記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/21 記事改定日: 2018/7/20
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
クラミジアが性器だけでなく、オーラルセックス(口腔性交。口又は舌を使って相手の性器を刺激する行為)などで咽頭感染もすることを知っていますか? この記事では、咽頭クラミジアの感染経路や治療、予防方法についてまとめました。
クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスという細菌が引き起こす感染症です。オーラルセックスなどを含めたセックスで感染し、潜伏期間は1~3週間になり、淋菌感染症とともに、性感染症の患者数が多いといわれています。
クラミジア感染症による尿道炎は、男性では症状は弱く、半数が無自覚に菌を保持しているといわれています。また、精巣上体炎(陰嚢内の精巣上体が腫れて痛くなる)を発症することもあります。
女性でも7~8割が自覚症状が現れず、現れたとしてもおりものの量が増えるなどの軽度のものが多いようです。治療しないまま放置すると、卵管癒着などに発展し不妊症の原因にもなることもあります。
咽頭クラミジアの咽頭炎は、咽頭痛や発熱などの症状が現れないことも多く、見た目ではほぼわかりません。本人が訴える以外は、咽頭感染症は発見されません。
クラミジアは淋菌とともに性器への感染では、適切な治療を受ければ短期間で治るものです。しかし、咽頭への感染は、症状を自覚しにくく、一般に知られてないこともあり、発見が遅れるケースも少なくありません。治療が遅れると治療困難になることも多く、咽頭に菌が残ってしまうことで感染をさらに拡げてしまう危険性もあります。
咽頭クラミジアは自覚症状がないことが多いため、発見が遅れパートナーに感染させてしまうことも少なくありません。
次のような症状や行動が多くあてはまる人は咽頭クラミジアの可能性があります。疑わしいと思われる人は病院を受診して検査を受けましょう。
咽頭クラミジア感染症は、ディープキスやオーラルセックスが主な感染経路です。そのため、コンドームの使用だけで感染を防ぐことはできません。日本では、性風俗店などを中心としたオーラルセックスの増加を背景に、咽頭クラミジアが増加しているといわれています。
ただし、お風呂の水などで感染することはほとんどないため、セックスやオーラルセックス、ディープキスのような濃厚接触する機会がない場合は、家族内に感染者がいても問題がないとされています。
ここでは、咽頭クラミジアの診断や検査、治療法についてみていきましょう。
診断には、性器クラミジアと同様に、抗原検出や遺伝子検出が用いられます。どちらも市販の検査キットの購入が可能のため、病院へいく時間がない場合は早めに検査キットで検査しておきましょう。
ただし、市販の検査キットの結果は検査方法のミスなども考えられるため100%ではありません。陽性が出たときにすぐに病院を受診することはもちろんですが、陰性の場合も不安な症状がある場合は早めに病院を受診しましょう。
クラミジアの咽頭感染の治療は性器感染と同じで、マクロライド系薬またはニューキノロン系薬、テトラサイクリン系の抗生物質を服用します。重症化の症例においては、ミノサイクリン 100mg×2 点滴投与3~5日間を注射され、その後抗生物質を服用します。
咽頭クラミジアの治療には上記のような抗生物質が使用されます。
これらの抗生物質は重大な副作用を引き起こすことはほとんどなく、安心して使用できる薬です。しかし、まれに薬疹や肝機能障害、嘔吐、下痢などの症状が見られる場合もあります。服用を開始して何らかの症状が現れた場合には、必ず医師に相談して服薬内容を見直すようにしましょう。
副作用が現れると自己判断で服薬を中止する人もいますが、クラミジアは誤った抗生物質の服用方法によって耐性菌を生むことも知られています。薬は決められた期間、必ず飲み切るようにして下さい。
咽頭感染は性器感染の原因ともなります。症状が治まったあとも、完全に治癒しているかを確認する必要があります。治癒判定には、抗生物質投与から一定の期間をおいてから検査しなければならず、治療終了後から 2週間以上経ってから行います。薬を正しく服用し、パートナーの同時治療が徹底されれば、再発はほぼないといわれています。
クラミジアの咽頭への感染は、ディープキスやオーラルセックスによるものです。コンドームの着用だけでは防げませんので、日常的に不特定多数の人とオーラルセックスをしている場合は定期的な検査をしましょう。また、過去にそのような習慣があった人も保菌している可能性があるので、必ず一度は検査するようにしてください。
また、次に挙げたことに当てはまる人は検査をしましょう。
今までの記事にあったように、咽頭クラミジアは発見が遅れる傾向があり、完治するのが難しく、パートナーにうつしてしまうことも多い病気です。記事を読んで、不安に思った人は、病院で検査を受けましょう。
【 厚生労働省ホームページを編集して作成 】
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。