記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/19 記事改定日: 2020/5/11
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腹部大動脈瘤は死の危険につながるとても怖い病気です。症状が現れることがほとんどないため、知らない間に進行してしまいます。この記事では、腹部大動脈瘤の症状と予防法、早期発見のためにできることについて解説していきます。
大動脈の血管の壁が弱くなっているところが、血圧などで圧力が加わり、膨らんでしまい、瘤のような状態になったものを大動脈瘤といいます。ちなみに食道や心臓近くの部位にできるものは胸部大動脈瘤で、腹部の大動脈(横隔膜より下の大動脈)にできるものが腹部大動脈瘤です。
大動脈瘤の主な原因は動脈の壁が動脈硬化などによって弱り、もろくなってしまうことです。そのため、高齢者に多く、特に60歳以上の男性によくみられます。 以下の要因は、発症リスクを高めます。
高血圧と喫煙がとくにリスクを高める要因になりやすいとされていて、喫煙は高血圧や糖尿病よりも強い関連があるという研究結果も報告されています。
腹部大動脈瘤には痛みなどの「はっきりした自覚症状」が出ないことがほとんどです。やせ型の人では瘤が大きくなるとお腹を触れた時に「脈打つ」ような感じの膨らみを触れることもあり、腹部大動脈から分岐する血管が閉塞することで神経障害や胃腸症状が現れることもあります。
しかし、これらの症状が生じてからと言って、腹部大動脈瘤かもしれないと思う人はあまりいないでしょう。
腹部大動脈瘤が破裂すると、強い腹痛や腰痛とともに、腹腔内で大量の出血が生じることで血圧が急激に低下します。重症な場合では一気に血圧が低下して意識障害に陥ることもあります。
また、腹部大動脈から分岐する肝臓、腎臓、脊髄などへの血流が途絶えると、腎不全や神経障害などを生じることもあります。
腹部大動脈瘤は腹部エコー検査やCT検査によって発見することができます。
一般的な健診ではCT検査はまず行われませんが、超音波検査で腹部大動脈瘤がはっきりと観察できます。腹部大動脈瘤の疑いがあると判断された場合には、造影剤を用いたCT検査によって確定診断を行います。
CT検査では動脈瘤の大きさや形などから破裂の危険性をある程度は予測することが可能であり、手術を行うか経過観察のみでよいのかを判断する材料にもなります。
腹部大動脈瘤が指摘されたことがある人は定期的にCT検査を受けるようにしましょう。
腹部大動脈瘤の発症や進行を予防するには、動脈硬化の発症と進行を防ぐことが大切です。動脈硬化は上で述べたように、高血圧、肥満、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や喫煙習慣などによって引き起こされます。
そのため、腹部大動脈瘤の発症・進行を予防するには、日常生活の中で次のようなことに注意しましょう。
腹部大動脈瘤ができても、自覚症状はほとんど現れません。症状が出たときには、生命に危険が及ぶほど重症化していることがあります。早期発見のためにも、定期的に検査を受けましょう。また、予防や進行防止のためにも、日常生活を見直し健康的な生活を送り、持病がある人はきちんと治療を続けてください。