このしこりに強く触れると激しい痛みが起こるため、赤ちゃんは泣いてしまうかもしれません。その他にも腸重積症の症状には以下のものがあります。
・重度の腹痛(15〜20分間続くことがあります)
・腹部の腫れ
・嘔吐
・過敏
・血便
・熱
以下に腸重積症の診断と治療法を解説します。
腸重積症を診断するために、子供の症状を診療し、身体検査を行います。 便が詰まっている場合、浣腸を使用し便を出し、その便を検査します。また、腸重積が症状を引き起こしているかどうか超音波検査や、X線(レントゲン)検査を行うこともあります。
腸重積症は、診断の目的も兼ねて空気浣腸で治療します。 小さなチューブを通して直腸に空気を入れることで、折りたたまれた腸が元の状態に戻り、詰まりが解消することが多いです。また、空気浣腸の代わりに造影剤の注入で腸に圧をかける場合もあります。
腸の詰まりが改善しない場合や、腫瘍またはポリープが原因である場合、手術が必要になることがあります。
腸閉塞を起こした場合は緊急事態となるため、赤ちゃんに腸重積症の症状がある場合は、すぐに医師に相談してください。 治療せず放置すれば、重度の合併症を引き起こす可能性があります。
腸重積症は、迅速な治療が行われることで完治することが可能な病気ですが、進行が速い病気のため、発症後2~3日で症状が悪化することも少なくありません。治療が遅れ、感染などの合併症を引き起こした場合は、腸の一部を外科的に取り除くことになるケースもあります。
腸重積症は、治療が遅れると重篤な合併症を引き起こす可能性がありますが、早期に治療すれば完治する病気です。子供に腸重積症の症状がみられた場合には、すぐに病院を受診するようにしてください。