記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
日本では、100人に3~7人が発症したことがあるとされる「うつ病」。近年すっかり認識の広がった病気ではありますが、具体的にどんな症状が現れるとうつ病の可能性があるのでしょうか?特徴や診断方法をお伝えしていきます。
うつ病とは、「何をしても楽しくない」「一日中気分が落ち込んでいる」「食欲がない」といった状態が長く続く心の病気です。うつ病は、精神的あるいは身体的ストレスによって、脳の機能障害が起きたことが原因で引き起こされると考えられています。
【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_depressive.html】
うつ病の症状は大きく分けて、「精神的な症状」「身体的な症状」「周囲からわかる症状」の3つの特徴があります。
・不安感、気分の落ち込み
・何をしていても楽しくない
・他のことに興味を感じない
・睡眠障害
・イライラして落ち着かない
・自分を責める
・物事を悪いほうに考える
・死にたくなる
・食欲の低下
・全身の倦怠感、疲労感
・性欲の低下
・頭痛
・肩こり
・動悸
・胃の不快感
・便秘
・めまい
・口の渇き
・表情が暗い
・すぐに涙が出る
・反応が遅い
・落ち着きがない
・飲酒量が増える
【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_depressive.html】
アメリカ精神医学会が出している診断基準(DSM-Ⅳ)では、うつ病性障害は「大うつ病性障害(うつ病の症状や重症度を一定以上満たすもの)」と「気分変調性障害(そこまで重症ではないが、長期間うつ状態が持続する)」に分けられており、前者の診断基準をそのままうつ病の診断基準にしている医療機関が多いようです。以下は、その「大うつ病性障害」の診断基準を大まかにまとめたものなので参考にしてください(厳密な基準に関しては、下記の出典をご覧ください)。
1.以下のうち5つ以上の症状(少なくとも1つは※を含む)が、2週間以上にわたってほぼ毎日続いている
・悲しみや虚無感といった抑うつ症状(※)
・喜びや興味の著しい減退(※)
・体重や食欲の激しい減少(あるいは増加)
・不眠や睡眠過多
・精神運動性の焦燥や制止
・疲労感や気力の減退
・自分に価値がないと感じたり、過剰に自分を責めたりする
・思考力や集中力、決断力の低下
・自殺念慮や死について繰り返し考える
2.投薬やその他の病気が原因ではない
3.死別反応(大切な人が亡くなったショックによる諸症状)では説明できない(大切な人と死別してから2ヵ月経っても、激しい落ち込みや自殺念慮といった精神症状が続くなど)
【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_depressive.html】
うつ病に対しては、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)といった抗うつ薬の投薬治療が行われるのが一般的です。不眠や不安といった症状が強い患者さんには、睡眠導入剤や抗不安薬といった別の薬が処方される場合もあります。
ただし、こういった薬物療法では決められた用法・用量を守ることが非常に重要です。「副作用が心配だから」「そんなに大した症状じゃないから」といった理由で勝手に服用量を減らすと、薬の効果を十分に得られなくなってしまいます。もし服用に不安があるのなら、必ず主治医に相談してください。うつ病を治療する上では、何でも相談できる関係性を医師と築くことがとても大切です。
なお、薬物療法以外にも、認知行動療法や対人関係療法といった精神療法が実施される場合もあります。
【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_depressive.html】
ご自身に当てはまる症状はあったでしょうか?「うつ病かも」と思っても、精神科を受診することに抵抗を感じてしまう方も少なくないでしょうが、専門医の治療を受けたことで多くの患者さんが症状の改善を実感できています。激しい気分の落ち込みや自己否定感などが長く続く場合は早めの受診をおすすめします。