アトピー性皮膚炎

2017/10/17

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎では強いかゆみを伴う湿疹が体や首、手足の関節部分などに繰り返し起こります。
アトピー性皮膚炎は、もともとアレルギー性鼻炎や喘息、食物アレルギーなどを持っているアレルギー体質(アトピー素因)の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多いです。原因もその2つが関係しています。ダニやカビ、化粧品など本来退治する必要のないものに対して、過剰に免疫が反応することで長い期間炎症が起きます。過剰に免疫が反応する理由として、アレルギー体質や皮膚のバリア機能の低下が関係しています。

症状

・赤みのある湿疹やブツブツした湿疹、ジュクジュクした湿疹が顔や首、肘や膝(特に内側)などに左右対称にできます。
・強いかゆみがあるため、かきむしってしまうことが多いです。
・湿疹が出来ては治り、また出来るを繰り返すことで、皮膚はゴワゴワに硬くなり、掻きむしることで皮膚の色が黒ずんできます。
・湿疹ができ、掻きむしると、皮膚が傷つき、皮膚のバリア機能が余計に低下し、皮膚炎を起こしやすくなる悪循環が生まれると同時に、皮膚がカサカサの乾燥状態になります。

アトピー性皮膚炎の多くは、乳幼児期に発症し、成長するに従って、良くなっていくことが多いですが、大人になってもアトピー性皮膚炎が治らない人もいます。
乳幼児期には、頭や顔に湿疹ができやすいですが、幼児期から小児期にかけて、湿疹ができやすい場所が肘や膝などの関節部分に変わっていくのもアトピー性皮膚炎の特徴です。

診断

症状や経過について話を聞き、強いかゆみを伴う湿疹が左右対称に顔や首、ひじやひざなどの関節部の内側などに、6か月以上繰り返し起こっている場合は、アトピー性皮膚炎と診断します(乳幼児であれば2ヵ月以上)。
その他、アレルギー反応が起こっていると上昇する血液中のIgE(免疫グロブリンE)や好酸球を調べるための検査を行ったり、アレルギー物質を調べるために皮膚にアレルギー物質をしみこませたシールを貼るパッチテストや皮膚に傷をつけアレルギー物質を含んだ液を垂らすスクラッチテストなどを行う場合があります。

治療

アトピー性皮膚炎の治療としては、炎症を抑えるためのステロイド剤や皮膚の乾燥を防ぐ保湿剤などの塗り薬、かゆみを抑えるための抗ヒスタミン薬の飲み薬が基本です。
近年は、ステロイド剤の副作用が話題となって新聞やテレビでも取り上げられていますが、アトピー背尾皮膚炎で使用するステロイド剤は、基本的には塗り薬で、重大な副作用を起こす危険性は極めて低いです。医師の指示に従って適切に使用しましょう。

生活・自宅で気をつけること

家庭で行うスキンケア

アトピー性皮膚炎では、皮膚を清潔に保つと同時に刺激物を避けることが重要になってきます。
1:ダニやカビ、ホコリは、アトピー性皮膚炎を引き起こす原因となりますので、毎日、部屋の空気を入れ替え、部屋をきれいに掃除しましょう。
2:石鹸やシャンプーの中には、刺激の強い成分が入っているものが多くあります。無添加せっけんや敏感肌用のシャンプーなど刺激物が入っていないものを使うようにしましょう。
3:常に爪は切るようにして、痒くて掻いた時に皮膚が傷つかないようにしておきましょう。
4:チョコレートや辛い物を食べすぎると、アトピー性皮膚炎が悪化しやすいです。控えるようにしましょう。
5:皮膚が乾燥すると、アレルギー物質に反応しやすくなり、アトピー性皮膚炎が起こりやすくなります。常に、皮膚の保湿を心がけ、保湿剤入りのクリームやローションでこまめにしっかりと保湿するようにしましょう。
6:下着や寝具など肌に直接触れるものは、木綿の素材など肌触りが良く、吸湿性に優れた物を使うようにしましょう。
7:運動後など汗をかいた後は、シャワーを浴びるなどして、かゆみの元になる汗を洗い流すようにしましょう。

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アトピー性皮膚炎(22) 抗ヒスタミン薬(27) ステロイド剤(7)