記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
常にお酒のことを考えてしまったり、以前に比べて飲酒をコントロールできなくなっている状態だと感じているなら、アルコール依存症かもしれません。今回の記事では、アルコール依存症の症状や治療法について解説します。
アルコール依存症とは、飲酒したいという気持ちが抑えきれなくなる状態のことをいいます。仕事や家族よりもアルコールを優先するなど、日常生活に支障をきたすことも多く、健康的にも悪影響を及ぼします。
常にアルコールのことを考えてしまう、飲酒を止めることができず、気づいたら大量に飲酒しいているなどの場合、問題がある可能性があります。
アルコール依存症の症状は以下のとおりです。
アルコール依存症は飲酒に対する強い欲求が起こります。これを飲酒渇望と呼び、アルコール依存症の人はこの症状に悩まされます。
飲酒行動は「コントロール障害」と表現され、そのつもりがなくても長時間飲んでしまう、大量に飲んでしまう、などの行動が頻繁に認められます。また、連続飲酒がコントロール障害の典型です。
また、長い間に断酒していても、一度でも飲酒してしまうとコントロールがきかなくなってしまうことを再発準備性と呼び、アルコール依存症で重要視される兆候です。再発準備性は、アルコール依存症が生涯断酒を続けなければならないとされる理由のひとつになります。
以下のような離脱症状があらわれます
・手の振るえ
・発汗
・高血圧
・吐き気・嘔吐
・下痢
・体温の上昇
・寒気
【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_alcohol.html】
アルコール依存症の治療は、基本的に治療の主体は入院治療となりますが、外来でも治療可能です。
入院治療は「解毒治療」、「リハビリ治療」、「退院後のアフターケア」の3段階別となります。
「解毒治療」は一般の病院で行うことも可能ですが、「リハビリ治療」、「退院後のアフターケア」は治療のノウハウをもつ専門治療にゆだねることをおすすめします。
通常2~4週間の入院により行われます。この治療はまず、精神・身体合併症と離脱症状の治療を対症的に治療します。離脱症状の悪化を防ぐために、まず交差耐性のあるベンゾジアゼピン系薬物でアルコールの肩代わりをさせ、漸減します。その後、点滴などでアルコールの排泄を促進します。
精神・身体症状が回復がみられたら、断酒に向けての本格的な治療を開始します。このタイミングでは、飲酒問題の現実に直面させることで、今後永久に酒を断つことを決意させ、断酒を続けるためのサポート治療を行います。
まず患者に正しい知識を提供する教育を行うと同時に、個人カウンセリングや集団精神療法などで否認の処理と断酒導入を行い、個人退院後の断酒継続をみすえ、断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)といった自助グループへの導入を図るとともに、家族や職場との調整を行います。
またこの時期から2ヶ月ほどかけて、患者によく説明したうえで抗酒薬の投与を開始します。この段階の治療をしっかり行うことが重要です。
一般的なアフターケアは以下の三本柱によって行われます。
・病院・クリニックへの通院
・抗酒薬の服用
・自助グループへの参加
また、再飲酒した場合には速やかに必要な治療が行われます。
【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_alcohol.html】
アルコールの摂取は、肝硬変などの健康に多くの影響を与えることがわかっています。また、飲酒運転による事故を起こす可能性もあります。妊娠中の飲酒は赤ちゃんに重大な影響を及ぼすこともあります。
アルコール依存症の進行により、自分でも飲酒のコントロールができなくなり、健康的な食事ができなくなり、日常生活に支障をきたすようになります。やがて仕事、家族、社会的信用を失い、病気になり、死に至ることさえあります。
アルコール依存症は、日常生活に支障をきたし、最悪の場合は全てを失うことになってしまう危険がある病気です。以前よりお酒の量が増えたり、飲みたいという気持ちが抑えられないなど、変化に気づいたら医師に相談し、必要な場合は治療を受けることをおすすめします。