記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2017/9/29 記事改定日: 2018/10/2
記事改定回数:1回
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
「普段は平気なのに、寝起きの口臭や口の中のねばつきは気になる・・・」という方も多いのではないでしょうか?
この記事では、誰もが気になる「寝起きの口臭」の原因や対処法などをご紹介します。
寝起きの口臭の大きな原因は、寝ている間に唾液の分泌量が少なくなることです。
唾液には殺菌・自浄作用があり、普段の生活の中で口臭を防いでくれます。
就寝中は日中よりも唾液の量が少なくなってしまうため細菌が繁殖しやすく、口臭が発生しやすくなるといわれています。特に寝ているときに口呼吸をしている人は口の中が乾燥するため唾液がさらに減少してしまい、口臭が出やすい傾向があるようです。
ただし、程度に差はあっても寝起きの口臭はあくまでも生理的口臭のひとつであり病気ではありません。
虫歯や歯周病などのお口のトラブルが見られないようであればいれば、極端に心配する必要はないでしょう。
口臭とは口腔内や鼻から放出される気体のうち社会的容認限度を超えた悪臭のあるものを指します(ただし、ニンニクやネギ、アルコールなどの飲食物による一時的な臭いは口臭には含まれない)。
口臭には生理的口臭と病的口臭の2種類がありますが、どちらも口腔内で生成される揮発性硫黄化合物(VSC: Volatile Sulfur Compounds)という物質が原因となっていることが多いです。
VSCは嫌気性菌という種類の細菌が口の中でタンパク質やアミノ酸を分解することでつくられます。特に舌の上に堆積しやすく、白い苔状に付着して(舌苔:ぜったい)臭いの元となります。
病的口臭は、虫歯、歯周病、慢性鼻炎、副鼻腔炎、胃腸のトラブルなどが原因としてあげられ、中でも多いものが歯周病です。
寝起きにある程度口臭がするのは仕方のないこととはいえ、できることなら無くしたいものですよね。
ここでは、気になる寝起きの口臭改善に効果的な方法をご紹介します。
寝ている間は唾液の分泌量が減り、嫌気性菌が増えやすい状態になります。
そのため、歯磨きのし忘れなどで口の中に食べかすが残っていると細菌がさらに繁殖し、臭いの元となるVSCが多量に生成されて悪臭が発生してしまうのです。
寝る前には必ず歯を丁寧に磨き、食べかすなどの汚れが残らないようにしましょう。
歯磨きだけでは歯の隙間の汚れは取りにくいものです。そのような場合は歯間ブラシや専用の洗浄薬(マウスウォッシュ)を利用すれば、歯と歯の間の食べかすなどを取り除くことができます。
また、舌苔を取り除くために舌の掃除をすることもおすすめです。
専用の舌用ブラシや柔らかい毛先の歯ブラシなどを使い、優しく舌の上を奥から手前に滑らせましょう。
舌苔を取ったら歯ブラシを水道水でよく洗い、歯ブラシに汚れがつかなくなるまでを目安に同じ作業を数回繰り返します。
唾液をより多く分泌させるために食事はよく噛んで食べるようにしましょう。
また、意外に思うかもしれませんが、朝食を食べることもまた、寝起きの口臭を改善する手助けをしてくれます。これは、朝食を食べることで唾液の分泌が促進されるからです。
虫歯菌や歯周病菌は大人から乳幼児にうつることはよくあります。しかし、大人はすでに虫歯菌や歯周病菌を持っている人が多いので、大人同士のキスでうつる可能性は高くはありません。
ですが、まったくうつる可能性がないわけではありませんし、口臭はマナーの面でも改善したいものです。毎日のオーラルケアを欠かさず、半年に一度は歯科医院で歯垢除去などのクリーニングを行うことをおすすめします。
口臭を予防するには口内環境を清潔に保つことが大切です。
あたりまえのことですが、寝る前の歯磨きや舌掃除、マウスウォッシュを使った洗浄を習慣化し、口の中の汚れを落としてから就寝することがとても重要です。
また、唾液の分泌を促してドライマウスを防ぐためにも、食事はよく噛んで食べるようにし朝食もなるべく抜かないようにしましょう。