記事監修医師
東京歯科大学歯学部卒、東京歯科大学市川総合病院 歯科口腔外科 研修修了
秋山 沙由里 先生
2017/9/28
記事監修医師
東京歯科大学歯学部卒、東京歯科大学市川総合病院 歯科口腔外科 研修修了
秋山 沙由里 先生
インプラントとは歯が欠損した部分の顎の骨にインプラントという人工歯根を埋め込み、その上から人工歯をつくる治療法です。
この記事では、インプラント手術の痛みの程度や痛みの対処について解説します。
インプラントとは、体に埋め込まれる人工的な医療器具のことです。
骨折の治療などで使用されるボルトもインプラントに当たりますが、歯科治療におけるインプラントは人工歯根のことを指します。
歯科用インプラントは、失った歯の代わりに人工歯根を顎の骨に埋め込んで、その上に新たな歯をつくる治療法です。
残っている自分の歯を削ったり、歯を移植したりせずに新しい歯を得られることが大きなメリットになります。また、素材として使用されているチタンやチタン合金は、骨と結びつきやすくアレルギー反応も出にくいといった特徴もあるため、歯がグラつく、抜けるなどのトラブルが比較的少なく、安定して食べ物を噛むことができます。
インプラント埋入術は、その方法によって過程は異なりますが、一般的には「一次手術:インプラント(人工歯根)埋めこみ→ 結合(治癒)期間(3~6ヶ月ほど)→ 二次手術:アバットメント(支台:歯とインプラントの接続部分)の連結→ 人工歯の装着」という流れになります。
インプラントと骨の結合期間中に、アバットメントが歯肉から露出した状態にしておく“一回法”と、アバットメントを一度歯肉で覆い、人工歯を取り付けるときに歯肉の切開を行う“二回法”があります。患者さんの口腔内・歯肉の状態によって、最適な治療方法を選択していきます。
手術中は局所麻酔薬が効いているため、しっかりと麻酔薬が効いていれば痛みを感じることはほとんどありません。
インプラント手術において痛みを感じるのは、手術後です。
手術後は、患部やその周辺組織に痛みや腫れが生じることがあります。
痛みには個人差がありますが、一般的に、治療範囲が広く使用したインプラントの数が多いほど痛みが出やすくなり、切開した範囲が広いほど腫れやすい傾向があります。
インプラントによる痛みや腫れは、時間の経過(5~10日間ほど)とともに自然に治まることがほとんどです。
インプラント手術後の痛みは、以下の方法で軽減することができます。
・薬は処方された通りにきちんと服用する。
・口腔内を清潔に保つ。
・傷口を不用意に舌や指で触らない。
手術後には鎮痛剤や抗生剤が処方されます。飲み忘れや自己判断で服用を中止することがないようにし、処方薬の用法・用量を守って歯科医師の指示通りに服用するようにしましょう。
また、手術後は口腔内を清潔に保つことが重要ですが、術後1日は強いうがいやブラッシングの刺激で傷口のかさぶたがはがれてしまう可能性があります。手術直後の口腔内ケアは優しく行いましょう。
インプラント手術は、顎の骨に穴をあけるなどの過程があるため、患者さんにとっては負担があり侵襲的な小手術となります。どんな手術であってもリスクを伴うため、メリットもデメリットも併せて事前説明をしてもらい、患者さん自身が十分に納得した上で治療を開始するようにしてください。また、不安は抱えたままにせず、歯科医師にしっかりと相談してください。
治療の開始後も、手術や術後経過について不安がある場合は、歯科医師と話し合って解決していきましょう。