記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/2 記事改定日: 2020/8/20
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肺炎は病原微生物によっていくつかの種類にわかれます。通常の細菌とは異なる特定の微生物が原因で発症する「非定型肺炎」と呼ばれる肺炎があるのを知っていますか?この記事では非定型肺炎の原因菌や感染経路、症状、治療法を紹介します。
非定型肺炎とは、通常の細菌とは異なる特定の微生物が原因で発症する肺炎を指します。
肺炎球菌や肺炎桿菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌などの感染で発症する一般的な肺炎に使われる薬剤が効かないことが特徴であり、乾いた咳が長く続きます。
非定型肺炎は、38.0度以上の高熱と乾いた頑固な咳が現れるのが特徴ではありますが、症状の現れ方は個人差があります。
一般的にはのどの痛みや鼻水、微熱など「通常の風邪のような症状」が現れ、徐々に悪化していきます。通常の肺炎のように息苦しさや呼吸困難感は現れにくいとされていますが、頭痛、筋肉痛、下痢、吐き気など呼吸器とは関係しないと思われる症状が現れることもあります。
症状の現れ始めは通常の風邪との区別は難しいです。発熱と咳が続くときはできるだけ早めに病院を受診するようにしましょう。また、高齢者や基礎疾患がある方は急激に悪化し、呼吸機能が著しく低下することも少なくありません。また、呼吸困難、意識障害などが見られるときは救急車を要請しましょう。
非定型肺炎の検査は、呼吸器科・小児科などの専門医が担当をすることが多いです。
医師の判断や患者の状態によって異なりますが、問診・視診・聴診によって以下の項目を観察し、肺炎の種類や原因を確定します。
その後は、より正確な診断のために画像診断、血液検査、呼吸機能検査を行うことが多いです。
胸部X線検査(レントゲン)や胸部CT検査によって、多くの場合肺炎が存在するかどうか判断できます。
血液検査によって体内にどの程度炎症が起きているかどうかわかります。例えば白血球やCRPの上昇が見られることが多いです。また動脈血の採血を行うことによってどの程度肺の酸素をとり込む能力が保たれているかを見ることができます。
また、クラミジアやマイコプラズマについては、血液中にできている抗体の量を測定することがありますが、感染してから上昇するまでに時間がかかるため確定診断に至ることはあまりありません。
肺活量を測定して、年齢や体型などを考慮した平均値と比較することで、肺や呼吸機能の状態を調べます。ただし、上記で説明した画像検査や血液検査などで肺炎と診断された場合や胸に痛みがある場合は、呼吸機能検査が行われることはほとんどありません。
非定型肺炎の治療には、主に下記の抗生物質を使用します。
しかし、テトラサイクリン系の抗生物質は8歳以下の子供に2週間ほど使用すると歯が黄色くなる・骨の成長に影響が出るなどの副作用が出ることがあります。
非定型肺炎は一般的な肺炎とは異なる症状を持っています。予防法として理解してほしいのは、もっとも肺炎にかかりやすくなるのは、体の免疫力が低下していることです。日頃から充分な睡眠やバランスのとれた食事を取り、体調の良い状態をキープしましょう。外から帰ったら手洗い・うがいをきちんと行うこと、外出時にはマスクを着用することも効果的です。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。